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Excite

「よっと!」

 俺はそんな声を上げながら街に降り立つ。周囲を見回すと、様々な高いビルが聳えている。だが、これらのビルは本物ではない。全てデータだ。


 ――デジタルツイン。今自分が立っているこの場所は、現実世界を模して作られたデータの集合体だと言う。俺が今生活をしている街……星降スマートシティでは、このデータを使って街を制御しているという。例えば道を行く車……この街で走る車は全てデータ化され、デジタルツイン上を走っている。そしてデジタルツイン上で車が走ると、現実の世界でも対応する実体の車が走っているそうだ。このように、この街では様々な現実の世界に存在するものが、同時にデジタルツイン上にデータとして存在し、それを介して操作されている。


 だが、例外はある。現実には存在しないデータだけの存在。それが、今の俺だ。


 俺は今の自分の姿を確認する。形は人型だが、その体躯は馬鹿でかい。街のビルに負けないくらいの大きさ……身長にして50mは有るだろうか。そして、その容姿も銀色の肌や仮面を被ったような顔と、まるで子供の頃に見た特撮ヒーローのようだ。そんな姿の俺の頭の中に女性の声が響く。


「南!聞こえてるわね!敵は大型ジモクよ!そのアバターのまま迎え討ちなさい!」


 一緒に戦っている先輩が、俺に指示を出す。そう、アバター。先輩が言うように、今の俺のこの姿はデジタルツイン上で活動するための仮初の姿だ。


「了解です、みさ先輩」


 俺はみさ先輩に返事をする。直後、俺の視界の右側にウィンドウのようなものが現れる。そこにはイルカの被り物をした女性のキャラクターが映し出されている。


『こんにちは!今日も今日とて、宇宙野いるかの緊急配信だよ!見てくれてるみんな、ありがとう!今日も、街を脅かすおっかなーい化け物と戦う、スターゲイザーさんをみんなで応援しよう!よろしくね!」


 ――配信。そう、彼女……バーチャルストリーマー『宇宙野いるか』は今の俺ことスターゲイザーについて配信を行っている。


 その証拠に、彼女が映し出されているウィンドウに様々な視聴者のコメントが流れている。それらのコメントはスターゲイザーへの応援や宇宙野いるかの可愛さを称えるものなど様々だ。


「ふむ、まるでヒーローショーだな」


 今度は、透き通っていて心に染みるような、美しい男性の声が頭の中に響く。


「遠渡星様」


 俺は声の主の名前を呼ぶ。


 ――遠渡星。この星振市の土着の神様であり、俺がデジタルツイン上で"戦う"ための力を与えてくれた存在でもある。


 そんな彼が言うように、今の俺が置かれている状況はさながらヒーローショーのようである。


 そして、ヒーローショーには必ず”敵”がいる。


「来たぞ」


 遠渡星様がそう言うと、ビルの陰から黒い、巨大な人型が現れる。


 俺達の敵である、その巨大な人型は良く見ると大量に人の目や耳のようなものがついており、生理的な嫌悪感が湧き上がりそうになる。


 ――ジモク。それが今の俺が戦わなければいけない相手だ。


 なんでも、人の心の集合体らしいが、その中でも目の前のこいつは悪意をかき集めたような存在とのことらしい。


「”ダイダラ”型ね……南、来るわよ!」


 みさ先輩が俺に注意を促す。


 直後、ジモクの腕が鞭のように変形し、俺に襲い掛かってくる。俺はそれをかわして相手に向かって、このアバターの身体を走らせる。


 ――だが、そもそも何故俺はこんなアバターで、訳の分からない化け物と戦っているのだろうか?


 事の始まりは、大学に入学したての数カ月前に遡る。


この話がどんな作品なのかをざっくりと伝えるために書いた追加プロローグです。

もし続きが気になったら是非続きも読んでいただけたら幸いです。


んでもって、さらにいうと感想やらブックマークやら評価ポイントいただけちゃったりすると幸いです。

よろしくお願いします。

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