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アムスホルン大陸記  作者: EDA
第六章 聖戦
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Ⅱ-Ⅴ 王との密談

2019.2/23 更新分 1/1

「さて、それでは其方の考えを聞かせてもらおうか、レイフォンよ」


 長椅子にふんぞりかえった新王ベイギルスは、だいぶん普段通りの傲岸さを取り戻した様子で、そのように述べたてた。


 場所は、黒羊宮の応接の間である。レイフォンの左右にはクリスフィアとメルセウスが座しており、こちらの長椅子の背後にはティムトとジェイ=シンとホドゥレイル=スドラが控えている。ベイギルスのほうは従者や衛兵も遠ざけて、たったひとりでレイフォンらと相対しているというのに、警戒している様子はまったくない。


 ついさきほどまでレイフォンらの背信を疑って顔色をなくしていたはずであるのに、それは誤解だと弁明してみせたら、あっさりとそれを信じてしまった様子であるのだ。レイフォンは苦笑を噛み殺すと同時に、ひとつの想念にとらわれることになった。


(これほどまでに心情を隠すことのできない人間が、兄殺しという大罪を働いた上で平静を装えるなどとは、とうてい思えないな。ということは、やっぱり新王はこのたびの陰謀と無関係だったのだろうか)


 レイフォンがそのように考え込んでいると、ベイギルスは焦れた様子で身を乗り出してきた。


「どうしたのだ? 其方たちは、バウファめと面談を果たしたのであろうが? 前王殺しの大罪人は、やはりバウファであるのか? それとも、ロネックであるのか?」


「いえ、それは――」とレイフォンが口ごもると、ティムトが長椅子の横合いに進み出て、絨毯の上に片膝をついた。


「恐れ多きことながら、王陛下に申し上げます。レイフォン様のお考えについては、僕の口から語らせていただいてもよろしいでしょうか?」


「ふむ? 其方はレイフォンの従者であろう? どうして従者ごときが、しゃしゃり出てこようとするのだ?」


 ベイギルスは、うろんげにティムトをねめつける。しかしティムトは、すました顔で一礼していた。


「僕も身の縮むような思いであるのですが、さきほどレイフォン様からそのように申しつけられてしまったのです。自分のお考えを他者の口から語られるのを聞くことで、頭を整理したいのだとか……それほどに、このたびの陰謀は入り組んでいるということなのでしょう」


「ほう。レイフォンほどの男でも、やはりそこまで頭を悩ませておるのか。……よい。とにかくレイフォンがどのような考えでいるのか、聞かせてみよ」


「王陛下の寛大なお言葉に、心より感謝いたします。……レイフォン様が混乱されておられるのは、やはりまだクリスフィア姫からお聞きになられたお言葉について、吟味するお時間を取れなかったゆえであるのでしょう」


 もって回った言い回しで、ティムトはそのように言いたてた。

 ただし、王族への礼節として面を伏せながら、前髪の隙間から油断なくベイギルスの振る舞いを観察している様子である。


「クリスフィア姫の御一行はついさきほどまで、ロネック将軍と面談されておりました。その場において、ロネック将軍が驚くべき言葉を発していたとのことであるのです」


「何だ、それは? 前置きはいいから、さっさと述べてみせよ!」


「どうか王陛下におきましては、平静なるお心でお聞きください。……ロネック将軍は、すべて君主の命令に従ったまでである、と述べたてていたのです」


 ベイギルスは、きょとんと目を丸くした。


「君主の命令に従った、とは? それはいったい、誰のことを指しておるのだ?」


「王国の民にとって、君主はこの世にただひとりでございましょう」


 ベイギルスのたるんだ顔から、一気に血の気が引いていった。

 池から顔を出した魚のように、口をぱくぱくと動かしている。その目は信じ難いものでも見るようにティムトを見やっていた。


「では……ではロネックめは、余の命令で前王を弑したのだと……そのように述べたてておるのか?」


「いえ。ロネック将軍が告白なさったのは、エイラの神殿の鍵をバウファ神官長に手渡した一件のみにございます。……ただし、さきほどバウファ神官長は、すべてがロネック将軍の指示であったのだと告白いたしました」


「それではやはり、余がすべての黒幕であったと言いたてているも同然ではないか! 前王や王太子らを弑逆したのは第四王子カノンであり、その第四王子を解放した人間こそが、諸悪の根源であるのだろうからな!」


 ベイギルスの顔が、青から赤へと色を変じる。その目には、純然たる怒りの光が灯されていた。


「言うに事欠いて、余にすべての罪をなすりつけようとはな! そのような痴れ者は、即刻処断してくれるわ!」


「お待ちください、王陛下。それでは真実を突き止めるすべが失われてしまいましょう。ロネック将軍が虚言を吐いているのだとすれば、どこかに真の大罪人が潜んでいるはずであるのです」


「虚言を吐いていれば、だと? まさか、其方も余を疑っておるのか、レイフォンよ?」


 ベイギルスの目が、慌てた様子でレイフォンのほうに向けられる。レイフォンが答えあぐねていると、ティムトが「とんでもありません」と声をあげた。


「レイフォン様が王陛下の不実を疑うなどとは、そのようなことがありえるわけもありません。ただ……クリスフィア姫のお言葉に、いささか混乱させられてしまったのでしょう」


 レイフォンには意味がわからなかったので、クリスフィアのほうをうかがうことにした。クリスフィアは食い入るようにベイギルスを見つめながら、発言する。


「ロネック将軍からその言葉を聞いたのは、わたしやメルセウス殿となります。その際に、ロネック将軍はたいそう酒を召されている様子でありましたが……しかし、虚言を吐いているとは、どうしても思えなかったのです」


「で、では、姫は余が兄殺しの大罪人であると――」


 クリスフィアは、礼を失することも恐れぬ様子で、「いえ」と新王の言葉をさえぎった。


「それと同じぐらい強い気持ちで、わたしは王陛下のお言葉を信じております。ですから……ロネック将軍は、何者かに誑かされているのではないでしょうか?」


「た、誑かされている?」


「はい。ロネック将軍は、すべて王陛下の御心のままに動いているだけだと信じている様子であるのです。それで、王陛下が潔白の身であられるのなら……何者かが、王陛下の御名を騙って、ロネック将軍に命令を下していたのではないでしょうか?」


 ベイギルスは、困惑しきった様子で口をつぐむことになった。

 すると今度は、ティムトがそっと声をあげる。


「さきほどの面会にて、バウファ神官長はすべての罪をお認めになられました。そうして、それらはすべてロネック将軍の命令であったと告白されていたのです。ジョルアン将軍はバウファ神官長の命令で、バウファ神官長はロネック将軍の命令で、ロネック将軍は王陛下の名を騙った何者かの命令で動いていた……その、王陛下の名を騙った何者かが、前王殺しの真の大罪人であるのです」


 ベイギルスは、ハッとした様子で面を上げた。

 その顔に、はっきりと喜色が浮かべられている。


「なるほど、そういうことか! それなら、すべて丸く収まるではないか!」


 ティムトは無表情のままであったが、クリスフィアはいぶかしげに眉をひそめていた。


「それは、どういう意味でありましょう? 王陛下には、その大罪人の正体がおわかりになられたのでしょうか?」


「答えは最初から、目の前に明かされておったのだ! 余の名を騙ってロネックめを誑かした大罪人こそ、第四王子カノンであるに違いない! それですべて、筋は通るではないか!」


 クリスフィアは、落胆した様子で息をついていた。


「お待ちください、王陛下。第四王子は、ずっとエイラの神殿に幽閉されていたのでしょう? それでどうやって、ロネック将軍を誑かすことがかなうのでしょうか?」


「ヴァルダヌスめは、カノン王子に魅了されていたという評判だったではないか。不遇の王子のために、あやつが画策することになったのであろう。きっとあやつが余の名を騙り、ロネックめに命令を下していたということだ!」


「……では、神殿の鍵に関しては、どのようにお考えでありましょうか?」


「神殿の鍵? そのようなものは、ヴァルダヌスめが盗み出したのちに、ロネックめに手渡したのであろうよ」


 クリスフィアは首を振りつつ、横目でティムトを見る。それに応じるように、ティムトが口を開いた。


「恐れ多きことながら、王陛下に申しあげます。ヴァルダヌス将軍が神殿の鍵を手にしたのなら、それをロネック将軍に手渡す意味がありません。最後にはヴァルダヌス将軍がご自身でカノン王子を解放したのでしょうから、間に余人を介する意味がなくなってしまうのです」


「うむ? だったら、それは……おお、そうだ。ヴァルダヌスめが余の名を騙り、ロネックめに神殿の鍵を盗ませたのであろう」


「その場合は、ロネック将軍から直接に鍵を受け取るはずですので、やはり余人を介する意味がありません」


 ティムトにあっさりと切り捨てられて、ベイギルスは不服そうに口をつぐんだ。

 ティムトは感情を隠した声で、静かに言葉を重ねていく。


「王陛下の名を騙る何者かが、ロネック将軍に神殿の鍵を盗ませた。しかし、ロネック将軍はグワラムに出陣しなければならなかったので、その鍵をバウファ神官長に託した。そしてバウファ神官長は、ロネック将軍の命令で、それをアイリア姫に託した。……最後にアイリア姫を介したのは、おそらくヴァルダヌス将軍を信用させるためであったのでしょう。相手がロネック将軍やバウファ神官長であったなら、ヴァルダヌス将軍もうかうかと第四王子を連れ出そうという気持ちにはなれなかったはずです」


「待て」と声をあげたのは、ベイギルスではなくクリスフィアであった。


「そういえば、わたしはこれまで第四王子やヴァルダヌス将軍の思惑については考えることがなかった。その両名は、いったいどのような心持ちで、エイラの神殿を出たのであろうな?」


「おそらくは、彼らもアイリア姫も、何者かに誑かされていたのでしょう。前王が第四王子との和解を願っている、という話でもこしらえれば、多少はあやしみながらも銀獅子宮に向かってみようという気持ちになるはずです」


「そうして銀獅子宮に到着してみれば、前王や王太子らはすでに魂を返された後、ということか。……なんと非道なやり口であるのだ」


 クリスフィアは、灰色の瞳を瞋恚に燃やす。

 しかしベイギルスは、まだ不服そうな面持ちであった。


「しかし、それらもすべては憶測ではないか。何も証のある話ではあるまい? この世でもっとも前王を憎んでいたのは、幽閉の憂き身にあっていた第四王子であるのだろうからな。やはり、第四王子めがすべての黒幕と考えるのが、一番自然なことではないか?」


「はい。ロネック将軍やバウファ神官長も、そのように考えておられるようです。ご報告が遅れてしまいましたが、神官長はロネック将軍に『カノン王子がいいようにしてくださる』という言葉を聞かされていたようであるのです」


「ならば、やはり第四王子めが黒幕ではないか! 何を思い悩む必要があったのだ?」


「しかしロネック将軍は、君主の命令で動いている、と述べていたのです。そうですね、クリスフィア姫?」


「うむ。しかもロネック将軍は、ジョルアン将軍とバウファ神官長が失脚した今、主君の懐刀は自分だけであるなどと述べたてていた。そして、そんな自分が罪に問われることはない。下手に騒ぎたてれば、処断されるのは我々のほうだ、などとも言っていたな。……現在の王都において、そのようなお力を有するのは、王陛下ただおひとりではないでしょうか?」


「……あやつはいったい、何を考えておるのだ? 西方神に誓って、余に後ろ暗いところはないぞ!」


 憤懣やるかたない様子で、ベイギルスは腕を組んだ。

 それを見つめていたティムトの目が、きらりと光る。


「では……王陛下にひとつおうかがいすることをお許しいただけるでしょうか? レイフォン様には、かねてよりひとつの疑念が残されていたそうであるのです」


「な、なに? やはりレイフォンは、余の潔白を疑っておったのか?」


 ベイギルスはたちまち心を乱して、レイフォンのほうを振り返る。そこに、ティムトの言葉が飛んだ。


「赤き月の災厄の日、王陛下はご家族ともども銀獅子宮を離れておいででしたね。王家に連なる方々が、確たる理由もなく銀獅子宮の外で夜を明かすことはないように思うのですが……あの日、王陛下はどうして黒羊宮に寝所を移されておられたのですか?」


 ベイギルスはレイフォンを見つめたまま、くわっと目を見開いた。

 何も聞かされていないレイフォンとしては、無言でそれを見つめ返すことしかできない。レイフォンは、せいぜい真面目くさった顔をしておくことにした。

 それが功を奏したのか、ベイギルスはやがてがっくりと肩を落とす。


「やはり其方は、王国で随一の知略家であるのだな。いきなり心臓に短剣を突きたてられたような心地であるぞ。……其方が敵方の人間でなかったことを、余は心から感謝せねばなるまい」


「……やはりそれは、単なる偶然ではなかったということですね?」


 ティムトがそろりと切り出すと、ベイギルスは「うむ」と額の冷や汗をぬぐった。


「しかし、誓って言う。余にとって、あの夜の災厄はまったく預かり知らぬことであったのだ。我が兄にして前王たるカイロスの死を予見していたならば、余とて黙ってはおらなんだ。余は、ただ……助言に従って、銀獅子宮を離れていただけであるのだ」


「助言?」と、クリスフィアが身を乗り出す。


「あの夜に、銀獅子宮を離れるように助言した人間が存在するのですか? ならば、その者はあの夜に災厄が訪れることを知っていたということになるではないですか!」


「うむ。しかし、そやつもそこまでつまびらかに語っていたわけではないのだ。ただ、その夜には不穏な出来事が生じるやもしれないので、できることならば寝所を移すべきであると……そのように述べていただけであるからな」


「それは、誰であるのです?」


 レイフォンも、クリスフィアとともに身を乗り出すことになった。

 ベイギルスは何やら悄然とした面持ちで、その名を口にする。


「それがな……それは、ジョルアンめであるのだ」


 レイフォンは、ちょっと肩透かしをくらった心地であった。


「ジョルアン将軍ですか。彼はバウファ殿の命令で、銀獅子宮に余人が近づかぬよう、衛兵を配置していたそうですからね。まさか銀獅子宮が炎に包まれるとまでは考えていなくとも、何か不穏なことが生じるぐらいのことは予見できたのでしょう」


「ですが」と、ティムトが静かに声をあげた。


「ジョルアン将軍が、王陛下にそのような助言をする理由があったのでしょうか?」


「うむ?」と、クリスフィアがティムトを振り返る。


「助言をする理由、とは? ジョルアン将軍は、王陛下の腹心であったのであろう?」


「それは、ベイギルス王陛下が戴冠されたのちのことです。赤き月の災厄が訪れるまで、王陛下とジョルアン将軍の間に特別な絆などは存在しなかったように思うのですが……如何でしょう?」


「うむ、その通りだ。しかし、そのような言葉を聞かされては、銀獅子宮で眠る気持ちにはなれなかった。それで、ユリエラともども黒羊宮で夜を明かすことにしたのだ」


「では」と、クリスフィアが厳しい眼差しをベイギルスに送る。


「王陛下は、ジョルアン将軍が前王殺しに関わっていると、最初から知り得ていたということなのでしょうか?」


「そ、そこまでのことは考えていなかった。あのジョルアンめに、そんな大それたことができるなどとは思えなかったからな。だからきっと、あやつは前王と第四王子が面談することを知っていただけなのであろう、と考えていたのだ。その末に話がこじれて、第四王子が乱心したのは、あやつにとっても想像の外だったのであろう、とな」


「しかし、昨日から今日にかけて、ジョルアン将軍が前王殺しに関与していた事実が明かされました。それを耳にされたとき、王陛下はどのような心持ちであられたのでしょうか?」


 クリスフィアが声を荒らげることはなかったが、そこにははっきりと弾劾の意思が秘められていた。

 ベイギルスはそれをはねのけることもできず、肥えた身体をすくめている。


「し、しかし、あやつはやはり、あの夜に前王らが弑されるとまでは考えていなかったのであろう? ならば、同じようなものではないか」


「では」と、ティムトが声をあげる。


「何故に王陛下は戴冠をされたのち、ジョルアン将軍を腹心として迎え入れ、元帥の座までお与えになられたのでしょう? それはやはり、危急を知らせてくれたジョルアン将軍に対する感謝の心情の表れであったのでしょうか?」


「感謝の心情……というほどのものではないが……余にそのような忠告をする人間であれば、決して裏切るまいと思ったまでのことだ。当時の王都には、他に目ぼしい十二獅子将もおらなんだしな」


「……災厄の日以降、ジョルアン将軍とその一件について語らったことはございますか?」


「うむ? まあ、やつめを晩餐に招いた際に、あの夜は世話になったというぐらいの言葉はかけたように思うが……」


「そのお言葉を聞かされた際のジョルアン将軍は、どのようなご様子で?」


「ひどく驚いた顔をしていたな。そして、王国の民であれば王家に忠誠を尽くすのは当然である、などと述べておったわ」


 ティムトはそこで口をつぐむと、何かを思案するように目を伏せた。

 すっかり狼狽しきったベイギルスは、おずおずとレイフォンのほうを見る。


「それで……それで、余はどのように振る舞うべきであろうな? バウファとロネックめを大罪人として処断すればよいのであろうか?」


「いえ、それはまだ審問のさなかでありますので……」


 ティムトが考え込んでしまっているので、レイフォンも適当にごまかすしかすべはなかった。

 それに、レイフォン自身も十分に混乱しているのである。ここにきて、またジョルアンの名が出てこようとは想像していなかったのだ。


(ジョルアンに下されていたのは、銀獅子宮に誰も近づけるな、という命令だけであったはずだ。エイラの神殿の鍵や第四王子に関しては、何も聞かされていなかったはずなのだから……とりたてて懇意にしていたわけでもないベイギルスに忠告をする理由などないはずだ)


 クリスフィアはさきほどジョルアンが前王殺しに関与していたと述べていたが、それもあくまで結果論である。ジョルアンがあれこれ罪を重ねたのは、むしろ災厄の夜が終わって以降のはずだった。


(それとも、やはりジョルアンにはまだ何か秘密があったのか? そのせいで、彼は暗殺されることになったのだろうか)


 どれだけ頭を悩ませても、答えが見つかるわけもなかった。

 ベイギルスは、すがるような目でレイフォンを見つめている。ほとほと困り果てたレイフォンが視線を巡らせると、ようやくティムトが口を開いた。


「……それではレイフォン様のお考え通り、ロネック将軍を審問する他ないのでしょうね」


「ふむ、ロネックか。まあ、あやつの讒言は何としてでも取り消させなければならんからな! では、審問長らを呼びつけるか?」


「いえ、まずは隠密裏に審問するべきでありましょう。ロネック将軍に命令を下した大罪人は何者であるのか、それを突き止めるのです」


 そうしてティムトは、そのために必要な算段を語り始めた。

 話を聞くうちに、ベイギルスの目は丸くなっていく。そしてレイフォンも、内心では大いに驚いていた。どうやらティムトは、国王の存在をも利用して、このたびの陰謀を暴きたてようとしているようであった。

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