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アムスホルン大陸記  作者: EDA
第一章 災厄の赤き月
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Ⅲ-Ⅴ 再会

2017.1/2 更新分 1/1

 クリスフィアの気持ちは、浮きたっていた。二十日をかけて王都アルグラッドに到着し、その宮殿に足を踏み入れるなり、敬愛する老将と顔を突き合わせる栄誉を賜ったのである。


 老将ディラームは、いぶかしそうにクリスフィアを見返してきている。きっと昔日に邂逅を果たしていることなど、老のほうは失念してしまっているのだろう。あの頃のクリスフィアは、まだ取るに足りない子供に過ぎなかったのだ。


「ディラーム将軍にご挨拶をさせていただくのは、これが二度目となります。わたしが以前に王都を訪れたのは、およそ五年前――前王の戴冠二十年を祝う祝典の折でありました」


「五年前……?」


「きっと覚えてはおられないでしょう。ですがわたしは、将軍の勇壮なるお姿を今でもはっきりと覚えております。ちょうど元帥としての勲を賜ったばかりのディラーム将軍は、祝典にて近衛兵団の先頭に立っておられました」


 それでもディラームはしばらくうろんげにしていたが、ふいに「おお」と目を輝かせた。


「アブーフ侯爵家の若き息女――思い出したぞ。わたしが銀獅子宮の裏で、棒切れを使って剣の手ほどきをした、あの小さな娘だな?」


「覚えてくださっていたのですか」


 クリスフィアは、胸が熱くなるのを感じた。

 祝典の前日、暇を持て余していたクリスフィアは、宮殿の裏でこっそり剣技の稽古に励んでいた。そこに通りかかったディラームが、半刻ばかりも幼き娘の戯れにつきあってくれたのである。


「あのときは、顔をあわせるなり、いきなり怒鳴りつけてしまったのだったな。わたしはてっきり、従士か何かが主人の目を盗んで剣の稽古でもしているのかと勘違いしてしまったのだ」


「わたしはまぎれもなく従士の格好をしていたのですから、無理からぬことです。あれぐらいしか、剣をふるうのに適した装束を持ち合わせていなかったのです」


「懐かしいな。あんなに小さかった娘がこのように大きくなって、しかも本当に騎士として叙任されていたとは……さきほど、大隊長と申していたか?」


「はい。アブーフ騎士団の第七大隊長として、千名の兵を率いる身となりました」


「ならば、王都では千獅子長と呼ばれる身だな。その若さで、実に大したものだ」


 ディラームは目を細めて微笑んでくれている。

 髪はすっかり白いものが多くなり、そしてずいぶん痩せてしまっていたが、ディラームは五年前と同じように雄々しく、そして優しそうであった。

 クリスフィアもきっと、同じような表情で笑ってしまっているのだろうと思う。


「あの、ディラーム老、こちらの御方は……?」


 と、老将のかたわらにあった若者がやわらかく微笑みながら口をはさんできた。

 褐色の髪を長くのばし、いかにも貴公子然としたたたずまいの若者だ。すらりと背が高く、きわめて秀麗な容姿をしているが、クリスフィアにはいささか柔弱げに見えてしまう。


「ああ、本人が申していた通り、こちらはアブーフ侯爵のご息女であるクリスフィア姫だ。姫、こちらはヴェヘイム公爵家の第一子息、レイフォンだ」


「ヴェヘイム公爵家――五大公爵家の御方であられたか」


 セルヴァにおいて、公爵家というのはその五つしか存在しない。あとは叛逆者の一族がゼラド大公家を名乗っているばかりである。

 それで第一子息ということは、次代の当主たる嫡男ということだ。侯爵家の嫡子たるクリスフィアよりも、ひとつ上の階位であった。


 が、そのような階位で態度を変じるクリスフィアではない。

 そもそもクリスフィアは柔弱な男子というものを何より疎んでいたし、それにこの若者は従兄弟のキャメルスといささかならず雰囲気が似通っている。第一印象としては、まあ悪い部類であった。


「……クリスフィア姫は、アブーフ侯爵の名代として王都に参られたのですね。使者からは、到着の正確な日取りも伝えられてはいなかったようですが」


 と、別の方角から別の声が聞こえてくる。

 視線を差し向けると、そこにはたいそう利発そうな少年がたたずんでいた。


「失礼いたしました。自分はレイフォン様の従者でティムトと申します」


 やわらかそうな栗色の髪をした、これまた秀麗な容姿の少年である。まだ十三、四歳ぐらいの幼げな面立ちであるが、ずいぶん落ち着いた空気を纏っている。

 その従者の少年がちらりと目配せをすると、主人のほうが「ああ、そうだったね」と反応した。


「日取りどころか人数も定かではなかったので、こちらも多少難渋していたのだよ。お連れの方々はどこにおられるのかな」


「わたしの連れは――」


 と、後方に視線を巡らせると、衛兵たちの間をすりぬけてようやくフラウが近づいてきた。貴き身分の人々を前にして、いつクリスフィアのもとに参じるべきか、ずっと耳をそばだてていたのだろう。


「わたしの連れは、この侍女のフラウのみです。トトスは宮殿の入り口で預かっていただきました」


「え? まさか、たった二人で王都に参じられたと?」


 レイフォンが、きょとんとした顔で問うてくる。

 そのとぼけた表情もどこかキャメルスに似ていたので、クリスフィアはいっそう気分が悪くなってきた。


「ええ、わたしには自分の身を守る力もありますので、仰々しい護衛隊など不要と思い、二人でアブーフ城を出ました。使者殿には、うまく話が伝わっていなかったのでしょうかね」


「そのようだね。しかし、たった二人で王都を目指そうなどとは……いやはや、ずいぶん無理をなさる姫君だ」


「わたしは姫君である前に騎士であるのです。そして、アブーフの兵はマヒュドラとの戦いに備えるべきと考えて、護衛の同行を断ったまでです。何か問題でもありましょうか?」


 知らず内、反感の気持ちがにじんでしまったかもしれない。レイフォンは困ったように微笑みながら「いやいや」と優雅に手を振った。

 当たり前の貴婦人であれば心を奪われるのやもしれないが、やっぱりクリスフィアにはそういった所作までもが気にくわない。これはもう、先天的に相性が悪いのだろうとしか思えなかった。


「それで、その衛兵たちは何なのであろうかな? 案内役にしてはずいぶんと物々しい様子であるが」


 と、ディラームが後方の衛兵たちへと視線を飛ばす。

 衛兵長は「は……」と気まずそうにしていたので、代わりにクリスフィアが答えることにした。


「遅い到着となってしまいましたが、まだ日が沈んで一刻も経ってはおりません。それで今日の内に新王陛下へのご挨拶をさせていただこうと考えたのですが、彼らにはそれを許す権限もないとのことであったので、然るべき権限を持たれるお立場の御方を捜し求めていたのです」


「その旅装束のまま、謁見を願うおつもりであったのか?」


 ディラームではなく、レイフォンのほうがそのように応じてくる。

 クリスフィアは「ええ」とうなずいてみせた。


「それは何とも豪気な話であるな。しかし、新王陛下は晩餐を済まされて、すでに就寝の準備を始めておられる頃合いであろう。到着の挨拶は明日に持ち越してもかまわないのではなかろうかな」


 いっぽうディラーム老は、悠揚せまらずに微笑んでいる。

 やはり、力強さと穏やかさの同居する武人らしい表情である。


「お主たちも、長旅で疲れているのであろう? 今日のところはゆっくり休んで、長旅の疲れを癒すがいい。食事はもう済ませたのか?」


「いえ。城門を閉められる前にと思い、一心にトトスを走らせてきましたので」


「そうか。ではまず食事を済ませて、そののちに身を清めるがいい。いずれこの老骨とも晩餐をともにしてくれれば嬉しい限りだ」


「こちらこそ、心より嬉しく思います」


 クリスフィアは、改めて騎士としての礼を取ってみせた。

 老将は微笑みながら、「うむ」とうなずく。


「レイフォンよ、祝宴の貴賓に関してもお主が取りしきっているのであろう? 姫らには、いずれの宮を準備しておるのだ?」


「はい、ええと……」


 レイフォンが、従者のほうに視線を落とす。

 従者の少年は目を伏せたまま、「赤蛇宮でございます」と答えた。


「では、姫らを赤蛇宮に案内するがよい。……それでは姫よ、また明日にでも」


「はい。閣下もよき夜を」


 そうしてディラーム老は、ヴェヘイム公爵家の主従とともに回廊の向こうへと立ち去っていった。

 クリスフィアとフラウは、表情を隠した衛兵長に「では、こちらに」と招かれる。


 王都アルグラッドの王宮は、堅固な城壁に囲まれてはいるものの、城砦ではなく宮殿の体裁が整えられている。その宮は五つに分かれており、クリスフィアたちが案内されたのは赤みがかった花崗岩で建造された「赤蛇宮」なる宮殿であった。


 ここは貴婦人のための宮殿であるらしく、入り口のところで衛兵から宮女へと案内の役目が引き継がれる。

 王都の宮女は薄物を何枚も重ねた長衣をその肢体に纏わせており、半透明の織物でその表情を隠していた。


「こちらがクリスフィア様のご寝所となります……わたくしは次の間に控えておりますので、御用の際は呼び鈴をお鳴らしくださいませ……」


「うむ」と短く答えてから、クリスフィアはその部屋に足を踏み入れた。

 衛兵の一人が先触れを出していたので、すでに燭台には火が灯されている。その明かりに照らし出されるのは、絢爛なる貴婦人の寝所のたたずまいであった。


 もともと壁も床も赤みがかっているのに加えて、金や緑を基調とした織物であちこちが飾られている。燭台の数も、十は下らないだろう。何だか部屋そのものが燃えているかのような様相で、クリスフィアはたいそう落ち着かなかった。


 長椅子は革張りで、そこにもこまかい刺繍のほどこされた敷物が敷かれている。グリギの黒い木で造られた卓も同様で、さらにその上にはたくさんの花が活けられた花瓶や銀色の呼び鈴、それに香油の壺や赤い鳥の羽を束ねた扇までもが準備されていた。


「うむ、実に面妖だな」


「すごいですね。これが王族ではなく、客人のための寝所なのですか」


 フラウもすっかり目を丸くしてしまっている。

 が、侍女としての仕事を果たすべく、すぐにフラウは室内を物色し始めた。


「わたくしたちの預けた荷物は……ああ、こちらの物入れに収められていますね。これが水瓶で、これが炭の壺……姫様、お茶でもおいれしましょうか?」


「茶よりも酒でも飲みたい気分だな。フラウも一緒にどうだ?」


「まあ、主人と一緒に酒を飲む侍女などおりませんよ」


「宿屋では、一緒に果実酒を酌み交わしたではないか」


「それは余人の目がなかったからです。このような場で幼友達としての姿を見せるわけにはまいりません」


 クリスフィアが外套を脱ぐと、すぐにそれを受け取って、戸のついた衣装棚へとしまい込んでしまう。その如才のなさが、クリスフィアには少しさびしかった。


「フラウは侍女としても申し分ない働きを見せてくれるけれど、あの自由な旅の後では、いささか物足りなく感じられてしまうな」


「かといって、自分の仕事をおろそかにするわけにもいきません。……どのように振る舞おうとも、フラウはフラウですわ」


 クリスフィアの心情を察してくれたのか、フラウは幼馴染の顔でにこりと笑ってくれた。

 それから、赤い果実酒の透ける硝子の瓶と酒杯を運んできてくれる。

 クリスフィアは妙にやわらかい長椅子に身を沈め、フラウの注いでくれた酒杯を手に取った。


「何だこれは? 花の香りがするぞ?」


「珍しい果実酒ですね。花で香りをつけているのでしょうか」


 おそるおそる飲んでみると、甘酸っぱいママリアの果実酒に、何かの果汁で甘さが加えられていた。それで花の香りも強いので、余計に甘ったるく感じてしまう。


「女だったら甘いものを好むと決めつけているのかな。わたしはもっと酸っぱいほうが好みだ」


「果実酒はアロウやシールの果汁で割るように申しつけておきましょう。食事のほうはどうされますか?」


「腹は空いているけれど、もう少し落ち着いてからでいい。確かに三刻ばかりも駆け通しで、身体はクタクタに疲れているからな」


 そうして甘すぎる酒をもう一口だけ飲んでから、クリスフィアは横目でフラウをにらみつけた。


「フラウも疲れているだろう。そのように立っていないで、腰を落ち着けるがいい」


「はい」とフラウはうなずいたが、その前に水瓶と手拭いを運んできた。

 お茶のためではなく、身を清めるために準備された水瓶だ。そうして長椅子ではなく木の椅子に腰を落ち着けたフラウは、固くしぼった手拭いを笑顔でクリスフィアに渡してくれた。


 顔を拭うと、それだけで手拭いは真っ黒になってしまう。

 首や手足を清めるのには、五回ばかりも手拭いをゆすがなくてはならなかった。


「もう十分だ。晩餐が済んだら、二十日ぶりに浴堂を使わせてもらおう。どうせこちらが所望しなくとも、今頃せっせと薪を燃やしているのだろうしな」


「本当に王都の宮殿というのは、どこもかしこも贅を尽くされているのですね。貴き王族の住居なのですから、当たり前の話なのでしょうけれど」


「ふん。この部屋を飾っている織物を売り払うだけで、いったい何人分の兵糧になるのだろうな」


「……でも、一番豪奢であった銀獅子宮という宮殿は、跡形もなく焼かれてしまったのですよね」


 妙にしみじみとした口調でフラウはそのように述べたてた。


「想像すると、ちょっと恐ろしくなってしまいます。一緒に燃えた人間も、十や二十ではないのでしょう?」


「そうだな。しかし、ディラーム老が健在であったのなら何よりだ。アルグラッドで一番の剣士であったというヴァルダヌス将軍とともにディラーム老まで失われてしまっていたら、とうてい王都も立ち行かなかっただろう」


「姫様は、あのディラーム様という御方をとても敬愛されているのですね」


 自分も手足の汚れを清めながら、フラウが微笑みかけてくる。

 照れ隠しに仏頂面をしながら、クリスフィアは「まあな」と答えてみせた。


「ディラーム老は、アルグラッド全軍の頂点に立つ御方であったのだ。その誉れに相応しい御方なのだろうと、わたしは思っている。グワラムの戦役でも、ディラーム老が軍を率いていれば、あそこまでの大敗を喫することはなかっただろう」


「もう御一方の元帥と副将の御方も魂を返されてしまったそうですね。それはどちらも、十二獅子将と呼ばれる身分の御方であったのですか?」


「ああ、ルデン元帥にディザット将軍といったか。わたしもいずれかの戦場でともにマヒュドラと戦ったはずだが、大隊長の身分では拝謁することもかなわなかった」


「十二獅子将というのは、要するにアブーフで言う連隊長のことなのですね。それが十二名もいるだなんて、ちょっと恐ろしくなってしまいます。いったい王都にはどれだけの兵がいるのでしょう?」


「さてな。兵士などというのは半分以上が傭兵で、戦のたびにかき集められるものなのだから、きっちり何名などとは計れぬものなのだろう。……それでも、アブーフの五倍は固いのだろうと思えるが」


「五倍」とフラウはいっそう目を丸くする。


「アブーフ全軍が一万名とすると、五万名ですか……何だか頭がクラクラしてしまいそうです」


「ついでに言うなら、王都を囲んだ五大公爵家の領地には、それぞれアブーフと変わらぬぐらいの準備があるはずだぞ? それも合わせれば、十万名だ」


 フラウは、絶句してしまう。

 アブーフの全住民が二十万名ていどであるのだから、その半数にも匹敵する軍勢というのは想像を絶することだろう。


「しかし、王都が二万以上の軍勢をマヒュドラとの戦いで繰り出すことはない。南方にゼラド大公国という敵国を控えているために、あまり守りを手薄にもできぬのだ。それに、二万の内のいくらかは、公爵家から出させているはずだしな」


「ああ、王都と公爵家の軍勢が同数ていどであるならば、そちらも警戒しなくてはなりませんものね」


 意外に辛辣なことを、フラウはさらりと言ってのけた。

 しかし、それが真実なのだろう。仮に五大公爵家がすべて手を携えたら、王都に侵攻することも難しくはないのだ。


 そのために、セルヴァ王家はお目付け役として十二獅子将の五名をそれぞれ公爵家に派遣している。王家が王家たりうるには、そうして権威ばかりでなく実際的な武力を示す必要があるのだろう。それは尚武の地で生まれ育ったクリスフィアにとっても、至極当然の話であると思えた。


(しかしそうなると、王都に留まる十二獅子将は元帥を含めても七名だ。その内の三名を失ってしまったのだから、たいそうな痛手であるはずだな)


 しかも、王都に留まる七名の内、二名は防衛兵団なる部隊の長であると聞き及んでいる。そうすると、残される十二獅子将はディラーム老と、あとはグワラム戦役で生き残ったロネックなる人物のみであるはずであった。


(まあ、どうせすぐに新しい人間が十二獅子将に任命されるのだろうが、それにしても心もとない話だ。次にマヒュドラとの戦いを迎えるとき、王都にはどれほどの戦力を期待できるのだろう)


 明日からは、そのあたりのことも含めて、色々と話を集めてみようと思っている。

 それに加えて、第四王子の件もある。どうせ戴冠の祝宴を開くには各地からの貴賓が到着するのを待たなくてはならないのだから、それまではせいぜい好きにやらせてもらおうとクリスフィアは目論んでいた。


(ディラーム老と早々に顔をあわせることができたのは僥倖だ。ディラーム老ほど信頼の置ける御方は他にないのだから、まずは老からお話をうかがってみよう)


 しかし、そのディラーム老のかたわらにあった者たちの存在が気になってしまう。

 ヴェヘイム公爵家の第一子息、レイフォン――あれは、信頼の置ける人間なのだろうか?

 今のところ、クリスフィアには悪しき印象しかもたらされていなかった。


(もしもあやつがディラーム老に災いをもたらすような人間であるならば、何としてでも排除してやる。たとえ公爵家の嫡子でも、あんな柔弱な男であれば恐るるに足りん)


 クリスフィアがそのようなことを考えていると、フラウが「姫様……?」と心配げに呼びかけてきた。


「急に黙り込まれて、どうされたのですか? それに何だか……戦の前のように厳しいお顔をされていましたよ?」


「ああ、何でもないよ。どこに敵が潜んでいるかもわからないのだから、常に気は引き締めておくべきだろう?」


 そう言って、クリスフィアは酒杯に残っていた酒を一息に飲み干した。

 花の香りのする果実酒はやはり甘ったるかったが、それでも心地好くクリスフィアの咽喉を焼いてくれた。

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