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 宵闇の中、大地が燃えている。本来、闇を照らすはずの炎は、まるで血の色のように赤く、見た人間に原始的な恐怖を感じさせるようだ。 そんな炎に照らされながらこちらを見つめる”怪物”がいた。怪物はどこか荘厳であり、それゆえにおぞましさを感じさせる。

 この炎がこれほどに人間を恐れさせるのはきっと、怪物から生み出されたからだろう。だからこそ、この悍ましい怪物は、たとえわが身がどうなろうとも今必ずいま止めなくてはならないと私に強く認識をさせた。

 決意を新たにした私は、これまで共に戦ってきた戦友に目線を向ける。戦友の表情は私が直前にしたことを信じられない、という気持ちを雄弁に物語っているように感じられた。


「折角ここまで共に戦ってきたのに、最後の最後で裏切るのか」

 という気持ちと、そのことを信じたくないという気持ちがない交ぜになったかのような感情、それが今自分に向けられ突き刺さっている。


 それが、痛く、苦しい。


 戦友よ……君と共に戦わなければ私はこの痛みをすることはなかったのだろう。君はこの先、私とは違う痛みを抱えて生きることになる。だが、許してほしい。たとえ、後悔や苦しみを背負わせることになったとしても、それでも私は君に生きていてほしい。だからこそ、私は行く。


 私が覚悟を決めて相対しようとしていることに気づいた化け物が、敵意を向けてこちらに近づいてくる。


 さぁ、いこうか。


 私は、力強い足取りで化け物へと向かう。


 戦友は、力の限り何かを叫んでいる。


 だが、私は聞かない。聞こえない。


 だから私は心の中で、彼に聞かせるつもりのない言葉をつぶやく。


「さようなら」と。

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