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朝のはじまり
夜明けとともに白く透き通る月が
静かに静かに溶けていく
朝の始まりはいつもどこか憂鬱で
泣けない夜の多さに思いのほか疲労しているのだろうか
泣くことを忘れたように
鳴くことを忘れたように
ただ漫然と日々を過ごしているかのように
ふるまってはみるけれど
まるでむき出しの配線のように
神経は保護膜をなくしたまま
かすかな空気の揺れさえも
神経に障る
愛しき初夏の夜明け
月の溶ける姿を愛でて
朝をはじめる
特別な日など滅多にないと知っているから
この瞬間を心に縫いつけて
蝕まれた神経を癒す




