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第十一話 闇の中で出来た亀裂

 グループチャットで遥に連絡したら即返信がった。

 何でも友達と海に行った帰りで、まだ電車に乗る所らしい。

 そのグループチャットを見て、楓と梨穂がマジ切れ。

 そもそも誰も友達と海行くからとか、休むとか聞いてない訳で…まぁずる休みなんです。

 火が付いた油のような遥への暴言の嵐…。

 それを華苗がなだめてる感じで、翠と私は完全にチャット出来ない状況だった。


 私は楓たちから少し距離をとって携帯画面を見ていた。翠はそれに気が付き私の方へ寄ってきた。

 翠が小声でささやく。



「雪乃ちゃん、どう思う?」


「私は…」



 言いかけて言うのをやめた。



「遥が悪いのは明白だよね。報連相なしだもん、言い逃れようがない。」


「でもグループチャットの流れ、なんか変じゃない?」


「う~ん。皆の本音が出てきた感じかな?着地地点が変わりつつあるね。」


「これ収まるのかな?」


「たぶん、私の望まない方向で収まると思うよ?」


「望まない方向?」


「なるようにしかならないから、行く末を見てよ?」


「うん。」



 グルチャの喧嘩は2時間続いたが、ようやく着地した。

 全員1日ずつ休む、と言う事になった。

 楓、梨穂、華苗の3人で決めた多数決みたいな結果だけどそうなった以上は仕方ない。

「今日、月曜は遥が休んだ、なので火曜は翠、水曜は私、木曜は楓、金曜は華苗、土曜は梨穂、で来週からのレッスンの為に鋭気を養おう、と言う事になったらしい。



「話は帰り道で。」


「わかった。」



 二人は楓たちの元へ寄って言った。



「楓、梨穂、落ち着いた?」


「ごめん雪乃に翠。怖かった?」


「うーん。ちょっと混ざれなかった。」


「雪乃は平気?」


「私は一番先に避難したから。」


「ごめんね、こんな空気にするつもりはあらんへんかってな。」


「私も遥の態度で火が付いて回り見えてなかった。華苗もありがとね。」


「私がフォローする側に回るとは考えてなかったけど、何とか落とし何処があってよかった。」


「楓も梨穂もこんな怒ると思ってなかったけど、怒ったついでに走って忘れよ?」


「走れば、とりあえず余計な事は考えないと思うし。」


「せやね。」


「走ろっか?」



 という流れでジョギングスタート。

 楓80分、梨穂81分、華苗83分、翠80分だった。私は80分だった。

 ジョギング回数増やした成果は出ている。

 翠と二2人で一番早い人のペースで走ろうと決めていた。

 皆と別れ三上さんの個人チャットに気が付く。



「鍵が人数分揃ったので取りに来ても平気だよ~(^_-)-☆」


「実はご相談したいことがありまして、今お時間大丈夫でしょうか?」


「いいよ~。なになに?」


「実は寮での食事の事でご相談したくて。」


「うん?コンビニとかファミレスとかじゃ駄目なの?」


「三上さんも料理出来ない派でしたか?!」


「うん、出来ないではないのよ、やる時間が無いだけで。」


「そうなんですね。で、食事の話なのですが、作れるのが私しか居なくて。」


「ならファミレスでもいいんじゃない?コンビニでも弁当屋でも良いんじゃない?」無理に自炊しなくても?って思うんだけど。」


「自炊した方が節約できますしバランスのいい食事したいじゃないですか?」


「今はコンビニ弁当だけでも生きていけるよ?節約は出来ないけど。でも家賃、光熱費無いだけでだいぶ節約になってるんだし、節約はそこまで気にしなくてもいいと思うよ?」


「分かりました。相談に乗って頂いてありがとうございます。」



 私は三上さんとの交渉を諦めた。と同時に個人の自由にしてもらう事にした。

 翠ちゃんはやり取り見せていたので把握してくれた。



「残念でしたね、三上さんに届かなくて。」


「仕方ないです。私が貧乏性なだけなんです。」


「ところで、雪乃ちゃんが言ってた、私の望まない方向で収まると思うよ?の方向はどうなったのですか?」


「あー、あれってずる休みを私たちもさせてよって話でしょ?」


「まぁ、ざっくり言えばそうかな?」


「でも私たちは事務所契約して、家賃、光熱費、をすでに頂いてるじゃない?」


「うん、でも私たち以外は恩恵を受けてはいないけど。」


「恩恵は関係なくて、契約したか?が問題なの。」


「それは、どういう事?」


「契約をした。つまり私たちはトレーニングも仕事なのよ。来週から始まるレッスンも、週録も撮影も体調管理もすべてが仕事。仕事である以上、会社が定めた休みに従って休むのが自然。でも彼女たちは勝手に休みを決めたのよ。社会人が勝手に休みを取る場合は、有給の申請が必要なの。それも1か月以上前にね。」


「そういうものなんですね、でも父は仕事の休みは決まってたかも。」


「てことは、遥のやった事は仕事の日なのに、ドタキャンして休んだ。ずる休みしたって。」


「なりますね~、ていうか当日キャンセルですら罪なのに。」


「で、結局皆休みだって。休みだよ?」


「喜んでも良いんですか?休んでずるいから私もー!って話ですよね?」


「休みたい人は喜べばいいんだよ~。」


「あ、だから望まない方向で収まるって事なんですね?」


「私にとっては仕事だもの…会社の指示なしには休まないわよ?」


「翠ちゃんはみんなに合わせて休んだ方が良いかもだね。」


「雪乃ちゃんが休まないのに、私も休めませんよ!」


「そう来たかーっ。なら休みます。ただ普通には休みませんよ?」


「どうやって休まず、休むなんて矛盾をこなすんですか?」


「簡単じゃない。午前にリズムトレーニングして、午後はジョギング18時になったら電車で帰る。以上。」


「え?じゃぁ私が先にそれを実践するんですか?」


「え?強制してないよ~?自主トレだよ?翠ちゃんのやりたいようにやればいいよ!さっきのは私の休むけど休まないっていう矛盾を口にしただけ、私の実践は明後日だしね。」


「けど一人先に帰るのって、なんか寂しいですね。」


「でも帰れるのは20時過ぎで、2時間以上あるし時間がもったいないよ?食事するなりお風呂に入るなり、1003号室でリズムトレーニングしても良いし。」


「そうですね、でも食事は一緒にしたい!」


「じゃぁ帰って作るでいい?」



 こうして休み回避計画は水面下で実行に移すのであった。

 一方で遙に対して3人は想うところがある様で、火曜日のジョギングの時間は、完全に遙の謝罪会見状態になった。



「いやー、昨日は本当にすまんかったわー。」


「私達との約束を反故にしてまで行った海はどうでしたか?」


「そんな嫌味な言い方せんでもーごめんて謝ったやんかー。」


「遙さん、謝ったらそれで良いというものではないと思います。」


「なら、どないせいっちゅうねん。」


「みんなで決めて頑張ってた約束でしょ?行くなとは言わないけど、事前に説明するべきじゃないですか?」


「忘れてたんやからしゃーないやんかー。」


「1週間、皆んなでやって来たこと忘れるってつまり、私たちのことはどうでも良いって事ですよね?」


「いや、だからそんな事あらへんて!急に誘われて断れんくてな、いつって聞いたら今日言われてな。焦ってもうたんや。」


「行く途中にでも連絡できたでしょ?」


「それはつい楽しーなってもうて、でも時間に間に合う様帰ろうとはしたんやで?」


「事実、時間の時には、まだ電車にも乗ってなかったんですよね?」


「うちは帰ろう言うたんやで?でも友達がお土産買う言うて、時間とられてん。なす全て無かったんや。」


「でも、連絡できない口実にはなりませんよ?」


「せやから謝ったらやんかー!」


「遙さんにとって、私達は邪魔ですか?不要ですか?」


「何でそない話になるん?一言も言うてへんやん!そんな事。」


「なら何で連絡が無いんですか?一文打つだけでも、朝に誰でも良いから連絡してれば、どこかの隙間時間でも、タイミングはあったはずなんです。する気が無かった、後でいいや、連絡来たら返せば良いか、つまりどうでも良いって事になるじゃ無いですか!」


「それは飛躍しすぎやで、じぶん。少しおちつかへんか?雪乃からもいうてくれへんか?」


「私は昨日グループチャットには参加してません。履歴を見て頂ければわかります。楓、梨穂、華苗は昨日グループチャットで、散々言い合いしたじゃないですか。確かに、遥のしたことは無断欠席、報連相なし、私たちの事を軽んじてると取れることは理解できますし、本人目の前にしたら、言いたい事が出てくるのも分かりますけど、昨日収まるべくして収まった訳ですし、これ以上は無益な話し合いだと思います。」


「軽んじてはおらんのやけど…昨日収まったはずや。」


「確かに、昨日話し合って結果はついたけど。」


「けどではありません。2時間も遥さんを攻め続けたんですよ?もう十分ではないでしょうか?」


「雪乃は何で参加しなかったの?翠も参加してなかったよね?」


「え、無益です。攻めてもお金がもらえる訳でも、グループ内での威厳が上がる訳でも、信頼される訳でも無いんですよ?悪いのは遥さん、そこは正解。皆正解なんですよ?そこに加わっても言う事なんて無いです。同じこと言っても、言うだけ野暮、無駄です。そこにかける時間があれば、他の事をしてた方がよほど有意義です。」


「雪乃はたまにキツイ事言う子なの?無駄です。そこにかける時間があれば、他の事をしてた方がよほど有意義です。って、流石にきつくない?」


「私もきつくない?とは思った。ちょっと言いすぎというか…。」


「雪乃、それは用意された定型文よね?雪乃の本心は?」


「私の本心ですか?みんなに先に言われて言う事ない…チャットに参加できないなー、みんな文字打つの早いよ。です。」


「今日の話し合いに関しては?どう思ってたの?」


「いや、昨日の今日でまだ言いたい事があるの?いや昨日言ってなかった?あ、これは完全に無駄な時間過ごしてるやつだ…私だけランニング行こうかな~って…。誰か私に話題振ってくれないかな?暇だよ~。って思ってました。」


「雪乃はもっと自分だそうね?他の人が言った事言っても、大事な事とかは言って大丈夫だし。」


「そうね、雪乃が居たらもっと早く終わってたかもしれないね。」


「せやなぁ、雪乃はもっと喋っていかないと、課題もあるんやさかい。」


「じゃぁ、最後に雪乃に遥を攻めてもらって終わりにしようか?」


「さんせーい!」


「良いわね、雪乃言ってやんな!。


「じゃあ、一言だけ。約束は先にした約束が優先されるものです、これは誰もが知る常識です。突発事故という言葉で逃げられるなんて、考えが子供すぎます。それに、事故的要因であれば、報連相はするべきです。私たちは今年21になる大人です。報告、連絡、相談が出来なような人は、大人社会で通用はしません。しにくいなら、しやすい人へ誰かしらにするべきでした。本当に悪気があるなら、いやー、昨日は本当にすまんかったわー、ではなく、昨日は大変ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。で、土下座くらいの誠意見せて欲しかったです。」


「一言ちゃうやん!」


「雪乃、ちょいちょい棘が混じってるよー?」


「これはチャットで打つには長いよね。これは参加できないわけね。」


「考えが子供すぎます、大人社会で通用はしません、土下座くらいの誠意。この言葉は私には出てこないかも。」


「昨日は大変ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。とまではいかなくても、昨日は本当にごめんなさい。くらいは欲しかったですね。」


「それはなにか?標準語で謝罪せいって事か?」


「違います。私は関西弁での誠意のこもった謝り方を知らないから、標準語で喋ったにすぎません。それに、先生や、上司、偉い方、例えを変えるならば、レッスンの先生、三上さん、社長に対して、遥はいやー、昨日は本当にすまんかったわーって謝罪できるの?レッスンの際、遥が遅刻したら怒られるのは私たち、遥個人の問題じゃないの。この世界に身を投じると決めた時から、私達はもう運命共同体、一心同体なのよ?今回は運よく個人練習だから、レッスンの先生や三上さんは出てこないけど、それでも共に頑張る仲間に対しての謝り方ではない、私は少なくてもそう感じたわ。だから皆も怒ったんじゃない?本気で土下座して、血が出るくらい頭を地面にこすりつけて誠心誠意謝ったら、違う結果だったと思う。」


「いや、血を出させなくても、私はそこまでは望んでないわ。ただ、高校時代の同級生感覚で謝られても真面目にやってる私らは何なんだって思うかな。」


「私も血はやりすぎだと思う。けど、誠意がこもってないのは感じ取れたのよ。だからつい。」


「そうね、土下座とまではいかなくても、誠心誠意謝ってほしかったわ。」


「なぁ、雪乃?この世界に身を投じると決めた時から、私達はもう運命共同体、一心同体なのよ?ってどういう事や?」


「え、私たちはグループで活動するんでしょ?コンサートで遥が欠けた状態でコンサートは出来るの?したとして、ファンは納得するの?会社は?3人で1ユニットなんだから誰か欠けてる状態なんて、今後は誰も許してはくれないのよ?解ってなかったの?」


「でも、1人撮影で2人ラジオ番組とかそういう事もあるでしょ?」


「それは会社の指示でそうなるんだから許されるわよ。歌番組やコンサート、所謂(いわゆる)本業ではそうはいかないって事。だから本業の延長である、レッスンとか、練習も同じと言う事よ?」


「そうだったのねぇ。でも本気で土下座して、血が出るくらい頭を地面にこすりつけてってのはいくら何でもやりすぎだと思うわ。」


「いいえ、本気で土下座して、血が出るくらい頭を地面にこすりつけ、いやー、昨日は本当にすまんかったわーでも、誠意は伝わったと思うの。」


「でも、やっぱやりすぎじゃない?そこまでされたら逆に、そこまでしなくても…ってなっちゃいそうだよ。」


「そうね、結局のところ誠意の問題って事、本気で謝ろうと思えば勝手に行動や言葉が出てくると思う。」


「そやな、確かに甘えがあったと思うわ。ほんまにごめんなさい。」


「私達も言いすぎたと思うから、そこは謝るよ。ごめんね?」


「私もごめん。昨日散々言ったのに、今日も同じこと言って責めちゃって。」



 みんなが、各々謝り場は落ち着き取り戻した。でも、私は謝らなかった。謝る必要がないと思っていたからだ。

 翠ちゃんは昨日の今日で予定なんて組めるはずも無いし、他の3人は予定を組む為に後半を選んだのは見え見えだったから。


 その後はジョギングをして帰る支度を始めたのだった。

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