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初心者クエストに大苦戦!? 俺たちはゾンビじゃない!!

 「まずいです!!また増えました!」


 「ちくしょう。何匹居るんだ!」


 「これ、ホントにヤバいかもしれない!」



 あれから、一時間。



 俺たちの足元には沢山のゴブリンが転がっていた・・・・

 

 ・・・・というわけでは無かった。


 

 俺たちはヒーラーでレベルが高い。

 簡単に言うと打たれ強く、攻撃が弱い。


 その結果、最初のゴブリンたちとスーパー長期戦になってしまった。



 そして、その間にゴブリンたちが仲間を呼んだのだ。



 たぶん今、ゴブリン村総出で俺たちを潰しにかかっているに違いない。

 20匹目くらいまでは数を把握していたが、そこから10匹以上の集団が駆けつけて来た辺りで数を数える意義を失った。


 きっと100匹近く居るゴブリンたちに囲まれながら、俺たちはなおも戦い続けていた。


 何せ、敵が減らない。

 まず、あんまり攻撃があたらない。

 仮にあたってもダメージが小さい。


 こっちもレベルが高いし、防御なんかはできたりするものだから、逆に向こうの攻撃もあまり通らない。

 しかも、仮にダメージを受けても回復できる。 


 互いに決め手不足で手詰まり状態が続いていた。

 

 「ネド・ア・ヒュマニティ! ヒュマニティ? ゼ・ラ・アマド・イモタル!?」


 「デ・ネド! ニュ・アタッケ!」


 ゴブリンたちが何を喚いているか解らないが、向こうさんもかなり困惑しているのが伝わってくる。

 もはや向こうも何のために戦っているのか解ってないのかもしれない。



 だが、分が悪いのはこちらだ。


 疲労と傷はヒーラーなので回復できるが、それだって無限にできるわけではない。

 どこかでマナが尽きる。


 それと、もう一つ・・・・


 「うわあっ!!」


 ゴブリンの一匹ががむしゃらに振り下ろしたこん棒が俺の肘を強打し、俺は悲鳴を上げた。


 そう、いわゆるクリティカルヒット。当たりどころが悪かったってやつだ。


 どうしてもこれがある。 


 「ホウフ・ゼ・アタッケ・アタッケ!!」


 そして、そのタイミングをゴブリンたちは逃さない。

 一気にタコ殴りにかかる。


 とどめを刺しに来ているというのもあるだろうがが、タコ殴りにして呪文に集中させない意味合いのほうが大きい。


 無詠唱だって多少の集中は必要だ。


 「ヒール!!」


 俺が自分でヒールを唱えられないかもしれないと思って、フロウが俺にヒールをかけた。



 !?


 えっ?



 俺は体勢を立て直して、躍りかかろうとしてきたゴブリンたちを薙ぎ払う・・・・が、バックステップでかわされる。


 かわされたのはいい。

 それより今のヒールだ。


 「大丈夫ですか?」


 フロウがゴブリンの攻撃をいなしながら訊いてきた。


 「それより今のヒール、普通のヒール? 俺のヒールと回復量が段違いだったんだけど。」


 「えっ? 普通のヒールですよ? それより、ディーさん、すごいです。今のヒールほとんどマナを消費しなかった。」

 

 「そうなの? 心当たりないんだけど。」

 

 「またまたご謙遜を。あ痛いっ。」


 戦いながら話していたフロウがゴブリンに小突かれて痛がった。


 

 あれは普通のヒールなんてもんじゃなかった。

 もしかして・・・。



 「ディー。試してみよう。私にヒールをくれ。」


 俺の思考を読んだのか、グリゴリーが俺に声をかけてきた。


 「私は自分の回復には自身を持っている。ディーの回復がそれを上回るようならば間違いない。」


 「分かりました。」


 俺は頷くと、ゴブリンたちの攻撃の合間を縫ってグリゴリーにヒールを飛ばした。


 「おおっ!!信じられない回復量だ!!」


 「ええっ!?何だこれ、全然マナを消費しねぇ!!」」


 二人とも同時に驚く。


 あまりに驚いたので二人ともゴブリンの攻撃がヒットしたが、幸いダメージは抜けない。


 「どどど、どうしたんですか?」


 俺たちのただならない様子にフロウが、おろおろした声で訊ねてきた。


 「信じられないほどの回復量だった。私の比ではない。」


 「俺も、マナをほとんど消費しませんでした。たぶん、他人にヒールをかけるとそうなるんです。でもなんで?」


 ゴブリンたちの攻撃をいなしながら会話を続ける。


 「もしかしたら、ヒーラーは支援魔法にかかりやすいから・・・それでか?」


 「そういえば、ヒーラーってリザレクションでの蘇生率が異常に高いって聞いたことあります。」


 今まで他人からヒールをかけてもらったことなんて無かったから気づかなかった・・・。


 てか、誰か気づけよ。

 ヒーラーって自分で回復しちゃうからなぁ。


 しかし、これで状況は一変した。


 「これ、使えますよ。」


 「そうだな、これからは互いにヒールをかけ合っていこう!」


 「おうっ!!」


 フロウが思わず片手を上げたもんだから、また、ゴブリンに小突かれた。


 これで、簡単には負けない。


 三日くらい平気で戦えるんじゃないか?




 そして三日後。




 フラフラのゴブリンたちが叫ぶ。


 「ゾンビ、ニア、ヒュマニティ、パプラ、テクモ!ゼ、ゾンビ!」


 ゾンビだけ意味が分かるんだが。


 こっちも三日三晩戦い続けてなお元気なので、ちょっと気持ちが悪い。

 自分たちが本当に人なのかと不安になる。


 これ最強だぞ?

 攻撃力の高い相手だったらどうか解らんが。

 ゴブリン程度の相手と装備だったら何匹居ようとやられる気がしない。


 「ゼ・ゾンビ、ネド・ヒュマニティ、ゼ・ゾンビ!ゾンビィィィッ!」


 何を言ってるのか何故だかめっちゃ解かる。

 俺らゾンビじゃねえよ!


 「ゾ・ゾンビィィィィイイイ!!」


 フラフラのゴブリンたちが、ついに叫び声をあげながら逃げ出した。




 あと3日頑張られたら危なかったもしれん。


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