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けっかおーらい(7)

「なんかいっぱい来たぁ!?」

「嘘だろ……」

 背後に迫る大量のジモクに南と一ノ瀬は思わず声を上げる。そんな南達の反応に呼応するかのように、ジモク達は滑走しながらも片手の掌をスターゲイザー達へと向ける。

『ジ、ジモクの攻撃反応を確認しました!避けてください!』

 緊迫した西山の声が南の耳に響く。それと同時に南の視界には警告と同時に敵の攻撃の予測軌道と回避プランが表示される。

「まずいっ……!」

 警告内容からジモク達から放たれる弾幕が想定を超えて高密度であることを察し、スターゲイザーはハンドルを強く握りこむ。

「先輩!しっかり捕まってください!」

 南が叫び、一ノ瀬はそれに無言で応じる。直後、ジモク達の手から光弾が放たれる。スターゲイザーはアクセルを絞り込み、さらにハンドルを左右に切る。それに伴いランジャ・チェイサーが速度をあげながらも蛇行し、放たれた光弾の雨嵐をかわしながら進む。

「かわせた……!」

 一ノ瀬が安堵の声をあげたのも束の間、再び南の視界に大量の警告が表示される。

「くっ……!」

 それを受けてスターゲイザーは後ろに振り向く。ジモク達が大量の弾幕を発射するために身構えているのが視界に映った。

「あれくらいじゃ終わらないか……」

 南は呟く。それと同時にスターゲイザーの眼前に複数のアイコンが現れる。彼はその中から重要のようなピクトグラムが描かれたアイコンを軽く左手で叩く。直後、弓のような部品を取り付けた中がスターゲイザーの左手に現れる。

「先輩!もう一回しっかり捕まってください!かなり無茶しますよ!」

「え?」

 一ノ瀬が戸惑うのにも構わず、スターゲイザーはアクセルを吹かし、機体をさらに加速させる。

「……うわああああ!?」

 その速度に一ノ瀬は思わず悲鳴をあげる。まるでそれがトリガーになったかの如く、ジモク達から再び大量の光弾が発射される。

「このおっ!」

 スターゲイザーは再び機体を左右に蛇行させ、さらにはジャンプさせて動き回りながら弾幕を回避する。さらには、左手に持った銃を何発もジモク達に向けて撃つ。

 銃から発射された光弾が何体ものジモクを撃ち抜く。攻撃を受けたジモク達は体勢を崩し、転がり、後から迫るジモク達をまるでボーリングのピンのように吹き飛ばしていく。

『し、司馬さん!気を付けてください!もう少しで大きなカーブに差し掛かります!』

「了解!」

 合間に入った西山からの警告に応じ、スターゲイザーは再び機体を操作する。ランジャ・チェイサーは後部を滑らせながら減速することなくカーブを曲がっていく。さらにその間にスターゲイザーは立て続けに銃を乱射する。反撃の光弾を受けたジモク達は次々と倒れ、後続を巻き込んで吹き飛んでいく。


「おおっと!?なんとランジャ・チェイサー、ドリフト走行!?カーブを減速することなく曲がりながら進んでいく~!」

 そんな様子を宇宙野いるかが実況する。それを受けた配信のコメント欄は『なんか走り方おかしくね?』『四本脚でドリフトって……』『動きキモすぎワロタ』等と言ったコメントで溢れ、ネタ的な意味で盛り上がっていた。


 一方、スターゲイザーの攻撃を受けて一時的に編隊は崩れたものの、ジモクの大群は止まらない。さらに大量のジモク達が倒れたジモク達を意に介すことなく踏み越つつ進軍し、スターゲイザー達に攻撃を加えようとする。

「しつこい……」

 未だに追いすがるジモク達をどう振り切るか……そんなことを考えつつ南は背後から追いかけてくるジモク達を睨む。

「気をつけろ南。ジモク以外にも警戒しないといけないものがある」

 そんな南に、遠渡星が注意を促す。

「え?」

 遠渡星の言葉に困惑する南の視界に、電車のマークのアイコンと共に警告が表示される。

「前!前!」

 さらに一ノ瀬が叫ぶ。

「へ……?」

 スターゲイザーは前方を振り返る。すると、線路を走る地下鉄の車両が南の視界に映る。

「うわあっ!?」

 驚き、焦った南は叫び声をあげながら慌ててハンドルを切る。それに応じてランジャ・チェイサーは曲がり、壁にぶつか……るかと思いきや、壁を足場にして走り出す。そのままランジャ・チェイサーは地下鉄のトンネル内を緩やかな螺旋を描くように走り、地下鉄を追い抜いていく。

「あ、危なかった……」

「助かった……」

 一ノ瀬と南は大きくため息を漏らす。

『あー、司馬君。聞こえてる?』

 そんな南に福田から通信が入る。

「聞こえてます……」

 南は荒い息を吐きながら答える。対照的に落ち着いた様子の福田は、そのまま南に注文する。

『そら良かった。分かってると思うんだけどさ、そちら側にある地下鉄車両とかトンネル壊したりしないでね。現実世界の車両も止まっちゃうから』

「ですよね……」

 南はため息を漏らしながら福田の言葉に頷く。

「?」

 そんな南の様子に一ノ瀬は首を傾げる。

『あとさ』

「なんでしょう……」

『敵、まだ追ってきてるから気をつけてね』

 福田に言われた直後に再び視界に大量の警告が現れる。それを見たスターゲイザーは恐る恐る後ろを振り返る。それを見て、何かを察した一ノ瀬も後ろを振り返る。

「!!」

 そして二人は目にした光景に思わず息を飲む。そこには、大量のジモクが壁や天井に張り付いて滑走しながら追いかけてくる姿があった。

 

 

 

 

 

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