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たくあん侍シリーズ

作者:モモル24号

 
 拙者の名はたくあん侍と申す。

 少し前にごぼう持ちが流行っていた。その前は人参だったか。我ら根菜は、細長いイメージから刀や剣に見立てられやすい。武具として、得物としてではなく、侍として望まれた。

 まさにこれからは大根の時代だったはずだ。しかし下積みの間、石の下に三年、しっかり漬かってしまい申した。

 泥沼に浸かると抜け出し難いものだ。漬物樽の中で水分を絞り、引き締まった拙者の身体は、ごぼうにも負けないくらい、しなやかで叩き甲斐のあるたくあんに進化する。

「お侍さん、あっちに悪者が!」

 助けを求めるとうがらしの童子達の声が聞こえる。拙者は|塩分刀《えんぶんかたな》を手に、声のする方へと向かう。

 胡瓜侍がやられている。違う漬物樽とはいえ、拙者より先に世に出た実力者だというのに。

 新参のししとう達が、しし党を名乗って暴れていた。

 しがないごはんのお供の拙者と違い、大人気のおかず、お|肉《にく》のお|国《くに》と良い仲の、ピーマンに嫉妬し暴れたようだ。

 拙者たちを引き立てる、唐辛子にもなれずあわれなり。
 
 自慢の塩分刀でパラリと塩を効かせ、串刺しにしてやる。見事な筏のししとう串(|爆弾《先祖返り》付き)の完成である。

 拙者は悟った。拙者はあくまで脇役。大根役者がお似合いなのでござる。

✑ 公式企画『お題で飛び込む新しい世界』の投稿作品です。


✒ しいなここみさまの個人企画『500文字小説企画』にて投稿した作品の連載版となります。 

 かつての企画のスタイル同様に、各話500文字前後のお話になっています。

 
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