第七話 山あり谷あり
いよいよ、合否当日。
合格者のみ電話が来るみたいです。
私たちは、遥、楓、梨穂、華苗、翠、有坂君、私でアディール事務所に向かっていた。
午前十時、アディール事務所に到着した私たちは面接官の名刺を頂いていたので、その一人を呼んでもらった。
「あら、あなた達カチコミしに来たの?」
「違いますよ~今日は合否の結果の日なので、直接お伺いできるのかなと…」
「無いわよ、連絡待ちなさい。それよりそっちの子は見ない子だけど。」
私は用意していた書類を3枚渡す。
「この3人の一次審査を三上さんにして頂けないかと思い、参った次第です。」
「ふーん、そういう事ね。」
三上さんは封筒を破ろうとした。
「こういうのはルール違反よ。あなたちの考えは甘いわ。」
「すみません。」
「申し訳ございません、無礼なのは重々承知はしております。ですが仲間がやりたいと願われたらどうしても答えたくなってしまい、このような非常識な手段をとってしまいました。反省しております。でもどうか、審査して頂けないでしょうか?罰は受けますので。どうかお願いいたします。」
三上は封筒を普通に開けた。そして受話器を取り内線に繋げる。
「あ、各務?あのさ一階まで下りてくれない?大原も連れてきて。…うん、そう。おねがいいね。」
「ここじゃ邪魔になるから応接室に来なさい。」
三上に連れられて、応接室に通された。
「菊池華苗さんに…橘すい?さんで良いのかしら?それに唯一の男の子有坂優悟君ね。」
「すいで合っています。この度はお時間をとって頂きありがとうございます。」
「菊池華苗と申します。一次審査、よろしくお願いいたします。」
「二人とも、普段の喋り方にして、かしこまらず友達と喋る感じで。」
「りょです!」
「それ砕けすぎてない?翠はよく使うけど。」
「で、優悟君は一言も喋ってないけど、やる気ないの?」
「あ、いえ、喋るタイミング探してました。女子が集まると賑やかで、水差さないか心配で。」
「あ、私も女子カウントしてくれてるの?」
「もちろんです、女性の会話は花があってとても良いですよね。にやけない様に必死でした。」
各務と大原が入室してくる。
「三上、お待たせって、増えてね?」
「各務ありがと、そうなんだよ、何故か増殖してて、これ。」
3通の封筒を三上さんが並べた。
3人はじゃんけんを始めて一番勝ちは大原さん、2番三上さん、3番各務さんになった。
「じゃぁ俺はこの封筒担当するわ。」
「じゃぁ私は一番右で。」
「残り物にはー福がある!」
「さて、そっちの4人は苛められた者で友達になったよね?」
「有坂君は隣の部屋に来てくれる?」
「はい。」
二人は部屋を退室していった。
「え?あんたたち、過去の話したの?」
「うん軽くだけどね。」
「私は香苗ちゃんに苛めを受けてましたが、仲直りして親友になりました。」
「え?香苗ちゃんは苛めてたの?」
「はい、でも高校2年の時に和解して今は親友です。」
「ここにきて苛めてた側の子、でだよ?6人はどんな関係?」
「親友です。」
と、5人は言ったが私は言えなかった。
「雪乃ちゃん?今何も言わなかったよね?」
「わたしは友達だと思っていました。親友というのはどこから親友なのでしょう?」
「ゆきのん~私たちはもう親友だよ~。確認とか約束なんてしなくても親友は成立するんだよ。」
「雪乃、週5遊んでいたら普通親友だよ?」
「雪乃ちゃんはコミュニケーションに疎い感じかしら?」
「すみません、私の苛めから抜け出したのは今年に入ってなので。」
「うん、謎が解けた気がするわ。」
三上さんと各務さんは書類や写真を確認していく。
数分後、内線が鳴る。
「はい、三上です。…はい、……はい、…分かりました。
内線を切って、さらに数分が過ぎる。
再び内戦をとり、内線をつないだ。
「三上です、1次審査書類3枚上で確認して頂きたいのですが。…はい、すぐにお持ちします。…では。」
「各務、書類3通もって河合さんに届けてくれる?」
「かしこまりー。」
そう言って各務さんは部屋を出ていった
「さて、4人の合否の話なんだけど良いかな?」
「はい。」
「ここで合否を通達します。まず鏑木遥さん、2次面接通過しましたので、追って連絡します。」
「きたでー!ありがとうございます!」
「水野楓さん、2次面接通過しましたので追って連絡があると思います。」
「ありがとうございます。」
「千堂梨穂さん、2次面接通過しましたので追って連絡があると思います。」
「ありがとうございます。」
「最後に東御雪乃さん、2次面接通過しましたが、あなただけ課題を出させていただきます。」
三上さんはノートパソコンを開き、前回の面接の動画を流し始めた。」
ノックの音がする
コン、コン、コン
「どうぞ」
「34番、東御雪乃と申します、本日はよろしくお願いいたします。」
ここで遥が口を出す。
「めっちゃ硬いなぁ、就活かって突っ込みたくなるな。
動画は止まることなく続く。
「お掛けになってください。」
「失礼いたします。」
「ではまず、今回応募されたきっかけは?」
「今回の応募は、友達が勝手に応募してしまって、私の意志はそこに無く、通過通知が来たため2次面接に参加させていただいた次第です。
「はいはい、たまに居るんですよね。本人やる気ないのに応募されるの。迷惑なんですよね。」
「はい、私もその通りだと考えております。しかし、一次審査を通過してしまった以上、私自身は覚悟を決めてきております。」
「では、二次面接えお通過しても構わないと、そういうことですか?」
「はい、私の友達もこの面接に来ています。みんな一生懸命にこの面接を受けています。適当な気持ちで応募した訳では無いと知ってしまった以上、私も全力で面接に挑むつもりです。
「お友達も参加してるんだ、因みに名前を聞いても良いかな?水野楓、千堂梨穂、鏑木遥、という名前です。名前順に面接になると思います。」
「因みに面接を終えた子は?」
「28番で、3番の面接室で私の番になっていても面接していました。」
ここで動画を止めた。
「うん、この動画、完全に就職活動本番でミスの許されない緊迫感を覚えたよ。」
「私らだけなら別に、雪乃はその口調って知ってるから別に気にせんけど、知らない人は距離とられとるって感じるやろな。」
「私は雪乃ちゃんて丁寧な子なんだなぁって思ってた。誰に対しても敬語だったし分け隔て無い紳士って感じ。」
「私は喋り方がわからなくて、とりあえず敬語なら誰も傷つけないという選択からだと。」
「雪乃の口調は、感情が無い無機質やんな?って思ったのが私の第一印象かな?。」
「私は雪乃ちゃんの口調気にはならなかったよ?だって経緯をしってるし。だからそうなったんだろうな~って。でも生きにくくは、ないのかな?って思ってはいるよ?」
「雪乃ちゃん、今の動画と今までの言動で、友達全員があなたに対する印象が違ったの解る?」
「翠さんは、誰に対しても敬語だったし分け隔て無い紳士。」
「遥さんは、知らない人は距離とられとるって感じる。」
「華苗さんは、とりあえず敬語なら誰も傷つけないという選択。」
「梨穂さんは、感情が無い無機質やんな?」
「楓さんは、でも生きにくくないのかな?って思ってはいるよ?」
「そして私は、雪乃ちゃんの考えが読めない、テンプレート。」
「社内で他の意見としては、その場の言葉の正解を見つけようとしてる、相手に対して無関心、求められてる答えの代表とかかな。」
私は言葉が出なかった…
「雪乃ちゃんへの課題は、あなたにはもっと砕けた口調を習得してもらいます。現場入りや現場立ち去る時は敬語で良いんだけど、それ以外の時は、みんなのように砕けて喋って欲しいのよね。」
「雪乃ならできるよ。私たちの話し方見てればいいんだもん。」
「せやな、まずは見て覚える。
「覚えたら実践ね。」
「私たちも気が付いたら言うし。」
「しかし雪乃に課題かぁ…思いもしなかったね?」
「すみません、私が至らないばっかりに。」
「すみません、じゃなくてごめんねだよ?やり直し!」
「え?あ、うんと、ごめんね…えっと…」
「私が至らないばっかりにを砕けたいのね、力不足でーとか、上手くできなくてー、失敗しちゃってとかかな?」
「ごめんね、上手くできなくて…。」
「あーーーなんか雪乃が、かわいい!」
翠が雪乃に抱き着く。
「大丈夫、課題クリアなんて余裕だよ♪」
「だ、じゃない、できるかな?」
「やばい、翠の気持ち理解できるかも。キュンキュンするのは何だ!」
「因みに今のだ、はなんて言おうとしてやめたの?」
「聞かなくても分かるじゃん、大丈夫でしょうか?でしょ?」
「正解です。あ、正解!」
「ねぇねぇ、この可愛い生き物は持ち帰りできるの?」
「出来ません!」
「私たちの会話を動画にすれば早いんじゃない?」
「一人だけ方言使ってる人がいますけど?」
「それは気にしたらあかんやつやねん。」
「それなー。」
「次回の撮影会に間に合わせてください。それが課題になります。」
「三上さん砕けないの?」
「私はあくまでも仕事中ですから、出来ませんね。」
「私的は、三上さんと同じ職になれば変えなくても済むので、そちらを希望できると幸いなのですが。」
「それは駄目ー!」
5人の口が揃う
「良い案だと、思ったのに。」
「みすみす、成長の機会を見逃すなんて駄目に決まってます!
「そうだね、努力はしないと。」
「思った以上に意識しないと敬語になりそう。」
「今出来てるし、気負わないで楽に喋ろ?」
「うん、頑張ってみる。」
「良いねーその調子♪」
そんな時、内線がなる。
ぴぴー、ぴぴー、ぴぴー
「はい、三上です、…はい、………え?……あーわかりました。…はい、その様に伝えます。では。」
「ドキドキするね。」
「悪いわね、あなた達には最後の質問があるわ。就活までの繋ぎ?それとも、就活せずに本気で本職とするのか。」
「来ると思ってた。」
「あなた達、T大にK大生でしょ?高収入、安定職に就けるのよ?それを捨ててまで、やる気があるの?」
「私はやるよ?」
「私も同じよ。」
遙、梨穂、雪乃、翠は黙っている。
「この世界は水物商売。人気が出れば高収入だけど、誰もが得られるわけではないわ。」
「せやな、だけど一度は夢見た世界、やってみたい。」
「私も夢で書いたことありますなぁ。チャレンジして見たいかな。」
「私には無理だと諦めて世界が、手に届く所にあるのに伸ばさないのは勿体ない気がする。」
「皆さんやる気なのに、私だけ堅実になんて言えないじゃないですか。」
4人がそれぞれ答えを出した。6人の気持ちが一つになった瞬間だった。
「後戻りはできないわよ?覚悟はいい?」
みんなが一斉に頷いた。
「あなた達は二つのグループになりアイドルとして活動してもらいます。グループ分けは上層部が決めるから、それに従ってもらいます。グループ名は既に決まっています。2つのグループですが6人でグループ活動して貰うこともあります。その為グループ1はローズ、グループ2はクォーツ、6人のグループではローズクォーツになります。ここまでは良いですね?」
全員頷いた。
「来週からボイストレーニング、ダンスレッスンが始まります。毎日参加してください。それと皆さんには寮で生活していただきますので、荷造りをしてください。引越し業者はこちらで手配しますので、お金の心配はいりません。借りている家の違約金等も契約会社に確認し、各務に報告して下さい。用意致しますので。」
と、色々説明を受けたがやっていけるのか不安になったので、グループチャットでで相談したら、みんな同じだった。みんな運動が苦手という共通の苦手科目が露わになった。明日から筋トレしようと言う話になり、運動着がないので買いに行こうとなったのだが、疑問が沸いたので三上さんに個チャットで質問してみた。
「夜分遅くにすいません。東御です。今お時間大丈夫でしょうか?」
「今日はお疲れ様、どうしたの?」
「実は全員運動が苦手と共通点が発覚しまして、明日からみんなで筋トレやランニングを頑張ろうと言う話になりまして、運動着3着あれば大丈夫かなとは思ったのですが。」
「会社に何着かあると思うから、出費もかさむだろうし取りに来たらどう?」
「ありがとうございます。運動着の参考にもなりそうなのでお伺いさせていただきます。」
「じゃぁ明日会社に用意しておくから、暇なときにいらっしゃい。」
「お手数おかけして申し訳ございません。明日はよろしくお願いいたします。」
通話を終えた後、みんなの伸長と服のサイズを教えてもらった。朝一で行けるのは私と遥、華苗の3人みたいなので待ち合わせの場所と時間を決めて、明日に備えた。




