第0話 ある興信所にて
年初めから様々な大きな災害や事故、犯罪が続いています。
この小説にも闇が付き纏いますが、それだけではない要素も詰め込んでいこうと思います。
今までの作品とは少し毛色を変えてみました。(でも魂の憑依はありますが…)
何卒よろしくお願いいたします。
この環境での生活になって、かなりの日数が経過した。
死神の助言がなければ、こうもスムーズに生きていけなかっただろう。死神の助言で生きてるって、なんか矛盾も甚だしいんだが…。
自分の中には数個の魂が収まっている。
最初に飲み込んだ大倉の魂は今も自分の中に息づいている。
大倉は働いていた会社が倒産したところをこの「橋網興信所」の所長、橋岡新造に雇われた。
もともと橋岡と友人の網崎岩雄と作った興信所だったが、網崎が5年前に失踪。
その後どうにかこの興信所を続けてきたが、受付の女性職員の給料も払えなくなっていた。
無給で住み込む形での就職だったが、なんとかやってこれた。
が、仕事がらみと思われるトラブルから、橋岡が刺され、今も療養中。
トラブルが表面化して、仕事が入らなくなり、過労からの心臓麻痺であった。
実際、時間との勝負だった。
完全に大蔵の意識が消え、生体反応が終われば手遅れ、死に至る。
数秒程度なら蘇生も可能なのだろうが、基本的には死亡に向けまっしぐらの状態だった。
死神だからある程度の人の死は予測している、とはルキウス・ドミティウス・アウレリアヌス・ロムルス・アウグスティヌス・ハーデス・オオカムツミ・アンドヴァリ・アヌビス・キシャル・モーセⅩⅩⅢ世、通称チャチャまるの弁だ。
この正式だと言ってる名前、よく覚えて名乗れると感心する。
一度聞きながら文字に起こし、図書館で調べたら、なんかローマ皇帝やら、死を司どる神だったりが、やたら検索でヒットした。
これは自分の名前をかっこよく見せるための後付けだと思う。
一度本人(本犬?)に言ったら、たいそう怒って数か所噛まれた。
という事は図星という事だろう。
で、そんな死神が目を付けたていた数人のうち、俺の事故の時にちょうどいい状態が大蔵だったという訳。
その状態を鼻が効くヨークシャテリアのチャチャまるが見つけ、俺が今にも死にそうな大倉の体に憑依したのだ。
俺が死にそうになった時に俺の事故現場の上に現れたチャチャまるとレイが、生きたいかどうかを聞いてる時間も含むから、結構の間この大倉という奴は苦しんだに違いない。
ちなみに俺の頭上にいた例は、相も変わらずフレアスカートだから、中の下着はバッチリと見えていた。
ので、大蔵の身体に乗り移って状態が安定した後、またディスサイズの柄の部分で殴られた。
おい、また死んじまうだろう、俺が!
この直前に交通事故らしい衝突で俺の身体はほぼ使い物にならなくなっていた。
ヨネちゃんこと死神のレイは俺のその状態を指して「半分死んだ状態」と言い放った。
魂は非常に強い状態だが、身体が損傷に耐えられないのだという。
チャチャまるはその犬の鼻、というか死神の能力で死にかけている大倉を探し当てたということだ。
最大の理由は、死神ちゃちゃまるの飼われていたブリーダーの家が、この「橋網興信所」が近いというのもあったらしい。
大倉は清元とは逆で魂がすり減り、その影響が体に出た結果であるらしい。
チャチャまるは最後に自分に協力するか、このまま死ぬかと聞いてきた。
否も応もない。
そして俺の魂は大倉の中に入り、逆に大倉の魂は俺の「魂貯蔵庫」に収納された。
乗っ取られた大倉の魂は、しかしながら、反発することもなく、自分の中でゆっくりと寛いでいる。
彼曰く「追い立てられる日々からやっと解放された」ということで、探偵の仕事は手伝ってくれるようだった。
大倉の「橋網興信所」の経済的困窮は最もあっさり解決された。
最近、浮遊魂を吸収して、行方不明の女子高生が殺された事件を契機に、その捜索を依頼してきた陣内ジュエリーの社長、陣内道広から多額の謝礼を手に入れ、人心地ついたところだった。
大倉=清元は初めてレイと名乗る少女と人語を操るヨークシャテリア犬種のチャチャまるとの出会いを思い出すのだった。
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