二人は?
俺のステータスを見たら、やっぱり二人のステータスも見たくなる。
「さて、人のステータスを見たんだ、クリスもフィナも見せてくれよ」
「ハイッ! ハイッ! これが私のステータスね。ステータスオープン!」
どうしても先に見せたいのか、クリスは跳びながら手を挙げ、フィナより先にステータスを見せてきた。
クリスティーナ=オーベリソン 女性 44歳
HP:24783
MP:15754
STR:SS
INT:S
AGI:SS
DEX:S
VIT:A
職業:レンジャー
所有者:マサヨシ
冒険者ランク:B
こういう世界の姓持ちって、大体貴族だよな。
「お前、いいとこのお嬢さんじゃないのか? 姓ついてるし……」
「まっ、まあね。事情があるのよ。機会が来たら話す……」
クリスが焦っている。俺の不意打ちに困っているようだ。
「了解、期待しないで待ってるよ。で、これってすごいステータスなの?」
俺は基準がわからないので、素直に聞くと、
「マサヨシ様、このステータスなら通常のSランク冒険者よりも強いと思います。Sランクと言ってもパーティーを組みますから、実際には一番高いステータスでもA程度かと」
フィナが言った。
「私も驚いたわ。元々ステータスは高い方だと思っていたけど……」
クリスが言う。
「クリス、レンジャーって職業は何?」
「シーフの上位職、自然と精霊とともに生きる職業。簡単な治療もできるわよ。精霊魔法もちょっと使えるかな。斥候もできるから任せてね。あっ、前衛もできる」
器用貧乏……って言ったら怒られるよね。言っちゃいけないよね。
「おっ、冒険者ランクB、凄いねぇ」
俺がちょっと誉めると、
「私が居たら、あなたもダンジョンに入れるわよ」
クリス、ちょっと鼻高々?
「おっと、クリスって四十四歳か? 俺より一つ下なのな」
クリスは目を見開き俺を見た。
「えっ、さっきステータスでは二十二歳って書いてあったじゃない!」
「そんなに驚かなくても……。あのな、俺、元々向こうで四十五歳だったんだわ。で、こっちに来てから年齢だけが二十二歳に戻った。実際わけわからん。俺、二十二歳の頃はもっと痩せてたんだけどな。体脂肪率十%ぐらいだったんだぞ。でも、ほらこれだ」
俺はクリスにメタボ腹を見せた。
「体脂肪率? んーわからないけど、もしかして、だから私を襲わなかった? 枯れてる?」
「そうだなあ、人間で四十五歳と言えばもう人生の半分終わってるからなぁ。性欲が無いわけじゃないけど、若いころよりはね。まあ、さっきも言ったけど、性欲云々じゃなく亡くした嫁さんの顔がちらつくんだわ。正直クリスは綺麗だ。好意もある。ただその先にはまだ行けないみたい。俺はクリスに会って楽しいし、今は仲間としてこの生活が続くといいと思ってる」
どこかで吹っ切らなきゃいけないんだろうね。
「ばっ、なっ、まあ、私も……楽しい。だから今は仲間としてね……今後は……」
クリスはモジモジしながら顔を真っ赤にして答えた。
「次は私!! ステータスオープン!」
割り込むように入ってきて、フィナが俺にステータスを見せる。
フィナ 女性 14歳
HP:48586
MP:1238
STR:S
INT:A
AGI:SSS
DEX:SS
VIT:SS
職業:獣剣士
所有者:マサヨシ
冒険者ランク:C
「おっと、クリスに見劣りしないね。いい勝負」
「でしょ?」
フィナがクリスと張り合ってくる。
「獣剣士って? 何?」
「獣人の能力を使って戦う剣士ということです。VITが高いので前衛向きですね。あと素早さが高いのは、銀狼族の特徴です」
種族固有の職業か?
「おっ、フィナも冒険者ランクCか、結局初心者な俺が一番低いんだね」
これはまあ、仕方ないか。
「大丈夫です。私と一緒でもダンジョンに入れます。一緒に活動すれば、マサヨシ様ならすぐに追いつきますよ」
フィナは俺の腕にしがみつき、見上げてきた。クンクンと匂いを嗅ぐ。
「マサヨシ様はいい匂いなんです。オスの匂いがします」
フィナは俺の匂いが気に入っているようだった。
加齢臭じゃなきゃいいんだが……。