第十八話 お茶うけ御前試合と甘党の刺客 弐
立ち会い人として美食大王が見守る中、まず大福の餡小丸が茶碗の隣に座する。その愛らしい姿と濃厚な甘みに、人々は歓喜の声を上げた。餡小丸は得意満面である。
次いで拙者が静かに登場し、餡小丸の反対側に腰を下ろした。
「地味な漬物がお茶請けとは笑止千万」
甘味の国から応援に駆けつけた人々は場違いなたくあん侍の振る舞いを嘲笑した。
大王が茶を一口、そして大福を一口頬張る。幸せそうに顔を歪める大王。
「うむ、甘露、甘露」
次に、大王は刻まれているたくあんに手を伸ばし、一口食した。
「ほう、これぞ求めていた甘味そのもの、理想の姿だ!」
大王の目が見開かれる。
大福の圧倒的な甘さは、御茶御前様の苦味を存分に活かし、美味であった。
しかし、その後に続くたくあんの塩気と酸味、そしてシャキシャキとした食感は、口の中に残る雑味を流し、再びお茶の苦味と大福の甘みを新鮮に感じさせる力を持っていたのだ。
「これは永遠に続く甘さと塩っぱさと御茶の無限地獄ならぬ、天国よのぅ」
美食大王が我を忘れて貪り食うのを味噌御前が咎め退出させていた。大福は確かに主役だったが、御茶御前様の御力を持ってしても甘さに舌が飽きる。
「貴様は甘さだけで単調だ。しかし拙者は『調和』を目指す」
拙者は塩分刀を一閃、見事な「塩分見舞い」で大福の‥‥餡小丸の甘さを引き締めたのだ。
「参りました…⋯」
誰よりも自信満々だった餡小丸が膝を折った。
お茶御前の座はいつも通り拙者は引き立て役になり、三者の調和を大切にした。
まさに御前試合に相応しいと皆が喜んだ戦いであった。




