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世界最強の司書さんは本に住まう最上級悪魔を人知れず始末する

 悪魔それは地獄の住まう最悪の存在であり狂った精神生命体。

 人の悪感情を好み、他の生命体に危害を加えることで快楽を得る迷惑を超えて害悪な存在。

 そして多種多様な魔法を自由自在に使いこなし、下級悪魔でも街一つ滅ぼせる力を持つ恐るべき存在。上級悪魔となると過去には国をいくつも滅ぼした記録のある程の化け物という言葉すら生ぬるく感じるような強さを持った存在。

 そんな上級悪魔を超える力を持った。最上級悪魔がとある本に封印されていた。その本の名前は【ヘンテコダンスとヘンテコな踊り44巻】という余りにおかし過ぎる本であった。

 そしてその件の本はとある国の国立図書館の禁書庫の棚ではなく一般棚の奥の奥の方に安置されていた。絶対に誰も気が付けないような場所にたった一冊ポツンと安置されていた。

 そんな本を今とある世界最強の司書が見つけてしまった。


 ――――――――――――――――――


「ん?何だこれ【ヘンテコダンスとヘンテコな踊り44巻】?不思議な本だな。確かこの本って1巻~7巻までしかなくて7巻のなんじゃもんじゃダンスと蛙和踊りを融合させた全く新しい蛙んじゃ和んじゃでハッピーエンドの巻で完結してなかったけ?作者さんも蛙んじゃ和んじゃでハッピーエンドを作り出したことに感動してこれこそが自分の最高傑作ってもう次は作らないと後書きに書いていたと思うけど?・・・・・・・おかしくね?まあ。いいや取り敢えず読んでみるか」


 ペラ


 何気なくページをめくったその瞬間だった。

 世界の時間が止り、色が消えた。


「お。これは時空間魔法・時止めと色魔法・灰色の世界じゃん?どうしてこの魔法が発動された?」

 ユウヤは至って冷静にそう状況を分析する。


「おい。お前が我を封印から解き放ってくれたのか?」

 話しかけられたので前を向くと、そこには禍々しい6本の翼と大きくねじれた4本の角に全身紫でやけに巨大な化け物。いや悪魔がいた。


「なるほどね。悪魔が封印されていたのか。いやはやいやはや、危ないね開けたのが俺だったから良かったが普通の人なら確実に死んでたよ。国立図書館で死者を出すわけにはいかないからな、全く持ってこういう危ない本は禁書庫の方に入れとけってんだ」

「おい、お前我を無視するな。我の問いに答えろ」

「ああ。ごめんごめん。忘れてた。ああ。そうだよ。俺がお前を封印から解放した。というか、何でお前封印されていたんだ?見た所かなりの高位の悪魔っぽく見えるが、いや待てよ。本に封印されている高位悪魔ってお前もしかして最上級悪魔・デスキルか」

 ユウヤは3日ほど前に禁書庫で読んだ【国を滅ぼした悪魔】という本を読んだのを思い出してそういう結論に至る。


「おお。よく知っておるな。如何にも我は最上級悪魔デスキルである。悔しくも忌々しい神の手によってこのふざけた本に封印されてしまったが我は復活した。さあ。今こそもう一度国々を滅ぼして。世界を我が物としてやる。ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」

「おい。ここは国立図書館だと静かにしろ。そんでもってお前が国々を滅ぼしたら本が読めなくなるだろ。やめろ。もしここでやめると決意したのならば命だけは助けてやる。まあ契約で縛るけどな」

「は?人間今何と言った?我に指図をしたな?人間の分際で、我の封印を解いてくれたから殺さずにおいてあげようと思ったが気が変わった。今ここでぶち殺してやる。死魔法・抗えぬ死」


 ・・・・・・・・・・


 しかし何も効果は無かった。


「は?何故効かぬ?」

 悪魔の驚いた声が響く。


「それはそうだろ。死魔法・抗えぬ死というのは魔力量が自分よりも10倍以上ある存在には成功確率が0%になるからな?」

 ユウヤはさも当たり前のようにそう言った。

 しかしそれは余りにも異常な事であった。最上級悪魔という精神生命体であり人智を超えたという言葉じゃ効かない、文字通り桁が違うレベルの魔力量を誇る最上級悪魔よりも10倍以上魔力が多いということだ。

 意味が分からなさ過ぎて笑うしかない。


「は?どういうことだ。そんな馬鹿な。最上級悪魔である我よりも魔力量が多いだと。そんなはずがない。魔力鑑定。ひゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああ。ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」

 最上級悪魔は迂闊にもユウヤの魔力を鑑定してしまった。

 そして知ってしまう。その余りにも異常な魔力量にそれを知ってしまったがゆえに恐怖とその力の強大さに驚き狂うように笑ってしまった。

 まず基本的に普通の一般人の平均的な魔力は10である。そして魔法使い系統の職業を授かった者の平均的な魔力量は100程度である。

 そしてその中でもSランク冒険者や国家魔導士として活躍できるレベルの魔法使いの魔力量は1000である。

 そして最上級悪魔であるデスキルの魔力量は驚異の12000である。

 じゃあ、ユウヤの魔力量は幾つか?

 その答えは474689であった。

 分かりやすく言うと47万6千7百89。普通の人の4万7千倍であり。平均的な魔法使いの4千7百倍でありSランク冒険者や国家魔導士と言った人間の頂点と呼ばれる魔法使いの4百7十倍であり、最上級悪魔の約39倍である。


 ハッキリ言って化け物が可愛く見えるレベルである。


 魔力量はそのままイコールで魔法の威力に直結する。

 どれだけ技量があろうとも、魔力量で10倍以上の差があると。上級魔法が下級魔法で相殺される程の圧倒的な力の差が開く。

 常識的に考えて勝てるわけがなっかた。

 そして最上級悪魔はそれを理解していた。むしろ人間よりも魔法に詳しく人間よりも大きな魔力を持ち人間を超えるレベルで魔力というものに依存をしているのだから猶更だ。


「お前は。いや貴方様はどうやってそんな莫大な魔力を手に入れたのですか?」

 最上級悪魔は謝罪と服従の証である頭を床にこすりつけて跪くという行為をしながらユウヤにそう質問をした。


「そうだな。まあ、どうせお前は今から俺に殺されるわけだから冥途の土産に教えてあげるか。俺の職業【読書家】でな10年以上欠かさずに10冊以上の本を読むという生活を続けた上で本を読むという行為のみで読書家のレベルを上限である100まで上げると。スキル【本=力】というスキルを手に入れられる。ほんでそのスキルの効果が今まで読んだ本の冊数×1自分の全てのステータスが上昇するというものなわけさ。ほんで今まで俺は47万4千五百七十九冊の本を読んでるわけ。そんでその分ステータスが上昇したからこんな馬鹿げたステータスを獲得したわけさ」


「待て。ということは貴方様の職業は【読書家】という非戦闘職というわけですか?待て待て待て待て待て待て待て。嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。この我が最上級悪魔であり。数多の人間を殺し。数多の国を滅ぼした歴史に残る大悪魔である我が。神にする挑んだこの我が非戦闘職ごときに負けるなど嫌だ。そんなことそんなこと許されてたまるか~~~~~~~~~。ふざけるな~~~~~~~~~。死ね人間よ。地獄魔法・獄魔覇滅」


「魔法無効化」


 パリン


 最上級悪魔が自身の持つ最強の魔法であり。放てば大陸に大きな穴をあけることの出来る大魔法を放った。それをたった一言ユウヤが魔法無効化と言い放つだけで無効化して消滅させた。

 そこにあったのは圧倒的な力の差。圧倒的な格の差。大人の子供なんてレベルじゃない。像と蟻いや魔王とゴブリンと言っても過言じゃないそのレベルの力の差であった。


「さてと。じゃあ最上級悪魔であるデスキルよ。これが本当に抗えぬ死だ。死魔法・抗えぬ死」


「ぐああああああああ・グギャアアアアアアアア。ああああああ。苦しい。痛い。辛い。キツイ。裂ける。割れる。狂う。イカレル。イタイイタイイタイタイタイイタイアアアアアアア。助けろ。我はこんな所で死にたくない」

 最上級悪魔が身体を捻らせて叫ぶ叫ぶ叫ぶ。しかしその言葉は無意味であった。何故なら死魔法・抗えぬ死は相手に効果が発動さえすればその名の通り抗えない死を与える魔法であるのだから。

 そして魔力量が10倍以下の相手にこの抗えぬ死をかけた時。その効果発動率は100%となる。


「さてと。死にたくないって言われても。抗えぬ死にかかってるのだから。もうお前は死んでるよって、あ、今話してる間に死んだか」

 そうして世界最強の司書は人知れず何百万という人間を殺戮して何十という国を滅ぼした歴史上最も忌むべき悪魔をたった一人で完璧に殺した。


「さてと、さっきの悪魔が使っていた時止めも終わったし色も元に戻った。で。今俺の手元に残ったのはあの悪魔が封印されていた本と悪魔の死体と。さて、取り敢えず悪魔の死体は見つかったら不味いし。他の悪魔が食べたらその悪魔が強化されるんで空間魔法・異空間に仕舞って。残ったこの本はせっかくだし読んでみるか」


 そうしてユウヤはいつもの様に本を読み始めた。


 3分後。


「マジかよ。なんて本に悪魔を封印してるんだよ」

 静かな図書館にユウヤの驚きの声が響き渡る。

 それもそのはず、その本の内容はヘンテコダンスとヘンテコな踊りではなく、完璧な異世界転移について書かれていたのだから。


――――――――――――――――――

 最上級悪魔デスキルさん的に自分という強者が非戦闘職ごときにやられるとはプライドが許さなかったようです。デスキルさん的に自分を滅ぼすとしたら神か英雄や勇者、もしくは最上位戦闘職である魔剣王や魔導王に戦闘王や万能者とかだと考えていた模様。

 それがまさか非戦闘職それも【読書家】という職業にやられるとはつゆほど考えていなかったですよう。可哀想に。


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