第十三話 米騒動
食卓の世界においては、誰もが主役の座を目指すもの。だが争うのは何も食材だけではない。
おむすびとおにぎり。美食米大王の側仕えである彼らは、呼び名は違えど同じ白米。だが両者の間には、長きにわたる因縁があり、ついに争いになる。
「我は『おむすび』。古来より神が宿るとして敬われてきた、由緒正しき呼び名ぞ!」
「いやいや、『おにぎり』こそが庶民に愛される呼び名。より親しみやすく食卓に笑顔をもたらすは某なり!」
おむすび侍に反論する同じ三角形のおにぎり侍。
両者の争いは激化し、食卓は二分された。そこで検分役に白羽の矢が立ったのが、拙者である。
拙者は静かに両者を見つめ、白米という主役を巡る戦いを見守った。
おむすび侍は、高級な具材‥‥本格梅干しや鮭児を内包し、その格式の高さをアピールする。
おにぎり侍は、煮凝り天むすやスパムむすびなど、柔軟な発想で愛嬌を振りまく。どちらも美味に違いはない。
拙者は塩分刀を抜き、両者の隣に座した。
「勝負あった」
「「ええっ!?」」
驚く両者。
「どちらが正しいのか、拙者には決められぬ。だが今回重要なのは検分役の拙者⋯⋯『たくあん』と共に食されるかであろう?」
主役はあくまで白米。だが此度の検分は、脇役の拙者を活かす勝負。真の価値は共に食すことで生まれる「調和」にある。両者は和解し、食卓の平和は保たれた。
「待たぬか」
お呼びでない俵型のこまち殿を見て、流石に拙者もしんなり加減が増した。




