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EP2『切断された女 ―Chest burster―』



 地球暦二五七年

 ニルドリッヒ共和国首都 セントピーターズバーグ近郊

 十五時四十五分 義勇突撃隊 インペラール・フョードル

 

 

 輪廻転生というものがあるなら、僕はそれを否定してやりたい。


 有機物発電所で仮想現実でニート人生を満喫していた僕は、いきなり培養槽から叩き出されてその二時間後には迷彩服を着てライフルを持って、手榴弾を腰から下げていた。


 手に持っているのは共和国国営工廠製スマートライフルMK-17Mod1というもので、5.45x39mm弾を使用する古臭いがとても実用的なブルパップ・パルスアサルトライフルだ。


 アクセサリーとして照準器とフォアグリップが装着されている。

 発射機構がパルス式で弾丸は実体、ケースレス。

 一体型のレーザー測距・目標指示装置、赤外線暗視装置、六倍まで調整可能な望遠スコープ、自動照準調整機能付。


 そんな未来技術が詰まったライフルを抱えて、僕は今までプレイしてきたどんなゲームよりもムリゲーな難易度でリアルFPSをやらされていた。

 僕は培養槽の中で生きてきた。脳に電極を埋め込まれた状態で、地球にある日本の東京都の引き篭もりニートをやっていると思い込まされ続けていたのだ。

 そこで僕はいじめが原因で高校を中退してからアルバイトも就職活動もせず、親に心配をかけながら引き篭もりのクズニートをやっていた。

 いつの日かラノベやネット小説みたいに、僕だって非日常の中で大活躍したり転生するんだ、と、今にして思えばとても残念としかいいようがないチンパンジー並みの考えで生温い仮想現実を生きていたのだ。

 で、僕はあっさりとコンビニの帰りにトラックに跳ねられて死んだ。



(思ったよりも痛くないな、あれでも痛くないってことは痛いって感じることすらできないってことなんじゃないかな)



 とか思っているうちに、僕の意識は暗闇に支配された。十六歳童貞ここに死す。

 そして現実で目が覚めて早々、僕はぼんやりとした寝起きの状態だったにも関わらず、酸素マスクを外されて、いきなりなぜか後頭部に生えていたジャックにプラグをぶちこまれて、共和国軍即製歩兵陸戦用0901マニュアルと、共和国軍基本形態プロトコルを強制インストールされた。脳に焼かれた、とも言う。


 記憶したつもりがない膨大な知識が僕の頭の中に叩き込まれたせいで、僕の綺麗な鼻から血がぼたぼたと垂れ流しになったりはしたが、自称軍医曰く、これは肉体がオーバーフローしたときに見られるもので、直ちに影響はないそうだ。後々、影響があるということなのだろうが。


 で、僕は次に折り目がパリパリについていてどこかのスーパーマーケットのタグがくっついたままの迷彩服を着せられて、未来チックなライフルとプラズマ手榴弾を持たされて、今までプレイしてきたどんなゲームよりもムリゲーな難易度でリアルFPSをやらされている。



「配置につけこのグズどもが! 我々はここを死守せねばならない、そのための我々である! 発電機風情が捕虜になれると思うな!!」



 スマートグラス越しの風景は最悪の一言だった。地獄と言ってもいい。

 人で溢れていたであろう共和国の政府中枢都市セント・ピーターズバーグの街並みは完全に崩壊していた。 ビルは巨人に殴られでもしたかのように横腹を抉られ、かつて入口だったであろう地点には内蔵のように瓦礫が積もっている。

 その中から飛び出している人形の手は、煤と血で汚れていた。

 いや、あれは人の手だろうか。ここからじゃよく見えない。


 市街戦のもたらす悪夢をまざまざと見せつけられている僕は、それでもコマンダーとタグ付けされているスキンヘッドの男の声には逆らえない。プロトコルがそれを受任する。


 僕ら義勇突撃隊インペラール・フョードル大隊は、拳銃を片手にイゴール通りを睨みつけているスキンヘッドの男――アミール・ラダン大尉を筆頭にして、全六百ユニットの元発電人間たちと正規軍四十名で構成されている。


 僕らの敵は片側四車線もあるイゴール通り上に、正確に言うなら僕らから見て真正面の六五〇メートル上に横一列に戦列を敷いている身長七メートルの二脚歩行兵器、―――シミュラクラの大群だ。


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