ステータスを見よう
受付から離れ、食堂の机に三人で座ると、
「「マサヨシ(様)ステータスを見せて(ください)!」」
と、興奮気味にクリスとフィナがやってきた。
期待に満ちた目だ。
水晶にヒビが入ったから高めのステータスだと受付嬢は言っていた。いざ開けてみて最低ランクだったなら、それはそれで面白いと思うが、わざわざイバラの道を歩きたくもない。
「ステータスオープンと唱えればいいんだよな?」
二人が頷く。俺もステータスに興味があるので、
「ステータスオープン」
唱えてみた。
マサヨシ 男性 22歳
HP:145823
MP:96574531
STR:EX
INT:EX
AGI:EX
DEX:EX
VIT:EX
職業:創魔師
冒険者ランク:F
細かい字で書いてあった。二人が覗き込む。二人の頭で俺ステータス見えんじゃん。
「「えっ?」」
クリスとフィナが振り返り、きょとんとして俺を見ていた。若干引いてる?
ん? どうした、何があった? 最低ランク? イバラの道か?
二人の間からステータスを見ると、そこには二文字……EX。んー。どこぞの湿布?
というか、老眼が治ってるぞ? 細かい字も見える。
「で、EXって何?」
と、俺が聞くと。
「EXなんて……さすがマサヨシ様。あれだけ強ければあり得ます」
誇らしげにフィナが胸を張り何度も頷いていた。
「そりゃどういうことだ?」
「ステータスの表示の意味は、Eランクが一般人程度、Aランクが一万人に一人、Sランクが十万人に一人、って感じで、、単純計算だと、EXは一億人に一人になるの」
クリスが説明してくれる。そう言えばそんなことも聞いたな。
「ふんふん」
頷くしかない。
「STRやINT毎に一億分の一だから、全ステータスがEX、非常識なHPとMPのマサヨシは……要は、バケモノなのよ」
クリスの中で例える物が無くて、俺がバケモノ扱いになってしまった。
「ステータスは人に見せないほうが良いよな? 揉め事の原因だよな?」
って、クリスに聞くと、
「そうして頂戴」
クリスの目が真剣だった。
「ふむ、で? 職業は創魔師? 聞いたことある?」
「「聞いたことが無いな(です)」」
二人は言った。珍しい職業なのだろうか?
「すみません、創魔師って職業わかります?」
俺は振り返り、受付に居たリムルさんに聞いたが、首を傾げるばかりだった。ただ、
「もしかしたら、あなただけの固有の職業なのかもしれません。たまにあるんですよ、そういうの」
ほうほう、固有の職業。しかし、創魔師って何だ? 魔法を創ることができる? 確かにマップやレーダー、銃器魔法、高速移動は、俺がイメージしたものが魔法になったものだ。魔法は『イメージ』って地でいく職業ってことか? だったら、納得できる。
しかし、俺が一番驚いたのは年齢が二十二歳ってこと。そういえば、こっちに来てから一度も鏡見てなかったな。異世界転移って年齢が半分になるの? 大体年齢そのままで転移するような話が多いんじゃないの? 心と体型がオッサンで年齢だけが22歳。ステータスはフルEX? 変な感じだが、老眼が治ってたのは良かった。
こうして冒険者ランクFの見た目メタボな冒険初心者が誕生した。