表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/24

後ろ指差される俺たち! そんなにこのパーティー編成おかしいですか?

 あの後、俺たちは意気投合した。


 「そうなんですよ!!私の変わりはポーションでもできるって言われました。」


 「私もだ。ずっといっしょにやって来たってのにあんまりな話だよ。」


 「俺もですよ。なのに何で向こうが泣くんだって話です。」


 「泣いてもらえたんならまだいいですよ。私なんて蹴りだされたんですよ。KICK-OUTされたっていう意味じゃなくって、ホントに蹴られたんです!女の子蹴るって酷くないですか?」


 「確かにそれはひどいなぁ。」


 こんなカワイイ子を蹴り飛ばすなんてとんでもない。

 ちっこいし良く転がりそうだ。


 「私のほうは仕方のないところはありますね。最近みんな強くなり過ぎて、私の回復の出番が少なかったですから。」


 「ところでフローレンスさんはどこのパーティーにいらっしゃったのですか?」


 「『そびえたつ頂点』です。」


 おおっと、この冒険者ギルドのAクラスパーティーだ。

 俺の元居たパーティーのライバルだ。

 俺が一番強いヒーラーだとばかり思ってたがそうでもなさそうだ。逆に心強い。


 「俺、『深紅の殺意』に居たんですよ。」


 「ええ、よく知ってます。散々ディーレさんと比べられて叱られて来ましたから・・・。」


 おっと。

 俺、有名人だったらしい。

 

 うつむいて、少ししょんぼりしたフローレンスさんがカワイイ。

 だが、マスクを取った顔をまだ見ていないので、今はまだ積極的にはいかない。


 「A級でやってこれたなら十分だよ。」


 先にグリゴリーがフローレンスを慰めた。

 グリゴリーはいい奴のようだ。


 「そういうグリゴリーさんはどちらの冒険者だったのですか?」


 フローレンスが訊ねた。

 てか、こいつどっかで見たことあるんだよな。


 「私は『角の巨人』の回復役でした。」


 「ええっ!」


 なんと!


 『角の巨人』は隣のギルドお抱えのSクラスパーティーだ。

 今の王都にはSクラスパーティーは彼ら一人しかいない。


 みんな予想以上に強かった。

 なんと心強いことか。


 これで、職業がばらけていたなら言うこと無しなのだが。






 というわけで、

 職業の編成に問題はあったが、とりあえずパーティーを組んでみようと言う事で、俺たちは受付のレビンちゃんに登録のお願いにやってきた。


 「ええっ!? ヒーラーばっかですよ?」


 そりぁ、驚くわな。


 「かまいません。登録をお願いします。」


 「冗談だったら止めてくれません? 私これでも皆さんと違ってかなり忙しいんですけど?」


 「ちょ、冗談じゃないです! 本気なんで登録お願いします。」


 レビンちゃんが『こいつら正気か?』という表情で俺たちを見つめた。

 そんなに、驚かれるとショックなんですけど・・・。


 ギルドのホールに居た他の冒険者がせせら笑うのが聞こえてきた。


 「あいつらあの編成でパティ―組むんだってよ!?」


 「まじかよ、普通、諦めるよな。」


 「あの編成でどうしようってのか・・・、必死過ぎるだろ。」


 「ああはなりたくないものね。」


 おのれ・・・。

 地獄耳なせいでお前らの陰口が全部聞こえてんだよっ!


 レビンちゃんが確認するように俺たちに問いかけてくる。


 「ホントにヒーラーばっかのダメパーティーで冒険をするつもりですか? 諦めたほうが良いんじゃないですか?」


 ちくしょう。

 目の前で直接行ってくる奴までいるじゃねえか。

 てか、この子が一番酷い。


 「そ、それでもお願いします・・・。」


 心折れそうになりながらも、お願いする。


 「ええぇ・・・しょうがありませんね。仕事ですし、仕方ないからやりますけどぉ・・・。」


 レビンちゃんはめんどくさそうにブツブツ文句を言いながら手続き書類を取りに奥に引っ込んで行った。


 「なんか、感じ悪いですね。」


 フローレンスがプンスンと怒りながら言った。可愛らしい。


 「ええ、周りの空気も悪いようだ。」


 俺は睨むように周りを見渡した。


 数人が慌ててアクリル板の陰に身を隠した。

 めっちゃ見えてる。


 「なに、気にしないで行きましょう。」


 グリゴリーだけは前向きにそう言った。


 さすがは元Sランクパーティー。

 こういうところは是非とも見習って行きたい。



 と、突然、


 「痛いっ!」


 フローレンスが叫ぶと、背中を押さえてビックリした様子でうずくまった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

下記、他作品もよろしくお願いたします。
また、☆を押してご評価いただけると励みになります。

本件のようなコント作
【完結済】シン・桃太郎伝説 ~俺、桃太郎!サル・ワイバーン・犬山ネネたちと魔王討伐に行く。 https://ncode.syosetu.com/n3754hd/
長編ファンタジー
【連載中】ゼロコンマ8桁が激動 〜なんか俺、ゲーム世界で小数点以下が見えます。 https://ncode.syosetu.com/n5420hx/
【完結済】異世界転生したのでパンデミックしてみようかと思います。~宿主の王女をこの国の王にしようと思います~ https://ncode.syosetu.com/n5663gr/
短編ミステリー(硬め)
【完結済】満開の桜だけが見ていた https://ncode.syosetu.com/n6175hp/

― 新着の感想 ―
[良い点] 全員が回復できるのは非常に強いと思うけどなぁ? 特別頑丈な奴がいない代わりに弱点もないわけで  全員が前に出て棒で殴りながら  けがをしたら相互に回復しあうのだ 攻撃性能が低くてあらゆる…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ