風呂に入る
「アイナ、一人で風呂に入れるか?」
ブンブン
アイナは首を横に振る。
風呂に入った記憶が無いらしい。
「一緒に入るか?」
コクリ
アイナは頷く。
「ちょっと準備してくるから待ってろ」
俺は風呂に行って魔光燈に魔力を送り明るくする。そして浴槽に水を張った。
「魔石に魔力を送り込めばいいって言ってたな。よっと」
結構な水量が出て、あっという間に浴槽がいっぱいになった。湯加減もいい感じだ。
俺はリビングに戻ると、
「よし、風呂の準備ができた。風呂に入ろう!」
コクリ
アイナは頷いた。
俺は、自分の分とアイナの分の着替えとタオルを持ち、風呂に行く。アイナも付いてきた。
かけ湯をして風呂に入る。浴槽に横になり足をのばす。浅めの浴槽だ。
「ふう、いい風呂だ。アイナ、気持ちいいだろ?」
「うん」
「おいで」
ラッコのようにして、二人で風呂に入る。
もし、子供が居たらこんな感じだったのだろうか? アイナくらいだったら、もう風呂にも一緒に入ってもらえないかもな。なんて思った。
「ふぅ……温まる」
コクリ
アイナが同意して頷く
「泡が欲しいな……ジェットなやつ」
泡と水流で体をほぐす奴が欲しくなった。イメージして、魔法をかける。
「何?」
アイナが振り向く。急に水が流れ出してびっくりしたようだ。
「おっ、おおう、気持ちいい」
「流れができた」
アイナが言う。
「そう、水流で体をほぐすんだ。泡のプチプチも気持ちいいだろ?」
コクリ
「さて、体を洗ってやる。浴槽を出るぞ?」
これが、石鹸? 海綿はスポンジ替わりか。泡立ててと。
アイナの体をゴシゴシと洗っているときに、見たことがある物に気づいた。
「ん? これって隷属の紋章? 何でだ?」
アイナに聞くと
「わからない、前から付いていた」
わからんものは仕方ない、
「まあ、あとで考えるか」
再びゴシゴシとアイナの体を洗う。髪の毛も丁寧に洗ってやった。
アイナは気持ちよさそうだ。
お湯を頭からかけてハイ終わり。
「浴槽に入ってろ」
アイナがじーっと俺を見てる。ちょうど背中を洗おうとしたが、海綿が背中に届かず苦戦していた時だった。
「どうした?」
気になったので聞いてみると、
「手伝う」
アイナが言った。
「背中を洗ってくれるか?」
コクリ
俺は海綿に石鹸を追加しアイナに渡す。
背中を丸めて待っていると、アイナは両手で海綿を持ち、ゴシゴシと俺の背中を洗ってくれた。
「もういいぞ、風呂に入ってろ」
俺も、ちゃっちゃと残りを洗う。石鹸を流し湯船に入った。
「百まで数えるか?」
コクリ
「声出せよ?」
「うん」
「「いーち、にーい、さーん、…………」」
俺はアイナとゆっくり百まで数えて風呂を出た。タオルでアイナの髪と体を拭く、そして下着を着せた。
「はい、おしまい」
そう言うと、アイナの尻を軽く押してリビングへ送り出す。
俺も体を拭き、下着に着替えてリビングに戻った。