第十二話 美食米大王と味噌御前
美食米大王⋯⋯その正体は和食の国の領主であり、米を美味しく食べるために手段を選ばぬと噂される剛の者である。
米大王の城には、世界中の豪華な食材達が集められ、食卓には常に究極の「主役」級料理が並んでいるという。
米大王はこの世の美味は主役のみに存在すると信じ込み、脇役や地味な食材を徹底的に見下すようになっていた。
「最近我が君は脂高圏にかぶれた迷主となりました。そなた達には苦労をかけるのう」
大王の変貌にそう嘆くのは味噌御前様。大王の迷走ぶりに御心を痛めていたのだ。
そして事件が起きる。大王は「真の至高の味」を求め、和の里へと侵攻してきた。彼の目的は、里に伝わる秘伝の「究極の出汁」を我が物にすること。
里人達が守る出汁は、地味な昆布や鰹節から生まれる脇役の集合体であった。
「主役になれぬ者どもに価値はない!」
米大王は自慢の「豪華絢爛剣」を振りかざし、里人たちを追い詰める。
──その時である。
拙者と共に紫苑と青爪と白妙が前に出た。
「我らは脇役、されど食を彩るもの也!」
侍達は連携し、米大王に立ち向う。拙者の塩分刀が豪華絢爛剣の輝きを曇らせ、白妙が大王の放つ脂弾を受け止め、青爪の露切が大王の熱情を冷まし、紫苑の油凪で大王の持つ脂の魔力を奪っていく。
「なぜだ、なぜ主役のわしが劣るのだ!?」
混乱する大王に、拙者達は悟りの言葉を浴びせた。
「いかに主役級の食材であろうと、引き立て役なくして真の美味は完成しない!」
力を失った米大王は、最後は味噌御前の供した「味噌汁」の持つ深い旨味に包まれ改心した。
美食米大王は、主役と脇役が織りなす「調和」こそが真の美食であることを理解し、共に世界中の食の平和を守ることを誓ったのであった。
少し長くなり申した。




