12 閑話 ハワード
★《ハワード視点》★
僕はデブっちょで、右のこめかみに赤い痣のある内気な男の子だった。
くすんだ灰色の髪と目は気味が悪いと誰からも避けられていた。
13歳になっても婚約者が決まらず、家柄の良いご令嬢は次々婚約が決まり、僕は一生結婚なんてできないと思っていた。
でもある日僕に婚約者が出来たんだ。リアナ・セルマー伯爵令嬢。
とても可愛くて僕はリアナに夢中になった。
リアナに嫌われたく無くてダイェットも頑張ったんだ。
「ハワード様はぽっちゃりしていて可愛らしいですよ?」
真顔で言ってくれるリアナを本当に愛おしく思っていた。
学園に入ると僕は急に背が伸びて、体も締まって恰好が良くなり、赤痣も気にならなくなった。
僕が可愛いリアナの隣に立ってもお似合いだと言われるようになり、嬉しくてたまらなかった。
ただ気になっていたのがリアナの義姉のダイアナ。
彼女は僕にリアナの悪口を吹き込み、酷い噂を世間に言いふらしていた。
まだリアナは入学していない時点で、リアナの悪い噂は学園の令息令嬢たちに広がっていった。
最初、僕は必死で婚約者を庇っていた。
だけど、王妃様の姪であるベニー嬢も、リアナの噂は本当だと言い出した。
ベニー嬢の婚約者、ワイゼン侯爵令息にリアナが色目を使って困っていると訴えた。
あのリアナがそんな事するはずは無い、でもベニー様が怖くて僕は言えなかった。
同じ伯爵家でも王妃様の実家だ、逆らえない。
ダイアナとは同じクラスで彼女はいつも僕がリアナにプレゼントした物を身に着けていた。
「リアナがね、こんな安物はいらないって私にくれるのよ。もっと高価な物が欲しいのですって」
僕が尋ねると「お姉さまに差し上げました」とリアナは答えた。
今思えば、リアナは義姉が怖くて「取り上げられた」と言えなかったんだろう。
でも僕はちょっとリアナが嫌になり、どんどん広がるリアナの噂にも耳をふさいだ。
母も噂を聞きつけて婚約は解消すると言い出した。
僕は解消を断った、でもリアナの心が僕から離れていくのを感じていた。
ダイアナはアランという婚約者がいてお互い深く愛し合っていたはずだ。
けれど、なぜか2年生になるとダイアナは僕を誘惑する態度を見せ始めた。
僕は・・・欲望を抑えきれず、学園の空教室でダイアナを抱いてしまった。
彼女は初めてでは無かった。相手はきっとアランだろう。
「アランはどうするの?」
「今は内緒にしてくれる?知られると困るわ」
彼女がリアナに悪意を持っているのも知っていたのに。
僕を愛していないと知っていたのに。
欲望に負けて何度もダイアナを抱いた。すると妊娠したと告げてきた。
避妊薬は渡していたがそれはアランに使って、彼女は僕の子を妊娠したんだ。
卒業するとダイアナと結婚する事になった。
彼女の生活態度は酷かった。散財するし、生まれた子どもに愛情は無い。
直ぐに癇癪を起して僕や使用人を困らせた。
「リアナと結婚するべきだったよ!」
本心だった、なんでダイアナなんかと結婚したんだろう。
僕の言葉にダイアナは怒り狂って物を壊して暴れた。
ダイアナが投げた花瓶が当たって、僕は軽い怪我をした。それで耐えかねた母はダイアナを離縁して追い出したんだ。
ダイアナはすぐにアランを誘惑しに行ったみたいだ。アランとダイアナが再び結ばれれば、僕はリアナを返してもらえる。
だが待っていても、アランとリアナの婚約は解消されなかった。
アランが亡くなったと知って、直ぐにセルマー家にリアナとの婚姻を申し出た。しかし僅差でワイゼン侯爵家に出し抜かれてしまった。
侯爵はベニー嬢と共にリアナを虐めた酷い奴だ。絶対にリアナは不幸になる。
侯爵がリアナと婚約したのは、未だに愛するベニー嬢への当て付けだと噂されているんだ。
学園時代、仲睦まじい二人の姿は誰もが知っている。
リアナに会いたい。何度も手紙を出したけど返事はこない。
侯爵家で監禁されて酷い扱いを受けているんだ、絶対に。
今度こそ絶対に幸せにするから、侯爵にリアナを返してもらおう。
舞踏会で会えるかもしれない、リアナ待ってて、必ず救ってあげるからね。
読んで頂いて有難うございました。




