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あのお店の店主はときどき、わたしに立てた親指を突き出してくる
それも、とびきりの笑顔で
だから悪い意味でのことではないとそれは理解できる
そこに言葉を添えず、その行為だけなので
わたしは困惑してしまい、ただ無言になって
レーザーで店主の親指を切り落としてしまいたくなる
そんなわたしの思いに、たぶん、気がついていない店主のほうは
きまりが悪くなったようすで、静かに親指を引っ込める
軽くひきつった笑顔で
ひきつった笑顔になるのは、だから、もしかしたら
わたしの思いに気がついて親指を引っ込めたのかもしれない
そのわりに、こちらが忘れたころ、立てた親指を突き出してくる
やっぱり、とびきりの笑顔で
どうにもままならないものだ




