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素人童貞転生  作者: 山口遊子
ダンジョン編
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第75話 6階層最終アタック3、料理3


 鍋もできたようなので一度収納キューブに収納しておいた。

「エド、中身が入った鍋も収納できるんだ」

 なぜかエリカが驚いてしまった。

「うん。簡単にできる。出すときもちゃんとひっくり返らず出せると思う」

「えー。すごく便利じゃない」

「それに、数日くらいじゃ冷めないと思う」

「それ、ホント?」

「おそらくほんと。今回はかなり量が多いから残ると思うけど、残ったらそのまま収納キューブに入れて明日の朝食だから。しまった時の温度で食べられると思うよ」

「すごーい」

「ほんとですね」


 加熱板が空いたところでフライパン大を置いて『強』にした。

 そういえば鍋も皿もカトラリーも買ってきたままで洗ってはいなかった。今さらだし食べた感じおかしなことは何もなかった。たぶん。

 フライパンが熱くなったところで油を垂らした。煙は出なかったのでそこまで熱くはないようだ。

 フライパンを手に持って回すように油を広げ、スライスした肉を1枚1枚並べていった。

 ジュー、っという音が気持ちいい。

 表側に赤い汁が出てきたところでトングでひっくり返し、しばらく置いておいた。


 いい匂いもしているからそろそろいいんじゃないか?

「もういいかな?」

「牛肉だしいいんじゃない」

「それじゃあお皿に取っていこう」

 平皿の上に焼き上がったであろう牛肉をのっけていく。

「付け合わせに野菜を焼けばよかったかな」

「次回でいいわよ」

「そうですね。いい匂い」


 空になったフライパンを収納して、さっきしまった鍋を加熱板の上に置いた。火力は『弱』だ。

 マグカップを取り出してスープをよそい二人に手渡し、自分にもよそった。

 ナイフとフォークとスプーンも手渡して食事開始だ。準備を始めてから50分くらいかかっている。こんなものと言えばこんなものなのだろう。


「スープもおいしいし、お肉も最高!」

「ほんとですね。エドは料理の才能もあるんですね」

 ケイちゃんに料理の才能と言われてピンときた。才能とは一種の能力だ。レメンゲンの力で全ての能力が上がった以上料理の腕前も上がったということなのだろう。

 生前の俺なら思い浮かばないようなことを料理中自然に思いついていたものな。

 いいことには違いないので、単純に喜んでいよう。しかし、魚の出汁のスープはうまいな。ここに白菜があれば鍋に成るんだが残念だ。そういえば、豆腐も食べたいなー。


 食事を終えて、後片付けを終えたら時刻は午後7時近になっていたと思う。今までより1時間ほど夕食に時間がかかったことになる。料理して後片付けもしたわけだからそんなものだろう。


 今回の不寝番の順番はエリカが最初で、俺が2番目、最後がケイちゃん。となった。

 最初の不寝番を3時間にしてもよかったが、そんなに変わりはないので今まで通り4時間3回の計12時間休むことにした。


 不寝番の最中に喉が渇いてはかわいそうなので、水筒はランタンの隣りに置いておいた。われながらよく気が付いたものだ。



 毛布に横になり、いつもの魔力操作という睡眠導入作業をしていたら知らぬ間に眠っていて、気が付くとエリカに肩をゆすられ耳元で名まえを呼ばれていた。極楽だなー。


 寝起きからニヤケてはまずいので顔をきりりと引き締めて起き上がった。

「エリカご苦労さま」

「異常は何もなかったわ。寝ててもエドはニヤニヤしてるのね」

 それは起こされたからだって。


 防具を身に着け、剣帯に付けたまま枕はないけど枕元に置いていたレメンゲンを手に持ってランタンの前の定位置に座って4時間の不寝番に就いた。今度は枕を用意しておこう。忘れてた。



 4時間後、ケイちゃんと交代して幸せな気分で寝床に入って目をつむったと思ったら、ケイちゃんの声で起こされた。


 頭はスッキリ、体も元気。寝起きで元気すぎるところは前かがみになりながら水で濡らしたタオルで顔を拭いていたら収まってくれた。


 さーて、今日は6階層最後のアタック。6階層の地図は今日で完成するハズだ。


 朝食は昨日の残り物のスープとパンで済ませたので、ちゃんとした朝食だった割に短時間で食べ終えることができた。スープはまだ残っていたので今日の昼食に出せる。

 


 結局、6階層の地図は昼少し前に完成した。

 少し早かったが、そこで昼食を摂った。やっと鍋も空になったので洗って収納した。そのあと腹が落ち着くまで少し休憩し、それから帰りの途に就いた。



 渦を抜けてギルドのホールに出、買い取りカウンターに向かっていたところで街の鐘が2回鳴った。いつもより1時間早かったようだ。


 この日もかなりの稼ぎになった。チームの貯金も少し増えたので今日も反省会だ。

 3階の部屋の前で、6時に雄鶏亭おんどりてい前に集合ということにしてそこで解散した。


 一度部屋に戻った俺は、荷物を置いて防具を外し、靴をはいたままベッドに横になった。

 最近休みが多いのだが、明日は買い物のため休みにしよう。何がなくても調理台が必要だ。

 しかし、どうやって買おうか?

 店で買ったものを俺とエリカで両端を持ってえっちらおっちら運ぶのだろうか? 運んだ調理台をどこで収納すればいいんだ? 道の上だとマズいし、調理台をギルドに運び込んじゃマズいだろうし。でも調理台と言ってもタダのテーブルだから、別にいいのかもしれない。桶に洗濯物を持って正面玄関を出入りしてもなんともないんだから問題ないような気がし始めた。明日は調理台を買うぞー。

 おっと、その前に雑貨屋に行って今回足りなかった調理台以外の物品を揃えておくか。

 反省会までまだ時間があるから、ちょっくら買いに行ってやろ。


 買い物用の空リュックを背負って部屋を出た俺は雑貨屋に走り込み、まな板大、水洗い用桶2、ゴミ用桶1、ヤカンにお茶、スープ用に大き目のマグカップ3、そして枕を3つ買った。実際は、枕を売っていなくて売っていたのはクッションだったのだが、枕代わりになりそうだったのでそれにしておいた。

 エリカもケイちゃんも俺と同じ寮の枕を使っているはずなので、俺がクッションを枕にできるなら二人とも枕にできるだろう。



 部屋に戻って先ほど買ったものをキューブの中に入れて、時間調整していたら街の鐘が鳴り始めた。

 部屋を出たらエリカたちがいたので3人揃って1階に下りていき、いつものように4人席に3人で座って反省会を始めた。


「「カンパーイ!」」

 定食とほかに注文したつまみを食べながら今日も反省会という名の酒盛りだ。ウェーイ!


「今回料理してて思いついた足りなかった、まな板大、水洗い用桶2、ゴミ用桶1、ヤカンとお茶、スープ用に大き目のマグカップを3つさっき買ってきておいた」

「エド、気が利くじゃない。ありがとう」

「エド、ありがとう」

「それと、枕代わりにと思ってクッションも人数分買っておいた」

「エド、すごく気が利くじゃない。さすがはリーダー」

「エド、ありがとう」


「それで、今回料理してて大変だったのは、全部地面の上で作業してたからすごくやりにくかったんだよな」

「たしかにそうね」

「それで、明日は調理台代わりにテーブルを買いに行こうと思うんだ」

「いいんじゃない」

「エリカ、そういったものを売ってるところ知ってる?」

「わたしは知らないけど、誰かに聞けば分かるんじゃないかな」

「そうですね。あした街に出て知ってそうな人に聞いてみましょう」

 知ってそうな人って分かるものなのか? 接客業を営んでいたケイちゃんならその辺りピンとくるのだろうか?


「じゃあその線でいこう。

 それで、次は7階層だけど、どうする?」

「そうねー。今度は2泊3日でトライしてもいいんじゃないかな」

「わたしもそれでいいです」

「じゃあ、明日テーブルを買って、食材なんかはまだたくさんあるけど、ある程度補充してから明後日からだな」

「「了解」」


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