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第五話 闇には闇の理由がある

「さて後は乾かして、軽くセットするけど、今日はこの後予定あるの?」


「わかりません…聞いてみます。」



 MINEで確認してみるけど返信がない。



「とりあえず、まだ乾かしてるから解ったら教えて。」


「分かりました。」



 店内に3人の声が聞こえてきた。



「あら、戻ってきたみたいね、近くで時間つぶしてたみたいね。」



 無線機で何か言ってるがよく聞き取れなかった。

 それと同時にMINEの返事が返ってきた。



「近くの服屋を見て回りたいみたいです。」


「じゃぁ、セットが崩れないようにスプレーで軽く固めとくね。」


「ありがとうございます。因みにスプレーはどのようにすれば?」


「分け目にスプレーしておけば大丈夫。こんな感じで前髪がフリーで動く方が良いでしょ?」


「初心者的な質問しても良いですか?」


「うん?なになに?」


「スプレーって種類あります?」


「今日はハード寄りの物使ってるけど、普段はソフトで大丈夫だと思うよ?」


「今日は着せ替え人形継続だろし、分け目も初日で崩れやすいから。」


「ありがとうございます。」


「じゃぁ皆にお披露目しに行こうか。」



 私は恥ずかしい気持ちを抑え込み、みんなの所へ移動した。



「ええやん!めっちゃ大人っぽい!」


「イメージだいぶ変わりましたね、雰囲気が特に大人びた感じでとても素敵です。」


「染めたのは正解だね、髪が軽く見えるし雰囲気も明るい印象に感じる。」


「そ、そうかな、まだ慣れなくて少し恥ずかしいんだけど。」


「盛り上がってるとこ悪いけどお会計の話させてもらうよー?」


「美園さんいくらになった?」



 梨穂ちゃんと美園さんで、お会計の話が始まった。



「アプリ会員になってもらったから、指名カット代6500円、シャンプー1200円でチケットはどうする?」


「あった方がトータルは安上がりだし買いで。」


「じゃぁ合計金額19700円になります。」



 理穂ちゃんが躊躇なく財布を取り出した。



「え、梨穂、まってまって、何してるの?」


「え?支払いだけど?」


「まって、それはおかしいです。梨穂じゃなくて私が施術してもらったのよ?」


「大丈夫、4人で折半しようって話になってるから。」


「大丈夫じゃないよ、3人は何もしてないでしょ?してもらったのは私、ここは私が払う所!」


「でも強制的に連れてきて、髪型も髪色も雪乃は関与してないし私たちのわがままだし。」


「折半ででええて、そうしよ?」



 その時さっきの美園さんとの会話を思い出した・



「多分後で分かるから、大丈夫。雪乃ちゃんは自分を出さないとねー。」



 こういう事だったんだ。

 私は勇気を出して言葉を絞り出す。



「みんなのお陰で、私は見栄えがすごくよくなった。みんなに連れて来られなかったら、私はお化けちゃんのままだった。変われたのはみんなのお陰。皆の力があったから、みんなの行動力に救われたから。だからこそ、ここは私に払わせて。」



 そう言ってお財布から20000円を取り出して、美園さんに渡した。



「なんか照れ臭いね。」


「私たちの我儘なのに、いいの?」


「うん、私の意志で払いたいと思ったの。だって変わったのは私なんだもん。


「雪乃の意見聞いたの初めてかな?」


「雪乃は聞き専だから、なかなか意見を引き出すのは大変よね」



 二人は頷いて見せた。

 その後美園さんに別れを告げてショップ巡りに興じた。

 いっぱい着せ替えさせられたけど、楽しかった。

 次の日もショッピングみんなも服が見たいと事だったので、みんなが各々着たいものや、似合いそうなものを着ては、写メで撮影会になっていった。普段着ない服なども着てみたりで、みんな各々は満足そうだった。


 後日、私の家に遊びに来たいという話になったので、週末集まることになった。各々が撮った写メを見せ合う事になった。


 ピンポーン。



「はぁーい。」



 私は玄関へ迎えに行く。



「おはよ?朝早くからごめんね?」


「いえいえ、どうせ暇してますので、むしろ朝早くて大変じゃないですか?」


「せやな、私はまだ眠いかもやな。」


「これお土産のケーキです…と言ってもコンビニのだけどね。」


「私もお友達が家に来ることなんて初めてなので、どうして良いか解らず、お菓子を大量に用意しました。」



 台所に3袋のお菓子詰め合わせが置いてあった。



「雪乃、買いすぎやで。」


「今日一日では食べきれない量ですね。」


「みんなの好みとかいろいろ考えてたら、こうなってた。」



 3人は失笑交じりだったけど、喜んでるように見えた。



「奥にテーブルと座布団置いてあるから座ってて、今お茶用意するから。」



 はーいと言いながら、部屋を見渡す楓。

 あるものを見つけ写メを撮り席に着く。

 遥のパソコンのメールに先ほどの写メ添付し、送信した。

 その後その写真を削除で証拠隠滅完了した。



「お待たせ、とりあえず紅茶入れたけど皆よかった?」


「大丈夫!みんな紅茶飲むし。」


「せやな。お菓子はこれ食べたい!」


「どうぞ、遠慮しないで好きなの食べて。」



 こうして写メの見せ合いが始まった最初は、自分たちで選んで画面見せ合ってたんだけど、気が付くとグループチャットが写真で埋め尽くされた。気づけば夕方になっていた。写真の見せ合いで疲れたので、解散することになった。私はみんなを駅まで送っていた。



 翌週、私は講義を受けた後、休憩スペースでボイスレコーダーで講義内容を復習していた。

 最近は楓や遥、梨穂が周りに居てくれたので、一人は久々な気分だった。


 しかし、それは長く続かなかった。

 スマホのバイブレーションでMINEが来たのに気が付く。

 相手は有坂君だった。



「初めて個チャ送ってごめんね。今週、暇ありますか?あったら教えて下さい。」



 シンプルな内容だった。

 今日でもいいのかな…



「雪乃です。本日であれば予定は開いてます。送信っと。」


「ありがとう、今日の16時にいつものカラオケボックスでどうかな?」


「分かりました。その時間にお伺いします。」



 変じゃないかな?初めての有坂君との個チャは緊張だった。

 でも私から送ったわけじゃないし、大丈夫かな。

 でも変わらないこともあった。視線は相変わらずあちこちから見られている、そんな気分。

 そういえば最近部室行ってなかったなぁ~顔出しに行こうかな。

 部室は相変わらず人がいないなぁ~デバッグ作業で時間をつぶして、時間になりそうなので部室を出た。


 待ち合わせ場所には有坂君がいた。

 私は駆け寄って挨拶をする。



「有坂君、お待たせしてすいません。待ちました?」


「……」


「有坂君?」


「あ、あぁ、待ってないよ今来た所だったし。いこっか?」


「うん」



 今日も受付で予約しているって言った。いやな予感がする。

 部屋の前で私は声に出して聞いてみた。



「誰かいるの?」


「大丈夫、僕が居るから。」



 彼は扉を開く。中には女性がいた。

 中に入り。



「初めまして東御雪乃と言います。」


「初めまして、菊池華苗と言います。私の事は彼から聞いてる?」


「いいえ、情報を頂いておりません。」


「そう、じゃぁこっちに座って。」



 華苗は隣の席をポンポンして、私を呼んだ。

 有坂君はまたいつものように注文を聞き、頼む。

 店員が持ってきてくれたものを配布する。

 しかし、今日は機械の音量を下げようとしなかった。

 私が機械の前に行き少しだけ音量を下げたいと言ったら、華苗さんが少し下げてくれた。

 私たちは席に戻り、わたしが疑問に思ってることを聞いてみた。



「有坂君が前回セッティングしてくれた時は、虐められた過去を持つ子が居ました。華苗さんはどんな過去をお持ちなんですか?」


「その時は何人居たの?」


「私を含め4人でした。」


「そう、私の過去はあまり褒められたものではないわ。だから多分人が集まらなかったんだと思う。」


「ほめられたものではないと言うと?」


「私は過去に苛めをしていた側の人間。」


「えっ…」



 私は言葉を失ってしまった。



「まぁ、構えちゃうよね。でも過去の事で今は苛めはしてないの。」


「苛める対象が離れたからですか?それとも来なくなったとかですか?」


「いいえ、仲直りしたの。今では親友で、週3回は会ってるわよ?」


「仲直り…出来るものなんですね。私は無理だと諦めていましたし、実際無理でした。」


「私が苛めだしたのは小学5年生の時、今の親友、翠って言うんだけど。翠の様子が変わったのよ。」


「具体的にはどう変わられたのですか?」


「物事をはっきり言わなくなった、モジモジして、ついイラっと来て怒っちゃったの。そこから苛めが始まったの。周りからの圧を感じる事もあったし。」

「それから高校2年まで、ずっといじめてたと言うかキツク当たってた。マジでモジモジするのか、物事をはっきり言わないのか問い詰めたんだよね。3時間ぐらいずっと言えよ!なんなんだよ!って言い続けて、翠はようやく口を開いたんだ。決してはっきりとではなく、でも順序だてて教えてくれたんだ。」



 私は過去の自分と重なったり、思い出されたりで言葉がうまく出て来なくなっていた。



「彼女は小学校4年生の時に母親が事故で亡くなったんだって。そこからお父さんが荒れるようになって、暴力も受けてたみたい。そんな状況だったから親の顔色を窺うようになって、自分が変わっちゃったって言ってた。友達だった私からも、小学5年生の時に喧嘩して以来、だれも信用できなくなったて言われた。」


「それは翠さんの気持ち、分かります。」


「私思ったんだ、私が翠の立場だったらどうだったのかって。親に暴力とか怖すぎて人間不信にもなるよね。親に怒鳴られたら、何も言えなくなるよね、自分の気持ちなんてさ。家にも帰りたくないし、帰る場所もないから帰るしかないし、怒鳴られ殴られすればさ、子供なんて壊れるよね。そこに友達からの苛めがあれば、だれも信用できなくなるよね。友達だと思ってた子に裏切られるんだよ。」


「それで仲直りできたんですか?」


「私が間違えた。ごめんって謝って、食事に誘ったり勉強教わったり、とにかく関わって関係改善に努めたの。翠のお父さんにも会ったときには話をして、お父さんから謝ってきたって嬉しそうに話してくれた時はうれしかったし、翠は私が支えるって決めたの。」


「翠さんは、今楽しそうですか?」


「私にはそう言ってくれるよ?」


「そうですか、良かったですね。仲直り出来て。」


「で、東御は何で虐められてたの?」


「私ですか?4歳の時にブスって言われ始めて小学校中学年になって女子からも言われるようになって苛めが始まりました。」


「苛めってさ、大抵苛める側も問題なんだけど、苛められる側にも問題があったりするんだよね。でもそれは妬みで完全に逆恨みだね。だって実際東御はブスじゃないしね?ねぇ、有坂もそう思わない?」


「あ、うん、初めて素顔見たけど、美人だね。びっくりしたよ。」


「東御はブスじゃないんだよ、つまりさ、負けを認めた連中の妬みだっただけ。でも最近切ったんでしょ?お化けちゃんになったのはいつ頃?」


「6年生の後半ごろには、前髪が顔全体を覆ってたかな。」


「つまり、中学以降はお化けちゃんの完成で、誰が見ても怖いとか、薄気味悪いとかブスっていうのが定着しちゃったんだね。ここからは、東御のせいだね。」


「そうなんですね。因みにどう行動してれば良かったとか答えはあるのですか?」


「おばけちゃんにならずに、普通の女の子として、髪の手入れしていれば多分、苛め止まってた可能性すらあると思う。T大に居るくらいだし頭は良い訳でしょ?委員長とかやって生徒会とかやってたら、苛めは起きないと思うんだけどね…実際は分からないよね。」


「確かに、そうかもしれないね、原因はお化けちゃんだと僕も思う。」


「親にはよく髪切らないのって言われたけど、皆を見たくなかったから。」


「そこで逃げちゃった東御のせいだね。言わせる隙、苛めの隙を与えたからだね。」


「でも、お化けちゃん卒業した今、東御を苛める奴なんて現れないと思うから安心していいと思う。」


「そうだね、安心していいと俺も思う。」


「もし苛められたらどうしたら良いの?」


「嫉妬だから気にしなくて良いよ。気になるなら友達に言えばいい、知り合いに言えばいい。守ってくれると思うよ?私に言ってきてもいいし。」



 華苗さんとの話は、自分の行動で虐めの原因を作っていたことを教えてもらった。正直私に責任があると思っていなかったので、ショックだった。だけど華苗さんは、理論立てて説明してもらえたおかげで改めて客観視することも出来た。

 今度、翠さんを紹介してくれることになったので、MINEの交換した。

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