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私はただ錬金術を極めたいだけです  作者: 雪華
第一章
8/10

008.今後の為に 後編

 そして報告にやってきた冒険者ギルド。


「メアリーさん、こんにちは」

「こんにちはイズミちゃん。今日は個別依頼を受けたのよね」

「はい、これです」

「で、こっちが常時依頼の分な」


 ギルドカードと一緒に薬草が入った袋を提出する。

 メアリーさんは素早く分別していき、カイルさんの袋にそれぞれいくつかの薬草を残して精算していく。


「まず、個別依頼は無事達成できているわ。次に常時依頼、ミシュア草30株にピリュシュ20株、マーリン草20株と魔香草20株を引き取らせてもらいます。成果報酬は合計で1400シルね」


 返されるギルドカードにカイルさんと私、それぞれに大銅貨7枚を渡す。これで私の手持ちは900シルだ。

 返された袋には四種類の薬草がいくらか入っている。


「ほんっと、イズミちゃんは優秀ね」

「こいつ向いてるからな。んじゃ、俺らこれから荷車と箱を見に行くわ」

「? ああ、採取に使うのね。確かにこのペースだとそっちの方が一度に多くとれるものね」

「はい。それと、料理のバリエーションを増やしたいのでレシピが見られる場所に」

「んー、だったら図書館がいいかも。有料だけど写本が許可されてるから、おすすめよ」

「じゃぁ、それで。カイルさん、お願いします」



 メアリーさんとの会話は終わり、カイルさんとともにギルドを出る。その際、クレスさんに一礼をしておくことは忘れない。

 向かう店は袋を買った雑貨屋さんだ。


 改めて雑貨屋を見回すといろいろと種類豊富だが、色は茶色や迷彩柄と、地味な色合いをしている。やはり冒険者が仕事で使うものを扱っているから、こういった色合いなのだろう。

 商品をいろいろと物色して、薬草を入れるのにいい感じの箱を見つけ、店員に聞いて私でも引けられそうな、さほど大きくない荷車も見つけられた。

 荷車はさほど需要がなかったらしく、50シルで売られており、隣に置かれていた大人が引くサイズだと300シルもしていた。子供サイズは家が店である子供がたまに使うという場合があるらしいが、そういったところでは家が元々持っていることが多く、早々損傷しないから新品を買うことは少ないらしい。大人用であれば頻繁に使われるし、街の外を行き来するから損傷しやすいということで、買い替えの必要がある為需要があるとのこと。


 シューラ平原は魔物がめったに表れない場所で、さらに離れた森なんかまでいかなければ魔物に襲われる心配も低い。それにもしも現れたとしても、街で武術を学んでいる子供でも倒せれるほど弱い魔物しか出てこないから、今後私の魔術の鍛錬を重ねたら一人での採取を行ってもいいとのこと。

 それは私にとってうれしかったし、都合がいいことでもあった。まず、私の都合でカイルさんの時間を拘束しなくて済むこと。カイルさんはCランクという高い位置に存在する腕利きの冒険者だ。私がこなしているような以来よりも金入りのいい依頼を受けられるだろうに、今の状況では私の都合で低いランクの依頼しかやれない。これはとても心苦しいことだった。

 私にとって都合がいいことは、魔術の練習で人目を気にせずに行えるようになるということだ。ユニークスキルである『アイテムボックス』はこっそり使用可能だと、実は今日の採取中に行って分かっているため別にいいが、純粋に自衛の為に習得したい魔術の練習で、あまり派手なのや多くの種類はカイルさんたちの前でも見せられない。だからシューラ平原、私がこの世界に来た位置でなら門番であるキースさん達の目に入らずに練習できると思ったのだ。木属性の魔術を利用すれば採取対象の薬草を栽培して採取することもできるかもしれないし。




 ので、一人でシューラ平原に行ってもいいとカイルさんが判断してくれるように、魔術を鍛えることにした。

 カイルさんはあまり急ぎ過ぎない方がいいと思うが、これは私の自立のためでもある為、そこは譲れなかった。

 説得した結果、カイルさんの仲間に魔術師がいるらしく、その人に教わった方が安全とのことでその人の時間が空いた際に教わることとなった。もちろん、最終的にはシューラ平原に出没する可能性のある魔物を、カイルさん監督の下一人で倒せられなければ、一人での採取は認められないと言われたが。



 とりあえず、雑貨屋で荷車と、荷車に乗せる小さ目の木の箱を一気に十二個購入し、箱を多く買うことで少し値引いてもらい合計で100シルで購入できた。

 荷車に箱が六個ほど並べてられる程度の面積だから、箱を二つ重ねておけば全て乗る。今は六つ箱があれば十分かもしれないけれど、この先を考えておけば十分必要になるだろう。










 荷車を引っ張りながら雑貨屋を出て図書館に進む。

 カイルさんに大丈夫かと声をかけられたが、明日からこれを自分で引いて採取するのだ。カイルさんに甘えてはいられない。大丈夫だと返し、今までと同じスピードで歩みを進める。

 造りがいいのか、あまり苦ではないことも理由の一つだ。もちろん、荷物が増えても引っ張っていけれるように付与魔術でのブーストも身に着けておくべきだろう。確か火属性の付与魔術が力分野のブーストであったはずだ。


 途中、甘いジュースや軽食を売っている屋台で一息を入れたが、その際は全額奢ってもらうことになった。カイルさんにとっては大人としての矜持もあってだろうが、中身は既に成人済みの労働者だった側からすると申し訳なさしかない。

 飲んだジュースはクーリの実というオレンジ色の実を圧搾したジュースで、ブドウジュースのような味だった。軽食は焼き鳥のようなもので、ヴァルという鳥型の低ランクの魔物の肉らしく、シオンさんの家にあった干し肉もヴァルの肉だったようだ。味は中々に濃厚で、スープにした時の美味しさに納得できた。


「んん!美味しいです!」

「おお、気に入ってくれたか。ヴァルは動きを見切れれば簡単に倒せられるからな。冒険者の間じゃ野営の時こいつを食べるのが当たり前だな」

「安いんですか?」

「んー。こないだ食べた保存食よりは高いが、安い分類だな。よく狩られてはいるが、繁殖率がかなり高いのが低ランクの魔物の特徴でもあるから供給が高いんだ」


 なるほど、供給が高ければ値段も下がる。さっきの屋台でも、串二本で2シルだったし。




 屋台を眺めながらカイルさんに美味しい屋台や食事処を教わり、図書館に着いた。

 図書館は私が思っていたよりも大きく、国立図書館みたいだ。扉の前や、敷地内には警備目的らしい衛兵が点在している。


 冒険者も活用するらしく、武器や大きな荷物、人によっては魔獣を従えていたりするので魔獣も図書館に預けるらしい。

 私は杖を、カイルさんは剣を私の荷車に乗せ、衛兵に渡すと、何やら札をもらった。

 この札はいわゆる割符のような役目であり、これを帰る時に見せると自分の荷物が返ってくるとのこと。


 そして中に入り、最初に目に入ったのは受付カウンターに立つ女性だ。入って五歩程度の距離にある。丸い形のカウンターの後ろには本棚が見え、まずは受付をしてから本を読む許可を得るシステムらしい。


「こいつ、イズミが初めてここを使うんだが」

「はい、ではこちらに記載されている内容をお読みください。わからないことがあればご質問をどうぞ」


 事務的な対応感が半端ないが、きっちりと結い上げられた髪や気難しそうな顔立ちのイメージに合っていてしっくりきてしまった。


 渡されたのは一枚の書類で、書かれている内容はこの図書館を使用するにあったっての規則だ。

 書かれている内容は常識的なことばかりで、要するに図書館内での揉め事は厳禁。本や資料を損壊する行為も厳禁で、もしも何らかの損壊があった場合は罰金後その後の図書館の使用はできないとのこと。

 本や資料を閲覧することは無料で行えられるが、借りることは不可能。写本をする場合は入場の際に10シル支払うことが条件であると。また、写本する際に使用する紙は、持っていなければ図書館の方が十枚1セット5シルで販売しているからそちらを利用すればいいらしい。ペンとインクは無料で借りられるということも記載されていた。

 ちなみにこの図書館にはとある結界術がはるか昔にかけられているため、不正をして盗難や無断写本を行った者は図書館を出る際に大きなサイレンが鳴り響いて違反者を赤く光らせるらしい。



「はい。質問はありません。写本をしたいので紙を1セットください」

「わかりました。15シルいただきます」


 支払いを済ませるとすぐに紙とインク壺、万年筆、緑色のプレートを渡された。このプレートが写本する人だと示す印らしい。


「インクの補充は近くの者におっしゃらればすぐに補充に向かいますので」

「わかりました」


 一礼してカイルさんと図書館の中に入っていく。

 今日のメインは料理だが、余裕があれば魔術に関する本が読みたいと言ったところ、カイルさんは自分も少し調べたいものがあるらしく、図書館内では別行動をとることになった。

 カイルさんと別れた後、私は天井から吊るされている案内板を見ながら移動する。


 それにしても、昨日はたいして気にしなかったが、ギルドで見せてもらった書類や、先ほど受付で見せてもらった書類の紙は元いた世界の紙を少し荒くしたような、それでも白い紙だった。でも、購入した紙は今まで実物は見たことがなかったが羊皮紙だ。これはおそらく低ランクの魔物が材料なのではと思う。

 適当な本棚の間に入り、邪魔にならないように隅に行って『世界図書館』を発動する。閲覧する本は元の世界とこの世界の羊皮紙の作り方、それにこの世界の白い紙の作り方だ。


 結果としてわかったのは、この世界と元の世界での羊皮紙の作り方はほぼ一緒であることだ。材料となる動物の皮は冒険者たちが狩ってくる魔物の皮が利用できるし、作る過程を魔術で短縮するためこの世界では単価が安く済む。逆に白い紙は原料となる植物が限られており、魔術ではなく錬金術で作成されているため高価なものだとわかった。

 羊皮紙は初めて使うが、おそらく元いた世界で使っていた紙と比べれば書きづらいだろう。いずれ錬金術を身に着けることになったら自家製の紙を作ろうと決意する。






 疑問も解決したので『世界図書館』の発動をやめ、料理の本を探す。

 上を見れば棚ごとに分けられている本の分野が分かるし、全体の見取り図も所々にあるので迷うことなく目的の本棚にたどり着く。とりあえず初心者向けに見える本をいくつか抜き取り、本棚の横に並べられているテーブルの席に座る。


 この世界の料理の基本は元の世界と同じだ。煮たり焼いたり、肉や骨から出汁をとることもある。

 ただし材料の差か、和食に該当するものはなかったが。


 とりあえずメジャーと思われる料理のレシピを書き写していく。保存の効く料理もだ。

 書き始めて気付いたが、文字を書こうとすると自然にこの世界の文字を書いていた。練習する必要がなくて助かる。


 レシピを写している間に、カイルさんの知り合いに何の魔術を学ぶか考える。

 この世界の魔術師は多くが単一の属性に特化した魔術師で、適性がある者が複数の属性を扱い、時に複合属性をも扱う。別段適性がないからと言って使えないわけではないが、それでも威力は格段に落ちる。だが冒険者や軍人など、あらゆる状況に対応して戦う者はそれでは不利だ。故に魔道具で適性を補正して威力を補うこともできるらしい。

 私は『魔の真理』を持つからすべての属性の適正を持っているが、それはそう易々と誰かに言えるものではない。魔術を誰かから学ぶのであれば、周りに言える適性をある程度決めておいた方がいいだろう。

 幸いに適性の高い属性が二つ三つあっても、冒険者であればそれなりにいるらしいので付与魔術も披露することになる前提でとりあえずプラス補正ができる光属性はとっておきたい。ちなみに闇属性だとマイナス補正となる。


 一人で採取することを考えれば筋力のブーストをしたいので、火属性と光属性は確定だ。火属性だけでも短時間のブーストはできるが、それでは長時間ブーストしていたら怪しまれるかもしれない。

 それに水属性だ。いずれ薬師としての技術を身につければ回復魔術がなくとも自己回復はできるけれど、それでも回復手段は多く持っていてもいいと思う。この世界にはリセットボタンやセーブポイントがあるわけではない。生きるための手段は多く使える状態にしておきたい。

 そうなれば、私が適正が高いと周囲に思わせる属性は、火・水・光の三つになる。もちろん、他の属性の適性も多少はばれてもいい。


 何やら私の記憶喪失はキースさんの中でスキルの多さが理由と思われているが、こうなったならば魔術師としての才能も原因にしてしまえばいい。キースさんに私について、どの程度かまでは把握できていないが、説明されているカイルさんもそう思うだろう。そうなれば自衛手段はしっかりと学ばせてもらえるかもしれない。

 私は確かに『魔の真理』というチート的なスキルがあるが、私は自分の自衛が十分できればそれでいいのだ。あくまで魔術はいずれ習得する錬金術のためであり、冒険者として名をはせるつもりがない私は錬金術のための採取ができる限り自力でできる程度の自衛能力さえあればいい。

 自力で採取が無理そうならば冒険者に依頼すればいいのだ。そのためにはある程度お金がいるけど、今のうちに稼げるだけ稼いでおけばいいと思う。




 そんなことを考えながら、私が目を付けた料理を一通り写し終えた。

 羊皮紙は残り四枚と結構消費したが、まだ余裕はある。

 料理に関する本を片づけてから、今度は魔術に関する本を探す。


 こちらは別の階にあるようなので、二階に移動する。

 二階に行って掲示板を見ると、どうやらこの階は戦闘に関することが記された本が大半らしい。ちなみに一回は一般的な学問や歴史などがメインだった。


 魔術に関する本棚にたどり着き、どんな本があるかざっとタイトルを流し読みして見ていく。

 火と水、光属性に関して載っていそうな本と、付与魔術に関する本を見つけ、近くにあった踏み台を使って手に取る。

 その際、私は魔術関係の本が並ぶ中、思わず注目せざるを得ない本を見つけた。


 『錬金術における基礎知識』


 他に錬金術についての本は見当たらないため、誰かが片づけ間違えたのだと思いながらも、私はとっさにこの本も手に取る。

 わくわくとした期待を抑えきれずに口角が上がるが、それも気にせず近くのテーブルに本を着、真っ先に錬金術に関する本を手に取る。




 この世界における錬金術は、簡単に言えば物を作る途中作業を魔術によって短縮する技術だ。だからと言って魔術を使える人だったら誰でも使えるわけではなく、作る物に関する専門的な知識を身に着け、理解することでようやく短縮することができる。たとえば薬を作る場合、どの材料のどういった成分が必要で、どうすればその成分を劣化させずに扱えるかといった知識が必要になる。さらにそれらの作業を短縮するにあたって、より精密な魔術の操作が必要になるから、錬金術は簡単に扱えないものなのだ。


 本に書かれている内容はこれらのことが細かく書かれており、これを知って挫折する者も多いとあった。

 他に書かれているのは、錬金術を行う場合、魔力を浸透させ易くるための器具や、属性ごとの魔陣布や魔陣基盤が必要ともあった。

 魔力を通しやすくするための器具はそのままの意味だ。材料が魔力を含みやすい器具のことで、魔術を扱う人がその材料を好んで装備品にすることもある。

 魔陣布や魔陣基盤は、錬金術を使う時に材料の下に置いて使うもので、魔力を浸透しやすい特殊な布や基盤に、これまた魔術との相性がいいインクで魔方陣を書いたもので、基盤の材料や木材や金属と幅広い。これらは錬金術で物を作るとき、完成する物の属性に合わせて使い分けることで、魔力の方向性を定めて錬金術の成功率を高める物だ。たとえば、爆弾を作るときは火属性の、薬を作るときは水属性と光属性の物を使う。魔陣布や魔陣基盤は複数同時に使うことができるが、その場合魔力の扱いが複雑になり難易度が高くなるのだ。そのため、水属性と光属性を必要とする薬を作れる錬金術師は、それだけで魔術にも精通した人物といわれている。

 もちろん、これらの作業にも本人の適正属性は関係する。適性の高い属性に分類する物がより作りやすいのだ。そのため、薬を作れる錬金術師は水か光、もしくは両方の適性を持っているのがほとんどということだ。もちろん、適性がなくとも作れるが、適性がある方がより作りやすい。



 本に書かれていたことはこのぐらいだったが、何も知らなかった私からしたら大変勉強になった。

 とりあえず羊皮紙に魔陣布と魔陣基盤に関してメモしておき、続いて付与魔術や戦闘で扱われる魔術に関する本を読んでいく。




 しばらく読み込んでいると、急に肩をたたかれ、びくりと体を揺らしながら後ろを向けばそこにいたのはカイルさんだ。


「カイルさんでしたか……」

「おお、びっくりさせちまったな。そろそろここを出て親父の家までの主だった場所を案内しようと思うんだが、まだここにいるか?」

「いえ、目的の物はもう読み終わっていたので、大丈夫です」

「んじゃ、片付けるの手伝うな」


 片付けぐらいお世話にならずともと遠慮しようとしたが、それより早くカイルさんは机に広げていた本をどんどん手に取っていく。

 これはあきらめて手伝ってもらうのがいいと判断して口を閉じれば、カイルさんが一冊の本を持って固まった。錬金術に関する本だ。

 その本を手に取ったカイルさんは苦虫を噛み潰したような表情で、本のタイトルを見ている。カイルさんは何か錬金術に嫌な思いを抱いているのだろうか? そう思いながらも、ギルドでカイルさんがこんな顔をしたことを思い出した。確かあの時は……。


「あの……」

「ん、ああ、悪い。ちょっと錬金術師で嫌な奴思い出してな……。イズミも興味あんのか? 錬金術」

「はい。様々なものを作り出す技術で、効果の高い回復薬も作り出せるらしいので」

「ん~。まぁ、興味を持つのはいいが、この本読んだならわかってるだろうが目指すなら茨の道ということだけは理解しとけよ? 錬金術はそう簡単に手が伸ばせれるもんではないしな」


 確かに、錬金術をするにあたって必要な道具は中々に高価なものだということは推測される。

 

「はい。今はシオンさんの下で薬師としての知識や技術を教わるつもりなので。その本は興味があったから読んでみただけです」


 今は確かに手は出せないけれど、この先知識を身に着け、お金もある程度稼げたら錬金術師に師事しようとは思っている。冒険者として働いていたら伝手もできそうだし、カイルさんは嫌がっているけどカイルさんのお知り合いに頼むのも視野に入れておく。


「親父に教わるのか。親父はこの街でもかなりの腕前の薬師だからな。教わるにはいい人材だ」

「シオンさんはお弟子さんをとったことは?」

「あー。今まで何人かとってたけど、親父選り好みするからな。気にいった奴しかとってねぇよ」


 私が接している限りシオンさんは優しい人で、そう思わないんだけどなぁ。

 そう思っているのが分かったのか、カイルさんは本をすべて片付け終えて言う。


「薬師目指す奴の中には無駄に自分の知識語りたい奴もいてな、それが気に食わないらしい。子供とか素直なやつなんかは気にいられてるな」


 なるほど。確かにそんな人は私も嫌だ。

 そして私も子供であるからあっさり気に入られたと。





 そしてシオンさんの家に着くまで店や名所を再び教わった。といっても、昨日とは別の店や名所だけれども。


 カイルさんとはシオンさんの家の前で別れ、夕飯の準備まで時間があったからシオンさんの下で薬作りを見学させてもらい、その際私が見たことのなかった薬草についてもいくつか教えてもらえた。

 ちなみに、夕飯はブイヨンの元となった肉をほぐして野菜と混ぜたサラダに、野菜スープ、帰る途中にカイルさんが買っておいていった魚の塩焼きである。


 夕飯を食べ終えたらシオンさんは再び薬作りの作業に戻り、私は台所を片づけた後、軽く廊下の掃き掃除と拭き掃除を行い、風呂を済ませて自室に戻る。

 おそらくこれがこれからのルーチンになるんだろうなと思い、私は部屋で『世界図書館』を発動させ、本を紙媒体で手に取る。脳内でイメージとして出てきた本を実際に手に取りたいと思ったらできた。どうやら私が手に持ってい間だけ現実世界で存在できるらしく、手を放した瞬間消えてしまう。私以外はこの本を認識できないようなので、こうやって一人の空間でしか手にとって読むことができない。

 なぜこうやってわざわざ紙媒体の本の状態で読むかというと、単に私の趣味としか言えない。元々電子書籍よりも紙媒体の本の方を好んでいたし。


 読む本はとりあえず今日は魔物に関する本だ。

 ユーグシー王国内に出没しやすい魔物に関しての本で、図書館や冒険者ギルドなんかでも置いてあるらしい。

 私は魔法で光源を確保してからそれを読むことに没頭し、眠気が着たらおとなしく光と本を消して自身のステータスを確認して就寝した。




イズミ・ユーリシュトル Lv.1

HP:30/30

MP:148/150


職業:錬金術師 Lv.1

   薬師 Lv.1

   魔法使い Lv.1

   治癒師 Lv.1

   付与術師 Lv.1


ユニークスキル

『生産職の才能』

『世界図書館』

『魔の真理』

『アイテムボックス』

『マッピング』


魔術スキル

『魔力操作』 Lv.4

『魔力感知』 Lv.4

『魔術:火』 LV.2

『魔術:水』 LV.2

『魔術:土』 LV.1

『魔術:風』 LV.1

『魔術:光』 LV.1

『魔術:闇』 LV.1

『魔術:雷』 LV.1

『魔術:氷』 LV.1

『魔術:木』 LV.1

『魔術:時』 LV.1

『魔術:空間』 LV.1

『回復魔術』 Lv.1

『付与魔術:火』 LV.1

『付与魔術:水』 LV.1

『付与魔術:土』 LV.1

『付与魔術:風』 LV.1

『付与魔術:光』 LV.1

『付与魔術:闇』 LV.1

『付与魔術:雷』 LV.1

『付与魔術:氷』 LV.1

『付与魔術:木』 LV.1


生産スキル

『調薬』 Lv.1

『調合』 Lv.1

『錬金』 Lv.1

『料理』 Lv.2


一般スキル

『鑑定』 Lv.4

『採取』 Lv.4

『採掘』 Lv.1

『解体』 Lv.1

『解剖』 Lv.1

『探索』 Lv.2

『索敵』 Lv.1


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