第十一話 黄船来訪
同じ姫でも南方の国よりバナナ姫と護衛達がバナナ船に揺られてやって来た時は苦労したものだ。
「和食国、噂以上に寂しい国ね。ワタクシ、脂高圏の国ではそれはそれは持て囃されたものよ?」
「姫、我らの格を和の国と比べては可哀想ですよ」
護衛のバナナ剣士が嘲るのを、民衆は悔しそうに見つめる。
バナナ姫は、拙者と同じ黄色の甘美なる果物。その甘さは言うに及ばず、脂高圏の国々ではパフェなるもので主役級で歓迎されていた。
しかし拙者はバナナ姫の憂き目を逃さなかった。
「飾るばかりでは、姫の真の力は発揮出来申さぬぞ」
「無礼な!」
激昂したバナナ剣士が放ったバナナの皮斬りを塩分刀で弾く。
「待て。そなたはたくあん侍か。ワタクシの魅力をいかに引き出すのか申してみよ」
「姫の甘味に酸乳、拙者のたくあんを合わせるのでござる」
バナナの甘さが最初に広がり、酸乳の酸味が引き締め、後からたくあんの塩気とシャキシャキ食感が追いかける。
主役も脇役もなく、互いが互いを高め合う、まさに「三位一体」の調和であった。
「こ⋯⋯これは味わいの深いもの」
「このディップソースを使い、お肉や焼菓子で食せば、姫の憂いも解消するでしょうな」
ソースは主役ではなく脇役。だが美食家たちはソースこそ主役と唸る事だろう。食卓を飾るだけが主役ではない、拙者もまた新たな味覚の境地に、未来を照らす希望の光を感じたのだった。




