ヒーラーだからアンデットなんて余裕? いえ、それはクレリックの役目です!
「おい・・・これはどういうことだ。」
4階層のフロアボスの部屋でマッスルは呻いた。
まさか、ファンタンゴまでもが出てくるとは。
しかも、倒されている。
「『深紅の殺意』ってそんなに強いの!?」
「今までのフロアボスだって、かなりの強敵でしたわよ? いくら『ヒーラーイラーヌ』を背負ってたからって、とてもじゃないけど無理ですわ!」
フェンリルの時点で『ヒーラーイラーヌ』なんかが幾つあったところで回復が間に合わない。
「・・・そうか。分ったぞ!」
「どうしたの? マイハニー?」
「アイツら、3密無視して6人でパーティー組みやがったに違いない!!」
「そうにちがいないわ! でなきゃファンタンゴなんて倒せるわけないもん!」
「まあ、なんて卑怯なんでしょう!!」
「ともかく、まずいぞ! ズルだろうが何だろうが、アイツらに先に魔王を倒されちまったら、俺たちが魔王を倒せなくなっちまう。それじゃ報酬がでねえ!!」
「急ぎましょ! マイハニー!」
「そうですわ! チンチクリンたち何かに負けてなるもんですか!」
* * *
さて、大変困った事になったので、現在緊急会議中だ。
車座になって、今の危機的状況を話し合っている。
「本当にすまみません。ヒール。」
俺は素直に頭を下げた。
フロウは罠探索を頑張ってくれているし、グリゴリーは何かを削りながら『例の作戦』を遂行してくれている。
索敵くらいはきちんとこなさないと面目がたたない。
「別にディーさんのせいじゃないですよ。ヒール。」
「さすがに、こいつは音を出さないからねえ。ヒール。」
フロウとグリゴリーが俺を慰める。
まあ、確かにそうなんだけど、音に頼り過ぎて、憑りつかれるほど接近されるまで気がづかなかったのは完全に油断だった。
「もっと注意しておくべきでした。ヒール。」
「気にしないでくださいって。それより、今はこれをどうするかです。ヒール。」
「私たちじゃ、ダメージあたえられないしなぁ。ヒール。」
一同は揃って上を見上げた。
俺たちの上には、大鎌を持ちローブを来た骸骨のカッコのゴーストが浮かんでいた。
生前は由緒正しき貴族だったのか、頭には王冠が乗っている。
ゴーストはモリモリと俺たちの体力をドレインしていた。
ちなみに痛くはない。
とりあえず、今は互いにヒールをかけながら耐え忍んでいる最中だ。
アンデットなんだからヒーラーには都合の良い相手だとよく誤解されるが、ヒーラーにアンデットを還す手段はない。
それができるのはクレリック。
宗教団体の人たちだ。
彼らも回復魔法が使えるのでよく混同される。
「攻撃魔法ならダメージが通るんだけどなぁ。ヒール。」
「魔法剣とか持って無いですか? ヒール。」
「まさか。それに持ってても届かないよ。ヒール。」
「これ、このままマナ切れで私たちの負けですかね? ヒール。」
「いやあ、前のフロアまで戻ったら憑りつきが離れるとかないですか。ヒール。」
「さすがにそれは目論見が甘いと思うけど、一応試してみる価値はあるかもしれない。ヒール。」
「このまま、ダンジョンボス攻略しちゃえば良くないですか? ファンタンゴ出て来たし、さすがにこの階層がラストだと思うんですけど。ヒール。」
「いや、ファンタンゴが出てくるくらいだから、ここのボスは相当でしょ? この状態の俺たちで敵うかどうか。ヒール。」
「確かにそうですねぇ。でも、帰ろうにも帰れませんし。ヒール。」
「うーん、このまま行くしかないのか? ヒール。」
と、その時だった。
無数の光の弾が猛スピードで飛来して、ゴーストを消し飛ばした。
知ってる。
マジックボムの魔法だ。
呪文を唱えれば召喚することができるが、発動は任意のタイミングで行えるという高等魔法だ。
幾つも召喚しておいて一度に発動することもできる。
誰かがすげえ数を召喚して飛ばしてきたんだ。
「誰!?」
マジックボムの飛んできた方向を見ると、そこにはシーラたちが居た。
一話投稿ができていませんでした。
この章を飛ばしてしまっていたかたが居たら申し訳ございません。




