第十七話 お茶うけ御前試合と甘党の刺客 壱
御茶御前様は、美食大王‥‥ご領主さまの側室であり、我らに負けず劣らずの引き立て役である。脂高い圏では主役扱いの時間もあるという。
拙者は勝雄により、ものの見方を学んだという話を御茶御前様に話す。
「たくあん侍殿も、日々精進しておるようで何より」
そんな御茶御前様の元にやって来たのが甘味の国の刺客、大福の餡小丸だった。
「御茶様、貴女様の魅力は和食の国よりも、より洗練された甘味の国にて発揮され申す」
和食の国には味噌御前様がおり、甘味の国では御茶御前様を引き入れようという話が盛り上がっていたそうな。
「まずは名を上げながら脇役こそ相応しいと抜かす貴様からだ、たくあん侍!!」
御茶様をかけて、異色の対決が幕を開けることになった。勝負は、茶の湯の席。本来ならば食事中や食後も含めた戦いなのだが、大福の土俵‥‥御茶うけとしての座はどちらが優れているのかになった。
片や甘味の国の刺客、大福の餡小丸。
片や漬物の名脇役、拙者たくあん侍。
餡小丸は真っ白な求肥の身体に餡子という甘き血潮を秘め放つ強力な小豆鉄砲がある。
「食後の主役はこの私だ!」
餡小丸は小豆鉄砲を掲げ、高らかに宣言した。
対する拙者は、いつものように腕を組んで、その有様を静かに見つめていた。




