『速記娘と隣の娘』
掲載日:2026/04/05
あるところに、気立てのよい娘があった。気立てのよい娘は、大抵、速記をやっているものであるが、この娘も速記をやっていた。しかも、なかなかいい腕であった。仕事も丁寧で、そこそこの暮らしが成り立っていた。隣に住む男が、大層感心し、自分の娘にもこんなふうに育ってほしいと思って、子供のころどんなことをしていたか、とか、どんな食べ物が好きか、など、いろいろなことを尋ねて、家に戻って、娘を呼ぶと、出迎えにも来ず、今でごろごろしていた。男が、父親の威厳を見せようと思い、お隣の娘さんを見ろ、立派な速記者の仕事をしていらっしゃる。子供のころから字を書いたり、絵をかいたりしていたそうだ。お前もごろごろしていないで、何か書いたらどうか、と言うと、娘は面倒そうに尻をかいた。
教訓:家の中とはいえ、女の子が尻をかくのはどうなんだ、と言うと、娘は、正座して、どうもすいません、と言いながら頭をかいたという。




