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素人童貞転生  作者: 山口遊子
ダンジョン編
145/336

第145話 再び柱へ。


 反省会をした結果、明日は買い取りコーナーでワイバーン関係のことを済ませたらそのままダンジョンに潜ることになった。



 そして、翌朝。


 朝食をギルドの雄鶏亭で食べた俺たちは、買い取りコーナーに行き昨日のワイバーンの代金を受け取った。今日も金貨100枚だった。5匹とも見た目は変わらなかったから全部金貨100なのかもしれない。

 そのあと、裏の倉庫で3匹目のワイバーンを卸した。


 そこでゴルトマンさんから昨日のバナナがギルド内で大好評だったと教えられた。

「アレも13階層で見つけたのか?」

「はい」

「あんなのが壁からにょっきり生えてるのか?」

「いえ、13階層は洞窟ダンジョンじゃなくって、ものすごく広い大空洞なんです。太陽はありませんが青空があって雲もあります。そういったところなので、アレも生えていた木からぶら下がってたんです」

「なるほど。何であれ、お前たちはサクラダダンジョンギルドのトップチームであることは間違いない。これからもよろしく頼むぜ」

 柱の話はややこしいのでしないでおいた。


 ゴルトマンさんに、よろしくお願いします。と、言って俺たちは倉庫からぐるりとギルドの建物を回って玄関から中に入ってそのまま渦を抜けた。時刻はちょうど7時。


 そこで、悪目立ちしないようランタンに火を点けて俺たちは11階層へ向かった。

 途中1度小休止を挟み11階層にたどり着いたのは5時間後。

 8階層まで前を歩くダンジョンワーカーがいたが、9階層以降、ダンジョンワーカーに遭ってはいない。


 昼休憩を階段下の空洞で摂った。洞窟空洞内では食べにくいので昼食はスープとパンで済ませた。かなり物足りない。ちょっと前まで俺たちは干し肉とパンと水と煎った大豆をダンジョン内で食べていたのだが、ぜいたくになったものだ。


 食事のあとリンガレングをキューブから出して、モンスターは収入源なので過度に破壊しない事。仕留めるには頭を割るか首を刈ること。など、口頭で教えておいた。


 昼休憩の後はリンガレングの実地教習のため自動地図を見ながら適当な坑道に歩いていった。


 大体2時間程度を見込んで11階層での実地訓練を始めたのだが、なかなかモンスターに遭遇しなかった。そのかわりキノコやジェムは見つかった。キノコやジェムも今となってはそれほどありがたみはなくなく、エリカの瞳も10000ボルトに輝かなかった。


 40分ほど歩いていたらケイちゃんが「前方に複数のモンスターらしき気配!」と、警告してくれた。

 いつもなら矢が飛んでいたのだろうが、リンガレングのために残してくれたのだろう。

「リンガレング、視界にとらえたら攻撃しろ。くれぐれも過剰破壊はしないでくれよ」

『了解!』

 

 モンスターの気配はどんどん近づいてきて俺の視界でも捉えることができた。オオカミだ。数は5匹。結構大きい。

『リンガレング、行きます!』

 その声と同時に何か硬いものが強くこすれたような音がして、気付けばオオカミの5匹パックは坑道の路面に転がっていた。リンガレングはその先でいつものように普通に立っていた。

 今の戦いで血煙が上がった感じではないので、リンガレングは言われた通りうまく処理したようだ。


 オオカミのところまで歩いて行きそこで死骸を検分したところ、5匹のオオカミの額ないしは側頭部につるはしで空けたような穴が空いていた。リンガレングの足だか手の先端で空けた穴確定だ。

 穴からはわずかな血と透明な液、おそらく髄液が流れ出ていた。実にきれいな死骸だった。

「リンガレング。なかなか良かったぞ。これでいいんだ。これで」

『はい。マスター』


 これならリンガレングは十分戦闘で役立つ。前衛を任せて大丈夫だ。逆に残りの4人は暇になる。

 オオカミの死骸は俺たちダンジョンワーカーにとって何の価値もないので坑道の壁際に運んで投げ捨てておいた。


 リンガレングの実地訓練は一回だけだったが、これで終了し俺たちは自動地図を頼りに12階層への階段を目指した。フォーメーションはリンガレング、俺、エリカ、ケイちゃん、ペラの順。


 結局、寄り道は1時間で済み、2時半には階段にたどり着けた。


 12階層で罠を避けながら階段部屋まで歩いて行き、そこから300段の階段を下って13階層に下り立った。


 すぐにウーマをキューブから出して大型化し、俺たちが乗り込むと同時に柱に向けて発進させた。


 階段下から柱までは、24時間。

 その間に俺は12階層の扉の鉄板を加工してペラ用の四角手裏剣を1000枚ほど作っておいた。

 そしてうまい事進行方向にいたワイバーンが襲ってきたので、ペラをウーマの上のステージに立たせた。襲ってくるワイバーンの数は6匹。俺はハッチから首だけ出してキューブから四角手裏剣をステージの上に20個ほど置いてやった。ペラの腕前から考えてこれだけあれば十分だろう。


 突っ込んでくるワイバーンに対してペラが最初に手裏剣を投げた時には思った以上に距離があったが、手裏剣は見事にワイバーンの頭部を捉えた。一瞬赤いものが見えたと思ったら、そのワイバーンはきりもみしながら落ちていった。

 それ以降も同じで、結局ペラは6投でワイバーンを全滅させてしまった。



 頭部を抉られたワイバーンたちが墜落した近くまでウーマを近づけて、そこでいったんウーマから降りて死骸を検分した。

 前回のワイバーンの頭部は命中時に石も砕けたのか小爆発的な部分破壊だったが、今回は単純に抉れて吹き飛んだようだ。いずれにせよ即死だ。


 6匹のワイバーンの死骸で金貨600枚だ。ウハウハが止まらない。しかし、過剰供給してしまうと値崩れもあり得るので、いま現在キューブに残っている2匹を売ったらしばらく卸すのは止めておいた方がいいだろう。



 そんなこんなをこなして、ウーマは柱に空いた洞窟の前に到着した。

 そこで俺たちはウーマから降り、小型化したウーマを連れて洞窟の中を歩いて行き、穴を抜けた先で大型化したウーマに再度乗り込んだ。10分ちょっとの徒歩だがたまには運動した方がいいよな。


 前回は向こうの端からこちらまでジャングルの木々をウーマがなぎ払って道ができていたはずなのだが今はそんな跡はどこにもなかった。恐るべき再生能力だ。



 祠がどうなっているのか見たいのと、壁に沿って進むよりまっすぐ反対側にある階段を目指す方が早いので、今回もジャングルの木々をなぎ払って進むことにした。俺も見張りに立って途中目に付いたバナナなどは収獲していった。


 1時間弱でウーマは1階層の中心部に到達した。時刻は午後4時。

 ウーマのスリット越しに見ただけだが祠は健在だし、女神さまもちゃんと台座の上に立っていて、リンガレングのいた地下の部屋へ続く階段の入り口も開いたままだった。

 これで何となく安心したので、ウーマをそのまま直進させた。


 ウーマはジャングルの木々をなぎ倒していき、さらに1時間。ジャングルを抜けたら正面に階段の登り口が見えた。ナビゲートしたわけではないが、60キロ走破してピンポイントでここに出たとは驚いた。


 階段上りは明日の朝からということにして、ウーマを止めた。



 翌朝。朝食を終えた俺たちは装備を整えウーマから降り、目の前の階段を上り始めた。ウーマは大きいままキューブに収納している。


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