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fake town baby(4)

 合体し、巨大な一つの身体となったジモクが轟音鳴らし、地を揺らしながら拳を突き出そうとする。ジモクの無数の目が見据えるのは、地上に一人立つスターゲイザー。その小さな体を叩き潰そうと踏み込みを入れた次の瞬間、ジモクの顔面が弾けて巨体が宙に舞う。そして、地面に仰向けに倒れたジモク達の目線が一斉に自身が先ほどまで立っていた場所へと向けられる。

「よしっ……」

 そこには、巨人……スターゲイザー・アークが拳を突き出して立つ姿だった。

『どうやら、戦闘中のアバターチェンジも問題ないみたいだね』

 南の耳に澤野から通信が入る。

「はい」

 南が同意していると、今度はみさからも通信が入る。

『司馬。西山さんが確認中ではあるけど、今回の断罪配信で出現したジモクが全部くっついてそのでかいやつになったみたい。ここが正念場。気張りなさい』

「了解です」

 そういうとスターゲイザーは構えを取る。


「ああっ!?またデカくなった!ほんと邪魔ばっかりして……許せない!許せないっ!」

 スターゲイザー•アークの姿にククライは怒りの声を上げる。それに呼応するように、リスナー達もスターゲイザーに怒りを向ける。『ころころ姿変えやがって鬱陶しい』『本当邪魔」などのコメントが、コメント欄に流れる。それに呼応するように、ジモクは幾多のワイヤーをスターゲイザーに向けて飛ばす。

「っ!?」

 しかし、次の瞬間にスターゲイザーの姿がその場から消え、ワイヤーは虚しく空を切る。

「消えたっ!?」

 突然の事態にククライと視聴者が驚く。


「ああっと、怪物の攻撃は不発ー!しかし、スターゲイザーはどこへ行ってしまったのでしょうか!?」

 時を同じくして、実況をしていた宇宙野いるかの配信も、ククライ側と同じく疑問の声で溢れていた。そんな中、コメント欄の一つのコメントに注目が集まる。

『敵の攻撃に使った紐?の上を何か走ってない?』

 そのコメントを見た宇宙野いるかは、リアルタイムの戦闘映像の一部を拡大する。そこには、再び風雷華の姿に戻り、ジモクのワイヤーの上を駆け抜けるスターゲイザーの姿があった。


「アバターチェンジ、アーク!」

 スターゲイザーがジモクの懐にたどり着き、拳を振りかぶった瞬間に南は叫ぶ。そして、再びスターゲイザーはアークの姿に戻る。拳を振りかぶり、ジモクの至近距離で。


「!?こいつ、どこから!?」

 ククライとリスナー達が驚きの声を上げる。

 

「いっけえ!」

 宇宙野いるかとリスナー達が応援の声を上げる。

 

「やあああああっ!」

 南が腹の底から叫ぶ。


 スターゲイザーの体重が乗った拳がジモクの頭部を捉える。そして振り抜かれた拳の衝撃にジモクがよろける。

「これで終わりらせるっ!」

 スターゲイザーが右腕の腕輪の水晶部分をジモクへ向ける。

「アークスマッシャー!いっけぇ!」

 そして、水晶から光の奔流が迸り、ジモクを撃ち抜いた。

「終わった……」

 南が一息つこうとした瞬間……

「いや、南。まだだ」

 遠渡星が警戒を促す。

「!?」

 驚いた南が改めて敵を観察する。撃ち抜かれた部位からその周辺にかけては、巨大ジモクを構成するジモク達が光の粒子となり消えつつある。しかし、そこから離れた部位のジモク達は、自身を巨大ジモクから切り離し、生存を試みようとしていた。そんなジモク達の様子を観察していると、西山から通信が入る。

『し、司馬さん!あのジモクの群れが地上に落ちちゃってそのまま逃げられたりしたら、断罪が続行されちゃう可能性が……!』

 それを聞いた南が一度大きく息を吸って吐き出し、そして配信室のメンバーに尋ねる。

「つまり、今この場で空中にいるうちになんとか殲滅しきれってことですか」

『そういうこと。出来る?』

 福田に尋ねられた南は一度息を吸う。そして、静かに答える。

「やります」

『……そっか。頼むよ』

 福田は素っ気なく頼む。だが、南には福田の声がどこか弾んでいるように聞こえた。

『よーし、司馬。ここが最後の見せ場よ!ド派手にぶちかましなさい!』

「はい!」

 南はみさからの檄に応える。それから、改めてジモクの状況を確認する。そのジモクの様子を一緒に眺めていた遠渡星が南に注意を促す。

「どうやら、結構バラバラになって広範囲にばら撒かれそうだな。それにあまり高度はないようだ」

「つまり、光線技とかを薙ぎ払うように撃ったりすると、街を巻き込む可能性がある……と言うことですか」

 遠渡星の警句を踏まえて、どうすべきか南は思案する。

「よし!」

 そして、南が結論を出すと同時に、スターゲイザーは空中分解中のジモクまで一瞬で駆け寄る。

「アバターチェンジ……風雷華!」

 そして、再び空中でアバターを変える。さらに、空中から落下しながらスターゲイザーはアイコンを連続で叩く。直後、ランジャチェイサーの待機を告げるガイダンス音声が幾重にも空に鳴り響く。


「おおっと!スターゲイザー!またも姿を変えたあ!さらに……なんと、大量のランジャ•チェイサーが空中に現れたぁ!?」

 宇宙野いるかの実況通り、空中に大量のランジャ•チェイサーが現れる。スターゲイザーはその内の一つの上に、静かに降り立つと、身を屈めた。そして、また新たに空中に表示したアイコンを一つ叩く。

「ああっと、あのアイコンは!?」


 南は、落下するランジャ・チェイサーの上で一度深呼吸をする。そして、起動した切り札の名前を静かに呟いた。


「迅雷刹華、起動」

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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