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モブキャラとして無難にやり過ごしたい~あの日、巻き込まれなかったら~  作者: 天原 重音
夏休み編

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13/15

午後の予定消化と、意外な再会

『午前の操縦訓練はここまでとする』

 松永大佐が操縦訓練の終わりを告げたのは、十二時を大分過ぎてからだった。そこから格納庫へ戻り、ガーベラから降りて更衣室で着替えると、シャワーを浴びる時間を省いたのに、あと二十分程度で十三時となる。

「午後の予定、何だっけ?」

 借りているスマホで時刻を確認し、午後の予定を思い出す。

 午後の予定は模擬戦だった。でも実際に使用する機体での模擬戦だから、流石に量産機か訓練機を使うだろう。そうであって欲しい。


 だが、現実は無情だった。


 松永大佐と一緒に昼食を取りながら午後の予定について尋ねると、最悪な事に、午後もガーベラに搭乗する事が決まっていた。

「他に空きの機体は無いと言っただろう」

「いや、性能的に訓練生が乗って良い機体じゃないですよね?」

「午前中に問題無く操縦出来たから、午後も引き続き同じ機体に乗る事になった。試験運用隊が保有していた機体の殆どは他の部隊に貸し出している」

「……貸し出し?」

 果たして、そんな都合の良い事が起きるのか?

 鸚鵡返しの問い返しと共に、疑いの視線を正面に座る松永大佐に送った。だが、どれだけ疑り深く見ても、松永大佐の表情は崩れない。それどころか、松永大佐は『頭痛がする』と言わんばかりの顔で首肯した。

「そうだ。別部隊で演習中に事故が起きた。パイロットは無事だが、機体の修理に時間が掛かる。代わりの機体を調達しようにも、どこの部隊にも貸出可能な機体が無い。そこで、試験運用隊が保有する機体を貸し出す事になった」

「……貸出期間は何日になりますか?」

「修理が終わり次第になるが、現時点では八月十日までの貸し出しとなっている」

 松永大佐に質問を重ねたが、いかにもそれっぽい回答だけが返って来た。

 ここまで来たら何となくになるが、大人の考えが読めて来た。

 何が何でも、自分をガーベラに乗せる気なんだな。しかも、ただのデータ収集の為だけに。

 三十年も永い時間が存在すれば、乗りこなせる奴が最低でも一人は見つかりそうなのに。どうして見つからなかったんだ? つか、本当に探したのかよ?

 松永大佐を『じー』と擬音が付くぐらいに見つめた。暫くの間見つめたが、松永大佐は無表情で昼食の残りを食べ進めている。

 ……支部長の意向か、松永大佐の個人的な判断なのか分からない。判明した事は、ガーベラに乗らないと言う選択肢が無い事だけか。

 何と言うか、不満が溜まる対応だ。

 自分がここにいる期間は夏休みの間のみだが、上手くやって行けるのだろうか。

 何だか心配になって来た。



 昼食が終わり、午後の予定を消化する時間になった。

 佐々木中佐と井上中佐の二人と模擬戦を行った。自分はガーベラに搭乗して模擬戦をした。中佐コンビはナスタチウムに交代で搭乗していた。松永大佐は監督役として模擬戦を観戦していた。

 模擬戦を始める前に井上中佐から、自分がガーベラに乗る理由について訥々と語られた。今になって語られても意味は無いと思うの。昨日の内に言ってくれ。

 ヤケクソ気味にならないように、無心になって午後の模擬戦に臨んだ。

 模擬戦と言っても、勝敗を付けずに一定時間戦闘を続けるものだった。ひたすらカウンターを取る事だけを考えて操縦していたからか、何度か『打ち込みに来い』と言われた。

 ガーベラの移動速度を考えて、余り速度を出さないように気を遣いながら攻撃したので無駄に疲れた。

 休憩を何度か挟みつつ模擬戦を行い、時刻が十八時になり漸く今日の予定が終わった。

 モニター室で松永大佐と中佐コンビの三人と別れて、更衣室でパイロットスーツから学生服に着替えた。シャワーは寝る前にも浴びるので、昼と同じく浴びずに更衣室から出た。

 疲れだけが無駄に溜まる模擬戦だった。

 夕食を食べたら部屋に引き籠ろう。空腹でお腹が鳴る前に食堂へ向かう。と言うか、何時間模擬戦をやっていたんだ? 十四時過ぎに始めて、現在時刻が十八時半前で、十分休憩を何度か挟みながら行ったから、最低でも三時間は模擬戦をやっていた計算になるのか。

 体力疲労よりも、精神疲労が溜まっている。

 ああ、甘いものが食べたい。でもお金が無いんだよなー。マネーカードも何時手元に来るか分からないし。コーヒーに砂糖を多めに入れて飲むか。その前に、持って来たジュースの種類は何だったっけ?

 ぼんやりしながら歩いていると、前方から足音が聞こえて来た。疲労で鈍い意識を正面に向けると、飯島大佐が見えたので思わず立ち止まった。

 時間帯的に夕食を取りに来たのだろうか? だが、食堂はこの先には無い。となると、松永大佐に用が有るのか? いや、中佐コンビもいたから三人に用が有るのか?

 などと考えたが、やって来た飯島大佐は自分に一声掛けてからマネーカードを差し出した。差し出されたマネーカードを見て、一瞬首を捻ったが、朝のやり取りを思い出す。高橋大佐のアレだ。すっかり忘れてた。

 飯島大佐にお礼を言ってからマネーカードを受け取った。受け取った際に、飯島大佐から金額を教えて貰ったんだけど、金額の桁数が予想よりも二つほど多かった。思わず間違っていないか確認してしまった。

 しかし、飯島大佐は合っているとしか言わなかった。

「慰謝料分も入っているから、その金額になっている。気にしないで使い切れ。あ、ツクヨミ内以外でも使えるから、それだけは忘れるな」

 そう言い残して飯島大佐は去った。向かった方向を考えると、やっぱり三人に用が有ったみたいだ。

 でもね。

「使い切れないって……」

 未成年に渡すお金だ。どれ程高くても一万円程度だと思っていた。高橋大佐の金欠っぽい反応を見て、金額を五千円に下方修正した。そして、いざ手元に来た金額はその数十倍だった。

 どれだけ毟り取ったんだよ。いや、仮にも大佐階級の人の給料が低いなんて事は無い。その可能性を排除すると、ダメージは少ないのか? 分からないな。

 少しの間、その場で唸って考えたが、空腹でお腹が鳴ってしまったので中止した。

 小走りになって食堂へ向かい、一人で夕食を食べる。

 ある程度の空腹が紛れたところで、昨日松永大佐から厨房に関する許可を取った事を思い出した。

 夕食を食べ終えたら購買部に向かおう。そして甘いものを買おう。ついでにお菓子の材料も買おう。

 今後の予定を決めて、残りの夕食を平らげた。


 一度、買い物袋を取りに部屋に戻り、ついでに買い物リストを作ってから購買部へ向かった。

 十九時前だが、運良く買い物客はいなかった。訓練生が一人でほっつき歩いていると目立つもんね。授業都合でいるとは言え、果たして何人信じてくれるのだろうか。

 そんな事よりも、買うものを買ってしまおう。

 買物籠を手に取り、購入物品を選んで行く。意外な事に製菓用の材料を見つけた。バターと卵と牛乳とホットケーキミックス粉だけど、この四つがあれば色々と作れる。砂糖はコーヒー用のグラニュー糖で代用可能だ。ありがたい事にアイスも販売されていた。これで作れるお菓子の種類が広がった。

 籠が一杯になるまであれこれと選んで購入し、貰ったばかりのマネーカードで支払いを済ませる。

 買い物袋に購入した商品を詰めていると、背後から声が掛かった。

「あれ? 何で訓練生がいるんだ?」

 聞き覚えのある声だった。振り返るとこげ茶色の髪の一昨年の男子卒業生がいた。

「へ!? 星崎っ!?」

 在学中に良くシミュレータールームで対戦をしていた相手だったから覚えている。唯一の問題は、この先輩の名前を知らない事か。自分の顔を見て目を丸くしている先輩に一声掛ける。

「お久し振りです」

「一年ちょっとだけど、久し振りだな。俺の事は覚えているか?」

「……先輩が名乗った事って、ありましたっけ?」

 質問返しは失礼だが、思い切って名前を聞いた。ここで『何て名前でしたっけ?』と言う度胸は無い。仮にそんな事を言ったら、先輩の後ろに幻視(みえ)る左右に動く犬の尻尾が床に向かって垂れるだろう。

「ん? 名乗らなかったっけ? ま、いっか。沢城冬弥(さわしろとうや)だ」

 遠回しに名前を忘れたと言っているも同然なのに、先輩は気にせず名乗ってくれた。沢城先輩も買い物で来たらしいが、購入目的物は決まっていたのか、ダッシュで買って戻って来た。買い物袋に購入品を詰めている間の出来事だった。購入したアイス用の保冷剤は無い。バレないように魔法を使ってアイスの温度を保っている。魔法を使うタイミングが、この先輩が来る前で良かった。

 卒業後の訓練学校が気になるのか、幾つかの質問を受けた。質問に回答するついでに、女子の先輩の誰かに『署名の巻物が支部長の手に渡った』事を伝えるように頼んだ。

 署名していない人はいなさそうなので、誰か一人に伝われば勝手に広がるだろう。

「そう言えば、訓練学校は夏休みに入ったよな? 星崎は何でツクヨミにいるんだ?」

 世間話からついに、来て欲しくない質問が飛んで来た。

 説明に困るが、回答として事の成り行きを語る。経緯を知れば、勝手に納得してくれる筈だ。

「高等部にある(らしい)選抜クラス絡みで呼び出されました。選抜クラス行きの候補者が出るのが私で十年振りだとかで、選抜クラスの授業が十年前のままでいいかどうか決める為に、現時点での実技の状況を見る為に、昨日ここに来ました」

「選抜クラスって、訓練学校(ウチ)にそんなクラスが存在したのか!? 初めて聞いたぞ」

「私で十年振りらしいです」

「それって、十年前までは在籍していた生徒がいたって事だよな? 選抜クラスに行く条件は何だ? 星崎は選抜クラスに行く為の条件を知っているか?」

「何も知らないです。七月に入る直前に、チーム編成絡みで呼ばれた時についでに教えられましたし」

「え? 星崎のチーム、遂に解散になったのか?」

 食いつくところが違う。そう突っ込みたくなったが、言葉を飲み込み『高等部と中等部の生徒の混成編成を止める事になった』と説明する。

 混成編成を行わずに、高等部は高等部の生徒で、中等部は中等部の生徒でそれぞれチームを組む事になったと、詳細を説明すれば沢城先輩は納得した。

「何だそうだったのか。星崎以外は全員上級生だったし、似たような編成のチームの成績は滅茶苦茶悪かったから、それが良いかもしれないな」

 沢城先輩は朗らかに笑っている。沢城先輩が笑う姿よりも、知りたくなかった嫌な情報を知ってしまい、思わず半笑いになった。

 この先輩の情報が正しいのなら、もっと早くに止めれば良かったのに。どうして止めなかったんだ?

 ふとそんな疑問を抱くが、回答出来そうな人間に心当たりは無い。

 新しい買い物客が見えたので、購買部から出る事にしたけど、何故か沢城先輩がくっ付いて来た。

 行先は試験運用隊の区画で、飯島大佐や中佐コンビとも遭遇するかもしれないので、歩きながら確認する。

「飯島大佐がいる? あの人はツクヨミの守衛隊の隊長で、演習の時の事前説明で顔を合わせたり、割と気さくに話し掛けて来る人だぞ」

「そうなんですか?」

 飯島大佐の役職について何も知らなかったので、思わず聞き返してしまった。

「そうそう。この間なんか、『シャワーを浴びて歯を磨いてから寝ろ』って注意しているところを見た」

「……本当にそんな事を仰ったんですか。何か意外ですね」

 角刈り頭で鋭い眼光を持つ、外見の表現としては『ヤクザっぽい』としか言いようの無い見た目の飯島大佐が、そんな事を発言したとは思い難い。『意外』以外に感想が思い付かなかった。

「初めて見ると吃驚するけど、見慣れると何とも思わなくなる」

 必要な慣れだと、内心で感想を零しつつ他にいそうな面々の名前を上げる。

「佐々木中佐と井上中佐がいる可能性もありますが……」

「その二人は訓練学校(ウチ)のOBだぞ」

「松永大佐もいますけど大丈夫ですか?」

「あー、松永大佐か。女子や女性兵の人が見掛ける度に『キャーキャー』言っていたけど、近寄り難いんだよなぁ。遠目で見る分にはカッコいいんだけど、キレると支部長が裸足で逃げるぐらいに怖いって聞いたし」

 

「誰がそんな事を言っていたんだ?」


 自分が感心の声を上げるよりも先に、その言葉が割り込んで来た。沢城先輩と一緒に足を止めて、声の主を探すと、口元を僅かに痙攣させた松永大佐と額に手を当てている飯島大佐がいた。

「お前らは知り合いだったのか」

 どうしたのかと二人に尋ねる為に近づいたら、飯島大佐の第一声はこれだった。

 言葉の意味は解らなかったが、沢城先輩が在学中にシミュレーターの対戦をよくやっていた事を教えた。ついでに出会いが授業で行ったシミュレーターの対戦だと言う事も教える。

 大人二人にここまで教えたら、揃って何とも言えない顔をされてしまった。

「取り敢えず、松永は星崎を連れて隊舎に戻れ」

 嘆息しながら飯島大佐はそんな事を言った。すかさず、沢城先輩が挙手してから発言した。

「飯島大佐、星崎は俺が送りますよ?」

「沢城……。お前には聞きたい事が有るから、俺と一緒に行くぞ」

「へ? あ、はい」

 申し出を却下された沢城先輩は目を瞬かせたが、有無を言わせぬ迫力を持った飯島大佐に肩を掴まれ、そのまま連れて行かれた。

 そんな二人を松永大佐と一緒に無言で見送った。歩幅が広いからか、飯島大佐の歩くペースはやたらと速かった。やっぱり身長が低いって損だね。身長があと十センチぐらい欲しい。

 見送ってから松永大佐を見上げる。松永大佐は『行くぞ』の一言と共に歩き始めた。小走りになりながら松永大佐を追い、試験運用隊が保有する区画にまで戻って来た。止まらずにそのまま隊舎に向かって歩く。

 ここまで無言だった松永大佐が漸く口を開いた。出て来た言葉は『何故買い物をしたのか』の質問だった。

 買い物の理由は『マネーカードを受け取った際に、松永大佐から厨房の利用許可を取った事を思い出した』からだと回答したら、松永大佐は再度、何とも言えない微妙な顔をした。何で?

「そう言えば出したな。……すぐに作るのか?」

「いえ、今日は製菓材料になりそうなものが販売されているか、買い物ついでに確認しただけです。実際に作るとしたら明日以降です」

「ふむ。材料が販売されていたのか。小麦粉が売られているとは思えないぞ」

 軍事基地の購買部だと言う事を考えると、松永大佐の言い分はもっともだと思う。だが、実際に売り場に向かうと、薄力粉と片栗粉以外に、製菓材料となりそうなものが沢山並んでいた。

「小麦粉の代用品となるホットケーキミックス粉が販売されていました。これと、アイスクリームと牛乳とバターが有れば、色々と作れます」

「アイスクリーム? アイスはそのままで食べるものだろう?」

「アイスは融かして使います。原材料に、卵と砂糖、生クリームか牛乳、バニラエッセンスを始めとした様々な材料が使用されているので、融かして使用すれば代用品になり、材料を大量に用意する手間も省けます」

「……そうなのか。随分とまた、変わった使い方だな」

「お菓子を作らない人からすると馴染みは薄いかもしれませんが、材料を揃える手間省きとして、割とよく使われますよ」

 嘘は言っていない。融かしたバニラアイスを卵液代わりに使ったフレンチトーストのレシピが存在する。材料を揃える手間を省く、多種多様な『○○ミックス粉』は存在する。水か牛乳を入れて混ぜるだけでクッキー生地が作れるミックス粉も存在する。企業の研究って凄いね。

 説明したが、松永大佐は興味無さそうだった。料理や製菓とは縁遠そうな見た目通り、松永大佐は適当な女性に『作って貰う人』なんだろう。松永大佐に頼まれて断りそうな女性はいなさそうな見た目だもんね。

 松永大佐に対して、若干失礼な事を思った時、正面から話し声が聞こえて来た。正面を見ると、中佐コンビがこちらに向かって歩いていた。

 こちらに気づいた中佐コンビは近づいて来た。けれど、夕食を済ませたからか、それとも仕事が残っているのか、あるいはその両方か。中佐コンビは自分と松永大佐と、軽く言葉を交わすなりそのまま去った。

 自分が持っていた荷物について何も言われなかったが、怪訝な視線は貰った。

 もう暫く移動していたが、松永大佐は夕食を取っていたのか、隊長室前で別れた。

 松永大佐と分かれた自分は食堂へ向かった。用が有るのはその奥の厨房の冷蔵庫だ。冷蔵庫に購入したものを詰めて行く。冷凍庫に入れるアイスに掛けた魔法は解いてから仕舞う。

 アイスは一個だけ今日の内に食べるので残す。アフォガードにして食べよう。



 熱々のコーヒーとカフェオレ(練乳入り)、コーヒー掛けのアイスを食べる用の器とスプーンをそれぞれ用意し、食堂の椅子に座った。王道のバニラアイスに熱々のコーヒーを掛けて、アフォガード風にして食べる。

 スプーンで掬い口に運んだ半融けのアイスは口内の温度で更に融け、コーヒーの苦みを抑え、アイスの甘みが半減する。五臓六腑に染み渡る丁度良い甘さだ。カフェオレを飲んで体が冷えないようにする。

「はぅ~~~……」

 気の抜けた声が出た。今日は色んな意味でアレだった。夏休み中は諦めてしまうしかないだろう。

 非常に嫌なのは、今日がまだ七月の二十一日だと言う事だ。色んな意味でまだ初日に当たる。最悪だ。

 アイスを食べながら明日以降について考える。

 七月末日までは操縦訓練と模擬戦で様子を見ると言う予定だが、本当にそうなるとは思っていない。松永大佐が言っていた事が、どこまで真実なのか判断出来ない。

 これはそのまま信じたら馬鹿を見るパターンだよね?

 明日以降になって量産機が増えたら、松永大佐の発言は嘘になってしまう。よって、今後量産機が増える事は無いだろう。

 それにしても、ガーベラって機体は訓練生に対して虚偽発言をしてまで搭乗させたい機体なのかね? 

 三十年前に開発した機体なら、操縦出来るパイロットが一人ぐらいは見つかってもおかしくは無い。本当に見つからなかったのか。それとも、敢えて探さなかったのか。

「どーなっているんだろうねぇ」

 口から漏れた自分の疑問は虚空に溶けた。勿論、疑問に答えてくれる人はいないし、大人の思惑も解らないままだ。特に支部長は何を考えているんだろう? 大人一同は警戒しないと駄目だな。

 重いため息を吐きそうになったので、アイスを食べる事に集中した。


作中に出した、『水か牛乳を入れて混ぜればクッキー生地が作れるミックス粉』は、ダイソーで実際に販売されています。商品紹介では無いですが、個人の想像の物品では無いので念の為に明記します。

これのクレープ生地の方を何時か買ってみたい作者です。

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