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素人童貞転生  作者: 山口遊子
ダンジョン編
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第274話 帰還。お疲れさん会


 ハルネシアに何個かある商店街のうちの一つに俺たちは入っていき、少なくなっていた野菜類と肉類を補充した。乾物屋もあったので魚の乾物も補充しておいた。

 結構久しぶりの買い出しだったのだが、ブルゲンオイストより値段は高いようだ。一応王都だったわけだから王都プレミアムがついているのだろう。

 今後はブルゲンオイストの物価が上がっていくのだろうが、流通さえしっかりしていればどこかで何かが足らず一部の物価が高騰するようなことはないだろう。


 その2日後。騎馬隊が検問を抜けようとしていたクロジクその他を捕らえ現在ハルネシアに移送中であるとの報告をドーラから受けた。ちゃんと副官をしているようで結構、結構。


 罪状の追及はアニムニに任せておけば大丈夫だろう。

 ケイちゃんがチェックした財務の怪しい連中についても全員口を割ったようだ。

 いずれもカルネリアに弱みを握られたうえ、クロジクの指示を受けて数字を改ざんしたということだった。

 面倒ではあるが、国の損害を算定して、地位等をはく奪したうえ、損害を弁済できれば放逐。弁済できなければ資産を差し押さえ、それでも足りないなら、文字通り懲役だ。


 これでかなりハルネシアも風通しが良くなるだろうし、国庫から垂れ流されていた血を止血できたと考えていいだろう。



 ハルネシアに到着して10日経った。


 アニムニからの最後の報告では、ハルネシア内の神聖教会がらみの施設では今のところ疑わしい動きはないとのことだったが、引き続き監視するとのことだった。


 諸々の段取りを済ませた俺たちは、第1、第2大隊と、エルフによる第1弓兵大隊を引き連れ、ブルゲンオイストに向けハルネシアを発った。

 かなりの数の官僚がハルネシアからブルゲンオイストに異動することになるが、それはだいぶ先になるようだ。



 行きと同様ハルネシアを発って10日後にブルゲンオイストに到着した。

 ある種の凱旋ではあるが前もって告知したわけではなかったので大通りを行進しても見物人は少なかったが、進んでいくうちに見物人が増えていった。


 王城前まで行進し、ドリスたちは王城に帰り、ウーマと部隊は王城の向う側の駐屯地に移動した。護衛のペラだが、ブルゲンオイストも落ち着いたということでツェントルムに連れ帰ることにした。

 

 翌朝。ドリスたちを城に残し、俺たちはライネッケ領軍3個大隊を率いてツェントルムに向けて出発した。

 これからドリスは各地方領主をブルゲンオイストに呼び、改めて正式に爵位を授けることになる。これで父さんも正式にドリス・ヨルマン1世のもとでの伯爵になる。


 ブルゲンオイストを発って6日後。

 俺たちはツェントルムに帰還を果たした。

 部隊が移動中、雨にたたられることもなかったのはレメンゲンの力か、ミスル・シャフーの加護の力か。どっちでもいいけど。


 第1弓兵大隊は、エルフの里から借りてきた500人なのだが、ケイちゃんの提案と部隊長の承諾でそのままライネッケ領軍に編入してしまった。女王さまがオーケーなんだからそれでいいんだろう。部隊員たちも、エルフの里より刺激の多いツェントルムを気に入っているようだし。


 帰還した当日は準備の関係で慰労会は開けなかったが、翌日午後から各部隊の駐屯地で慰労会を催した。今回の作戦に従事しなかった面々ももちろん参加させた。


 俺たちの方は屋敷の中庭にウーマを置いて、行政庁に顔を出して帰還を知らせた。

 溜まっていた決裁すべき書類にその場で俺とエリカがサインしていった。

 エリカの副官のドーラは、この辺りの伝票の流れは行政庁の仕事を手伝っていた関係で理解している。けっこう役に立ちそうだ。


 作業を終えて、ウーマに帰る途中、いつもの気楽亭に顔を出して例の個室(**)を予約しておいた。


 各人ウーマで風呂にはいりスッキリしたところで気楽亭に繰り出した。


 特に何も言っていなかったが、俺たちが席に着いたら、どんどん料理とエールが運ばれてきた。常連といえば常連なので、注文内容はお察しのようだ。


 料理がテーブルに並び、エールが各自に行き渡ったところで。

「それじゃあみんなおつかれさま。「かんぱーい!」」


「久しぶりにここのエールを飲んだけど、ここのエールが一番おいしい。どうしてかな?」と、ドーラがちょっと不思議そうに言った。

「それはツェントルム(ここ)で作ったエールだからじゃないか? 俺たちが直接エールを作ったわけじゃないけど、このエールの中には俺たちの努力も多少は入ってるだろ?」

「それでおいしいんだ」

「エールに限らず、ちょっとしたものでもツェントルム(ここ)の物と他所よその物とじゃ違いが出るんじゃないか?」

「そうかもね」

「結局ツェントルム(ここ)が俺たちの二つ目の故郷になったってことだ」

「なっちゃったんだね」

「なっちゃったんだよ」

「ロジナ村で暮らしたのが10年ちょっと。すぐにここで暮らす時間の方が長くなるんだろうから当たり前か」

「そうだな」


「明日から、何する?」と、今度はエリカ。

「鉱山の鉱石ヤードに鉱石がだいぶ溜まっているはずだから、明日俺は鉱石運びをしないといけないな」

「そのとき、ウーマを使う?」

「そうだなー、移動にはあった方がいいから、ウーマを使おうか。4時までには屋敷に戻しておくよ。

 エリカはどうする?

「明日は部隊の慰労会だから領軍本部に顔を出したあと、駐屯地での慰労会に顔を出すかな」

「じゃあ、わたしも」

 ドーラは副官だからな。

「わたしは、エドと一緒に鉱山を見てきます」

「わたしもマスターとご一緒します」


「俺の鉱石運びが終わったら、温泉にでも行ってみないか?」

「それはいいわね」

「「さんせーい!」」


 ウーマの中の風呂もいいが温泉は別格だものな。

 温泉保養所の温泉は岩風呂で、保養所の外に屋根だけ付いた半露天風呂だ。混浴でもいいんじゃないかとエリカは言っていたのだが、俺がその案を却下して男女別とした。

 そりゃーね、若い男女の混浴ならキャッキャウフフもあるかもしれないが、世の中若い男女だけではないんですよ。たいていはお歳を召された方々が利用するんです。想像したら、混浴じゃない方がいいと思うでしょ? と、誰に言うともなく経緯を説明しておいた。


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