表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

48/97

REAL×EYEZ(4)

 ――それから30分後。

「お待たせしました!」

「ごめんなさい、遅れました~」

 みさとあいねが星降神社の社務所内に勢いよく駆け込んできた。

「おー、二人ともご苦労さん」

 そんな二人に福田はひらひらと手を振る。

「とりあえずすぐに配信の準備にかかります。司馬、あんたも準備は良いわね?」

 みさの言葉に南は頷く。

「まあ、自分の場合はアプリ起動してスマートグラスかけるだけなんで……いつでも行けます」

「OK。とりあえずよろしく」

 みさが南の回答に頷いていると、あいねが南の手を取る。

「司馬君……つかさちゃんは私の大切な友達なの。私は、どうしてもつかさちゃんを助けたい」

 そう言ってから、みさは一度息を吸い、そして南の目を見る。

「だからお願い、司馬君。私の友達を助けるために、一緒に戦って」

 硬く握られた手から、自身を見るあいねの目線から、そして言葉から……南は彼女の強い意志を感じ取る。そんなあいねの意志に応えて南は静かに深く頷く。

「はい……!。夢野先輩は必ず俺達で助け出し……ま……しょ……」

 そして、自身の想いも言葉にしようとするが、そこでみさからの凄まじい視線の圧を感じて言葉の勢いが徐々に失われていく。みさの凄まじい視線から(お前何あいねの手を握ってんじゃゴルァ!)という強い意志が、南には感じられてならなかった。

「?頑張ろうね!」

 そんな南の様子を訝しんだあいねは一瞬首を傾げるが、気を取り直して南に檄を飛ばす。

「……ハイッ!」

 南はみさの圧に居心地の悪さを感じつつも、精一杯元気を出して声を張り上げ返事をするのであった。

(可哀想に……)

 そんな南を見て、福田は南に同情する。

「……それじゃあ、配信室作ったからそっちに移ろうか」

 そして、同様に南に同情した澤野は南に助け舟を出す。

「配信室?」

 しかし、初めて聞く単語に南は首を傾げるのであった。


 ――その後、すぐに一行は澤野の言う『配信室』へと移った。そこは社務所の二階の一室であったが、配信のための様々な設備や機材が配置されている。

「いつの間にこんな部屋が……」

 南は驚きながら室内を見回す。そして、部屋の端に配置されている設備が気にかかり質問する。

「あれ、なんですか?駅に置いてあるテレワーク用のブースみたいなのがありますけど」

「ああ、あれか。組み立て式の防音室だよ」

「防音室?あれが?」

 南の驚きに澤野は頷く。

「でもなんだって防音室をこんなところに?」

「配信の時に外部からの音とかでノイズが入らないようにするためね。そういうので配信の音質下がったりするのよ。で、今回の配信は私達がすぐ横で戦闘指示とかもあんたに対してするから、そういった音が入ったりしたら困るでしょ?」

「なるほど……」

 南はみさの説明に納得する。

「さて、とりあえず説明が済んだところで、こっちも諸々の戦闘準備入ろうか。というわけで、司馬君はあれで」

 そう言って福田は配信部屋の片隅に配置された一人用のソファを親指で指す。

「あ、アバター憑依後に倒れこんでも快適であるように配慮されてる。ありがたい」

 よく分からない感謝をしながら、南はそそくさとソファへと向かっていった。

「じゃあ、こっちも準備が整ったらあいね側の配信始めるから、私が合図したらあんたもアバターに憑依なさい」

「了解です」

 南は頷くと、自身のスマートフォンをコンセントに繋ぎつつStargazerを起動し、そしてケースからスマートグラス・アクロスを取り出す。

「それじゃあ、私も配信始めるね」

「お願い。……と、その前にあいね」

「?どうしたの、みさちゃん」

 みさがあいねを呼び止める。一体何なのかとあいねは首を傾げる。そんなあいねの両頬をみさは両手で包む。そして、あいねの目をじっと見る。

「あいね……。つかさを助けたいのは分かってる。私だっては気持ちは同じ。だからよく聞いて。今日のこれからの配信、あんたは私情を捨てなさい。あくまで宇宙野いるかとして、スターゲイザーの戦いを盛り上げる……そのことだけに集中して」

 あいねは一度目を閉じ、息を吐く。それから再び目を開き、みさの目を見返す。

「……分かってるよ、みさちゃん。大切な友達を助けるため、今私がやらなきゃいけないこと……それが何かって」

 あいねの目線を見て、みさは頷く。

「……大丈夫そうね。それじゃあ頼むわ。何か指示があったら、こちらから伝えるからPCにつなげてあるヘッドセットは装着しておいてね」

 みさはそう言ってあいねの顔から手を離す。あいねは返事の代わりに、一度親指を立てると、防音室の中へと引っ込んでいった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ