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素人童貞転生  作者: 山口遊子
ダンジョン編
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第71話 買い物


 今回の1泊ダンジョンアタックの反省会は買い物の話で盛り上がってしまった。

 俺たちも肝心の単語は会話中に出ないよう3人とも気を使っていたので、俺たちの会話を注意深く聞いていた連中がたとえいたとしても、まさか俺たちがダンジョンの中に調理器具を持ち込んで料理する相談していたとは気づけないだろう。


 結局この日もエールをジョッキ3杯ずつ飲んでお開きとなった。

 若いうちからアルコールを摂取すると脳に障害が起きるとか聞いたような聞かなかったような。今のところ酔うというより気分が良くなるだけなんだけど、気分が良くなった=酔ったって事だろうからそのうち俺たち3人そろって危ない人になってしまうかも?



 そして翌日。


 ギルドの1階で3人で朝食を摂った後、8時にギルドの出入り口の脇に集合ということにしていったん部屋に戻った。

 収納キューブはもちろん持ち歩くが、リュックも必要だ。

 乾いた洗濯物を片付けたり買い物用のリュックを用意して時間を潰し、余った時間はベッドに腰を下ろしてそのまま横になってボーっとしていた。


 午前8時の鐘が鳴り始めたので、レメンゲンを付けたままにしていた剣帯を締めて部屋を出た。

 予想通り、エリカとケイちゃんも部屋を出たところだったので3人揃って1階に下りていきギルドを出て雑貨屋に向かった。


 ギルドから歩いて5分の位置にある雑貨屋。最高だ。食べ物以外何でも置いている。別に値段は均一じゃないが100均っぽいところが実にいい。


「まずは、鍋とフライパンだよな」

「そうね」

「台所用品は確かあっちだったかな」


 ケイちゃんのあとについていった先には台所、食堂用品売り場だった。

 大体の品物は大、中、小と揃っている。ロジナ村とは大違いだ。

「大きさはどうする?」

「3人しかいないけど、真ん中くらいの大きさでいいんじゃないか?」

「そうよね。鍋なら中くらいで4人分くらい作れそう」

「その代りフライパンだと2人分くらいですね」

「じゃあ、フライパンは大きいのを買う?」

「大は小を兼ねるって言うし、大でいいんじゃないか?」

「なにその『大は小を兼ねる』って。意味は分かるけどエドが考えた言葉なの?」

「エリカの辺りじゃ言わないか?」

「初めて聞いたわ」

「へー。ロジナ村特有表現だったかな?」

「そうなんじゃない。ケイちゃんも聞いたことないでしょ?」

「うーん。わたしは聞いたことあります」

「なんだ、エリカの方が田舎だったってことか」

「えー、まさかオストリンデンがロジナ村とかケイちゃんの何とか言う開拓村に負けてるってあるかなー?」

「グレンツドルフです」

「そう。グレンツドルフ。ロジナ村とかグレンツドルフ村に負けるかなー」

「現に多数決で負けてたじゃないか」

「うー。まあ、いいけど」


 話は脱線してけれど、中鍋を2つと、大きなフライパンを1つ店のカゴに入れた。鍋にもフライパンにも蓋がセットで付いているものを選んだ。


「あとは、レードルにトング」

 これについては誰も意見はないようですんなり選べた。


「皿は平皿と深皿があった方がいいだろ?」

「そうね」

「3人しかいないけど6枚ずつ買っておこうか?」

「いいんじゃない」

「ナイフとフォークとスプーンも2本ずつでいいな」

「そうね」

「後は何が必要かな?」

「料理用のナイフとまな板」

「ナイフは大きいのと小さいのがあった方がいいよな」

「大は小を兼ねるんなら大だけでいいような気もするけど、たぶんそれでいいんじゃない」

「まな板はどうする?」

「それこそ大は小を兼ねるでしょ」

「だよな」


 木製のマグカップとかも置いてあったのでどんどんカゴの中に入れていった。

「こんなものでいかな?」

「いいんじゃない」

「こういったものは、その場になってみないと分からないものですし」

「それじゃあ精算してしまおう」


 カゴ二つ分の荷物を持ってカウンターに行き精算してもらった。それなりの値段になったが、チームの財布で足を出さずに買えた。残った金額もある程度あったので食材を買っても足りなくなることはなさそうだ。

 買ったものはリュックに詰めるふりをしてキューブに収納することもできたが、大した量でもなかったしそれほど重そうでもなかったので俺のリュックの中に詰めていった。

 リュックを担ぎ上げたところ拍子抜けするほど軽かった。重い荷物を苦力クーリーのごとく担いで鍛えているだけのことはあったようだ。


 雑貨屋を出たところで、指輪を磨くための磨き粉を買えばよかったと気が付いた。急ぐわけではないので次回覚えていたら買えばいいや。俺の左手の指輪、また錆が濃くなって黒くなってるんだよな。


 俺たちは大通りをしばらく歩いて角を曲がり商店街に入っていった。

「肉類は最後に買った方がいいよな」

「そうね」

「まずは野菜かな」

「そうね」


 俺たちは八百屋を見つけてその中に入っていった。

 買った野菜はイモ、タマネギ、ナスビ、トウモロコシ、ズッキーニにブロッコリー、キャベツ、ニンジン。ニンジンとブロッコリーをカゴに入れたらエリカが嫌そうな顔をしたが、何も言わなかった。空気を読んだようだ。

 八百屋といっても果物も売っているので、リンゴとオレンジとブドウも買っておいた。


「八百屋はこんなところでいいかな?」

「そうね」

 エリカに聞くと基本的に「そうね」しか返ってこないな。

「次は塩とコショウだな」

「そうね」

「どこに売ってるのかな?」

 ロジナ村では雑貨屋で売っていたけど、いつもの雑貨屋には食料品を置いてないんだよなー。

「食料品専門の雑貨屋さんじゃないですか」

 そういった店もあったのか。さすがは大都会だ。商店の分化が進んでるんだな。ということは単純に塩コショウでなく、もっとレベルの高い調味料があるかもしれない。

 そういえば料理の「あいうえお」なるものを生前聞いたことがある。

「あ」はなんだ? 味○素?

「い」? 胃腸薬?

「う」? うま○棒? なんか違う。


 あれっ、料理の「あいうえお」じゃなくて料理の「さしすせそ」だったような気がする。

「さ」は砂糖。

「し」は塩。

「す」は酢。

「せ」、「せ」?「せ」って何だ?

「そ」、「そ」???

 醤油がないけど「し」は塩で使ったし。酒がないけど「さ」は砂糖で使ったし。みりんもなればかつお風味の本だ○もない。

 もしかして「かきくけこ」とか「たちつてと」だったか?

 まあいいや、店に行ってそれラシイものを見て回ればいい線いくだろう。最低限塩コショウさえあれば何とでもなる。


 

 店の種類はわかったものの店自体どこにあるのか分からなかったので、ケイちゃんが道行く人に聞いてくれ、簡単に店を見つけることができた。


 そういえばケイちゃんの横長の耳は目立っているはずなんだけど、ギルドの中でも街中でも誰も気にしてないんだよな。俺自身ケイちゃん以外横長の耳の人を見たことないし、この街の人たちが見慣れているってわけじゃないと思うんだけど。ちょっと不思議だ。


 逆に考えると、そのことを不思議に思っているのは、この世界の人たちから見て異世界人の俺くらい。この世界の人たちから見れば耳の形くらいなんてことないのかもしれない。



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