後ろ指差される俺たち! そんなにこのパーティー編成おかしいですか?
あの後、俺たちは意気投合した。
「そうなんですよ!!私の変わりはポーションでもできるって言われました。」
「私もだ。ずっといっしょにやって来たってのにあんまりな話だよ。」
「俺もですよ。なのに何で向こうが泣くんだって話です。」
「泣いてもらえたんならまだいいですよ。私なんて蹴りだされたんですよ。KICK-OUTされたっていう意味じゃなくって、ホントに蹴られたんです!女の子蹴るって酷くないですか?」
「確かにそれはひどいなぁ。」
こんなカワイイ子を蹴り飛ばすなんてとんでもない。
ちっこいし良く転がりそうだ。
「私のほうは仕方のないところはありますね。最近みんな強くなり過ぎて、私の回復の出番が少なかったですから。」
「ところでフローレンスさんはどこのパーティーにいらっしゃったのですか?」
「『そびえたつ頂点』です。」
おおっと、この冒険者ギルドのAクラスパーティーだ。
俺の元居たパーティーのライバルだ。
俺が一番強いヒーラーだとばかり思ってたがそうでもなさそうだ。逆に心強い。
「俺、『深紅の殺意』に居たんですよ。」
「ええ、よく知ってます。散々ディーレさんと比べられて叱られて来ましたから・・・。」
おっと。
俺、有名人だったらしい。
うつむいて、少ししょんぼりしたフローレンスさんがカワイイ。
だが、マスクを取った顔をまだ見ていないので、今はまだ積極的にはいかない。
「A級でやってこれたなら十分だよ。」
先にグリゴリーがフローレンスを慰めた。
グリゴリーはいい奴のようだ。
「そういうグリゴリーさんはどちらの冒険者だったのですか?」
フローレンスが訊ねた。
てか、こいつどっかで見たことあるんだよな。
「私は『角の巨人』の回復役でした。」
「ええっ!」
なんと!
『角の巨人』は隣のギルドお抱えのSクラスパーティーだ。
今の王都にはSクラスパーティーは彼ら一人しかいない。
みんな予想以上に強かった。
なんと心強いことか。
これで、職業がばらけていたなら言うこと無しなのだが。
というわけで、
職業の編成に問題はあったが、とりあえずパーティーを組んでみようと言う事で、俺たちは受付のレビンちゃんに登録のお願いにやってきた。
「ええっ!? ヒーラーばっかですよ?」
そりぁ、驚くわな。
「かまいません。登録をお願いします。」
「冗談だったら止めてくれません? 私これでも皆さんと違ってかなり忙しいんですけど?」
「ちょ、冗談じゃないです! 本気なんで登録お願いします。」
レビンちゃんが『こいつら正気か?』という表情で俺たちを見つめた。
そんなに、驚かれるとショックなんですけど・・・。
ギルドのホールに居た他の冒険者がせせら笑うのが聞こえてきた。
「あいつらあの編成でパティ―組むんだってよ!?」
「まじかよ、普通、諦めるよな。」
「あの編成でどうしようってのか・・・、必死過ぎるだろ。」
「ああはなりたくないものね。」
おのれ・・・。
地獄耳なせいでお前らの陰口が全部聞こえてんだよっ!
レビンちゃんが確認するように俺たちに問いかけてくる。
「ホントにヒーラーばっかのダメパーティーで冒険をするつもりですか? 諦めたほうが良いんじゃないですか?」
ちくしょう。
目の前で直接行ってくる奴までいるじゃねえか。
てか、この子が一番酷い。
「そ、それでもお願いします・・・。」
心折れそうになりながらも、お願いする。
「ええぇ・・・しょうがありませんね。仕事ですし、仕方ないからやりますけどぉ・・・。」
レビンちゃんはめんどくさそうにブツブツ文句を言いながら手続き書類を取りに奥に引っ込んで行った。
「なんか、感じ悪いですね。」
フローレンスがプンスンと怒りながら言った。可愛らしい。
「ええ、周りの空気も悪いようだ。」
俺は睨むように周りを見渡した。
数人が慌ててアクリル板の陰に身を隠した。
めっちゃ見えてる。
「なに、気にしないで行きましょう。」
グリゴリーだけは前向きにそう言った。
さすがは元Sランクパーティー。
こういうところは是非とも見習って行きたい。
と、突然、
「痛いっ!」
フローレンスが叫ぶと、背中を押さえてビックリした様子でうずくまった。