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fake town baby(3)

「もーう!今度こそあいつらを見つけて断罪するよ!」

ククライがそう言いながら拳を強く握る。リスナー達が、そしてジモク達がそれに呼応する。ジモク達は大量にある目を動かし回りながら、出薄駅の出入り口から外に出る。そして、そのまま一ノ瀬達を探そうと各々歩き出し始め……ようとするが、そのジモク達の足が止まる。ジモク達の大量の目が、全てある一点に向けられる。その先にちるのは――スターゲイザー•風雷華の姿だった。


「ここで……終わりにしなきゃ」


 南は小さく呟く。直後、スターゲイザーは空中に表示されたアイコンを叩き、光の刃と弓銃を手にする。それがトリガーになったのか、ジモク達が滑走し一斉に襲いかかる。

 ジモク達は接近しながら大量の光弾を放つ。

「来るっ!」

 スターゲイザーは飛び上がりながら相手の攻撃を回避しつつ、手にした弓銃を連続で放つ。大量の銃弾が降り注ぎ、撃ち抜かれたジモク達が霧散する。

「!?」

 直後、南の視界に大量のアラートが表示される。予測される敵からの攻撃は……

「後ろからっ!?」

 驚いたスターゲイザーが背後に振り向くと、そこにはスターゲイザーよりもさらに高く跳躍したジモク達の姿があった。

「ふむ。あのジモクには高く跳躍する能力もあるらしい。先ほどは閉鎖空間での戦闘だったから使う機会が無かったのだろう」

 遠渡星の解説の傍ら、ジモク達は攻撃態勢を取りながら落下してくる。そして、先頭の一体がそのまま勢いを利用した跳び蹴りを仕掛けてくる。

「……くっ!」

 スターゲイザーは空中で身を捩り、その一撃をかわす。そしてそのままジモクの身体を掴み、両足で踏みつける。踏みつけられたジモクはそのまますさまじい勢いで地上のジモクの群れへと叩きつけられる。轟音が鳴り響き、地上で身構えていたジモク達が勢いよく吹きとばされる。その一方で、スターゲイザーは踏みつけの反動を利用し、頭上で控えるジモク達よりも高く空中に舞い上がると、そのまま光刃を構える。

「!?」

 自分達よりも高く跳んだことに驚いたジモク達が身体を捻り、スターゲイザーの攻撃に備えようとする。刹那、低いうねりのような音ともに、幾重もの光の斬撃が空中に煌めく。そして、細切れにされたジモク達の身体がそのまま光の粒子となり霧散していく。

 スターゲイザーはその様子に目をくれることも無く、静かに着地する。直後、再び南の視界に大量のアラートが表示される。慌ててスターゲイザーが目線を上げると、その眼にジモク達から射出されたワイヤー群が迫りつつあるのが視界に映った。

「うわっ!?」

 南は思わず叫ぶ。スターゲイザーは身を捻り、バク転し、走り、跳びあがり……そうやって迫りくるワイヤーをか次々とわしていく。そして、粗方敵のワイヤー攻撃を一旦回避しきったスターゲイザーは体勢を立て直す。

「ああもう次から次へと……」

 南はぼやく。だが、そんなぼやきなど知ったことかと言わんばかりにワイヤーを射出したジモク達が、自身のワイヤーを手繰り寄せ、そしてその勢いを利用してスターゲイザーへと飛び掛かる。

「ああもうっ!」

 弓銃を放ち、斬撃を見舞い、迫りくるジモク達をスターゲイザーは次から次へと撃破していく。だが、敵の攻撃は止まらない。再びスターゲイザーに、再び大量のワイヤーが迫る。

「好き勝手やってくれちゃって……!」

 スターゲイザーは飛来するワイヤー群をまとめて掴む。

「だああああっ!」

 そして、そのままスターゲイザーは掴んだワイヤーを振り回す。ワイヤーとつながっているジモク達もスターゲイザーの振り回しに抗うことが出来ず、まるで陸上のハンマーのように勢いよく振り回される。

「いっけぇ!」

 そして、スターゲイザーはワイヤー越しに掴んだジモク達を、そのまま勢いよく他のジモク達に叩きつけた。


「おおっと!スターゲイザー、なんとまとめて怪物達をぶん投げた!そしてそのまま、他の怪物たちにぶつけたあぁぁっ!なんというパワーでしょうか!このヒーローの前に数は無意味なんでしょうか!」

 ここに至るまでにバイクアクションや地下鉄との危機一髪などもあったためだろうか、宇宙野いるかの実況も熱が入っている。その熱気に当てられたのか、コメント欄も活気づいている。


「ああもう、なんなのよあいつぅ!倒せない~!」

 ククライは焦りと怒りを露にしながら手足をじたばたさせる。リスナー達もそんなククライのコメントに同調する。『あのバーチャルストリーマーを断罪するためにもあいつはさっさと倒さないといけない』『いつも邪魔しやがって』そういったコメントがコメント欄に流れる。さらに『このままだと前回みたいに、高速戦闘とかされてあっというまに全滅とかもありうるんじゃないの?』と言ったコメントが流れる。そのコメントを皮切りに『目の前の邪魔者が奥の手を使う前に早急に倒さねばならない』という考えにリスナー達がまとまり始めた。


 結構な数を倒したと思ったが、目の前のジモク達はまだまだ大量に残っていた。

(これ以上の追加もないなら、迅雷刹華で一気に決着をつけた方が良いのかな……)

 南がそんなことを考えていると、目の前のジモク達に異変が起こる。

「……ん?」

「南、気をつけろ、これは……」

 遠渡星が南に警告を促す。それと同時に、敵のジモク達が混ざり合っていく。

「これって……」

 南は初めてジモクと戦った時のことを思い出す。そして、南の考えは的中する。ジモク達は混ざり合い、巨大な一体のジモクへと姿を変えていく。

「やっぱり……!」

 南が思わずつぶやく。直後、ジモクの大量の目から視線を感じる。スターゲイザーは思わず飛び退る。

「うわっ……!」

 スターゲイザーがいた場所は轟音とともに土煙が舞い上がる。土煙越しに見てみると、ジモクの巨大な拳が地面に突き立てられていた。

「どうやら人間大のサイズで数で押すのは無理だと判断したらしい」

「みたいですね。だったら……」

 遠渡星の言葉に南が同意する。そして、スターゲイザーの眼前に大量のアイコンが現れる。そして、スターゲイザーはその中の一つを叩く。叩かれたアイコンが効果音を鳴らし、ポップアップすると同時に南は叫んだ。


「アバターチェンジ!スターゲイザー・アーク!」

 

 


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