リビングにて
タオルを肩にかけ、髪を拭きながらリビングに戻ると、酔っ払い勢二人が、ふて腐れている。何もされず、ベッドに放置されたのが気に食わないらしい。
俺は、空いたソファーに座り、ヘアブラシを取ると、アイナを呼んだ。
パタパタと、アイナがやってくる。俺の前に立たせると。左手にヘアドライヤーをイメージして、適度な温風を出した。
ヘアブラシで丁寧に漉きながら、アイナの髪を乾かす。アイナは気持ちがいいのか目が細くなっている。
「よし、乾いたな」
おれは、収納カバンから、緑のバレッタを出す。
「ポニーテールしかできんが許してな」
ヘアブラシで髪を後ろにまとめ、バレッタで固定した。
「うん、可愛い」
俺が言うと
アイナは赤くなっていた。
「で、どうした二人とも?」
ふて腐れてる原因を聞こうじゃないか。
「アイナばっかり」
「アイナばっかりです」
「お前ら、酔っ払って寝てただろ?」
クリスもフィナも目を伏せる。
「風呂入ってきな、お前らも髪乾かしてやるから」
「「えっ、いいの(です)?」」
「マサヨシがやると気持ちいい」
アイナがぼそりと言う。
先を競うようにして、2人は風呂へ向かった。
そういえば、洗面台に木のコップがあったな。
「アイナ、すまないが洗面台からコップを取ってきてくれないか? 俺が行くと何か面倒なことになりそうだ」
コクリと頷くと、洗面台からコップを取ってきて渡してくれた。
風呂上がりに水が欲しい。それもキンキンに冷えたやつ。空気から水分をコップに回収。あとは、冷やすっと。
「ほい、風呂上りに飲んでおきな」
アイナに渡す。コクコクコクと喉が動き、水を飲む。そしてコップを返してきた。
「美味かったか?」
コクリ
もう一度同じように冷水を作り俺も飲む。温まった体に気持ちいい。コップを机に戻し俺はソファーにもたれた。
「あー疲れた」
アイナが俺に寄り添うと、俺の頭を撫でた。
「ありがとな」
俺がそう言うと、アイナは嬉しそうに笑った。