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男運がない
恵まれない
前に付き合っていた男、つまりアイツは
弱い立場の者にはひたすら強く出る
その対象はたいがいお店の店員さん
一緒に食事に行くとたいへん
だから、わたしはいつも、その料理本来の味を感じられず
苦い思いをすることになっていた
別れ話は何度もして、そのすべてはわたし発
別れ話になるとアイツは、それは毎回のことで
半分、泣きながら、別れないでくれとひたすら懇願
最後のほうになるとあまりに泣くものだから
こちらが悪者のような気になってしまう
最後の別れ話のとき、やはりアイツはひたすら懇願し
ひたすら泣いて、わたしも泣いた
泣きつかれ、いつのまにか眠ってしまったわたしが目を覚ますと
アイツはすでにいなくなっていて、アイツの荷物もすべてなかった
わたしはまた泣いて、そしてまた泣きつかれて眠った
どこにでもよくある話
わたしがまだダニエルさんと呼ばれる前のこと




