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EGO~eyes glazing over(5)

「な、なんなの!何が起こったのよ!?」

 気がつけば全てのジモクが消し飛んだことにククライが驚愕する。

 リスナー達はと言うと、ククライと同様に何が起きたか分からず困惑する者達が大半だ。『何が起きた?』『え?』『どう言う展開だよ』といった彼らのコメントが流れている。

 一方で、どこか見たことあるようなシチュエーションから、スターゲイザーが何をしていたか予想する者達もいた。『広範囲攻撃?』『高速移動?』『理不尽に敵を消せるクソチートじゃねーのw』などのコメントも流れていた。


「おおっと!どうしたことでしょう!?気がつけば敵の怪物が全くいなくなってます!これは、何があったんでしょうか!」

 自身も事態が把握しきれておらず、困惑しながらも宇宙野いるかは実況する。『何?』『もう終わってるんだが』『ちょっと拍子抜けだなあ』といったコメントが配信画面を流れていく。


 何とか敵は倒せたようだが、視聴者の反応を見てあいねは若干戸惑う。

(どうしよう。敵は倒せたみたいだから良かったけど、これってここであんまりがっかりされちゃうと今後の活動に影響出たりするのかな……)

 あいねがそんなことを考えていると、みさから通信が入る。

『あいね、今から転送する映像流して。話す内容はサブディスプレイの方のチャットに送るから、それ叩きにして』

 直後、サブディスプレイで開いていたチャットアプリからファイルとメッセージがみさから送られる。あいねは無言でそれに対してハートマークのリアクションを返した。


 ざわつくリスナーに宇宙野いるかは呼びかける。

「みんなー!ただいま状況が判明しました!今からこの一瞬で!何が起こったのか、こちらのリプレイ映像で追っていきましょう!」

 宇宙野いるかの呼びかけにリスナー達は期待を膨らませる。『お!』『何が起きてたんや?』『リプレイ映像って、スポーツの試合かよ』といったコメントが流れてくる。最後のコメントに、あいねは思わず苦笑した。


 ――場面はスターゲイザーがジモク達を殲滅する少し前に遡る。

「これから何が起こるんです?」

 状況においていかれている南が呟く。その直後、全身の装甲が変形や移動を開始する。そして、スターゲイザー風雷華の姿が新たなものへと変わっていく。

「これは……」

 南が驚愕の声をあげる。抱きかかえられた夢野も何が起こったのか理解できないといった表情だ。直後、スターゲイザーの身体から響くうねりのような音が大きく、そしてさらに高くなる。

 直後、『加速開始』と大きく書かれたウィンドウが南の眼前に表示され、そして消える。


「これは……!?」

 まるで、世界が変わったかのような感覚に南は驚愕する。

「南。今の君は高速活動が可能になっている。だが、これが実行できる時間はごく僅かだ。今のうちに一気に敵を殲滅するんだ」

「そんなことが!?」

 南は驚愕しつつ、抱きかかえていた夢野から手を離す。すると、夢野の身体はその場で静止する。いや、よく観察してみると、僅かずつだが、地面の方へ落ちていっている。

「なるほど……」

 両手がフリーになった南は、腰に取り付けられた筒を手に取りそしてその筒から光の刀身を顕現させると、そのまま駆け出す。

 そのまま、スターゲイザーは手にした刃を一体のジモクに突き入れる。そしてその刃をジモクから引き抜く反動を利用して薙ぎ払う。そのままスターゲイザーは講堂中を駆け回り、刃を何度も振りぬき、動けていないジモク達を斬って斬って斬りまくる。スターゲイザーが敵を切りつけるたびに、その場所からまるで鮮血の様に桜の花びらが舞い散る。

「だああああああああああっ!」

 スターゲイザーはそのまま全てのジモクを切り裂く。そして、すべての敵を切り伏せたスターゲイザーは筒を改めて腰のアタッチメントに取り付けて、再び夢野を抱きかかえる。


 ――直後、南の視界に『加速解除』というメッセージが現れた。これらの出来事は、僅か一秒にも満たない時間で行われたことであった。


「はあぁぁぁぁぁ……。なんとかなった」

 南はため息を漏らす。そんな南の言葉を聞いた夢野は周囲を見回す。

「あれ……なんで……?」

 気が付けば周囲の化け物が消えていることに、夢野は疑問の声を上げる。

「それに、貴方は一体……」

 夢野に尋ねられて、南はどう答えたものかと困惑する。

「あれ!?」

 直後、夢野の身体が光の粒子に分解されて消えていく。どうやら、ククライ側のリスナー達の熱も収まったらしい。

「良かったぁ……」

 それを見て南はほっと息を吐く。直後、南の身体も光の粒子へと分解されていった。


「以上、スターゲイザーさんの戦いの一部始終でした!」

 宇宙野いるかがそう言うと、視聴者達が口々に感想を漏らす。『いやー、格好良かったな』『やっぱ高速移動形態は華だよな、華』といったコメントが流れていく。それらのコメントを見て、宇宙野いるかはうんうんと頷く。

「今回勝てたのも皆さんの応援があってこそです!今後も遠渡星様、そして遠渡星様が支援するヒーロー、スターゲイザーの応援をよろしくお願いします!」

 そう言って宇宙野いるかは頭を下げる。

「それじゃあ、今回の宇宙野いるかと遠渡星様の緊急特別配信は、ここで終わりにしたいと思います。それじゃあ、またねー!」

 宇宙野いるかが手を振ると、配信はその場で終了した。

 

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