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たまゆらのかたへ  ~ 和歌のひとひら  作者: くろっこ


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7 限りとて 朝露の余韻の帖

「限りとて 別るる道の 悲しきに いかまほしきは 命なりけり」

 この話は終わったはずだ。想い合う2人が飛び去ればハッピーエンドだ。

 しかし、今現在、私はこの世界から追い出されていない。「しおり、しおり」と言わないからか? それは違うと断定はできないが、まだ物語が続いているからのようにも思える。実際、常葉さんは「なぜ従者が小柄しか届けてくれなかったのか気になります」と言っていた。従者だった人の痕跡を探そう。


 香澄が見ていた御殿は、常葉の記憶を再現した幻影だった。常葉が水面に揺れる月を見ていた池は干上がり、そこには草が生い茂っている。遣水やりみずは乾いた溝となって、落ち葉が積もり、石組の間には土が溜まって、草が根を張っている。石灯籠は、台座が沈んだことで傾いている。

 御殿の檜皮葺ひわだぶきの屋根は、長年の風雨にさらされて黒ずみ、ところどころに苔が這い、軒の端は崩れかけている。柱は朱塗りの面影を残しつつも、ひび割れや虫食いによって今にも倒れそうだ。御簾みすは色褪せ、風が吹けばかすかに揺れる。障子は破れ、白い紙片越しに内側を見やれば積もった埃を目にするだろう。

 変わらぬのは、少し増えた庭の露と、少し深まった苔の香りだけだろうか。


 香澄は、明るくなってから、庭園の配置がわかった。祠は北東にあった。もともと鬼門封じで北東に置くのは伝統的な方法で、結果的に常葉の魂を守る結界のようになっていたのだろう。池は南東にあった。朝日の陽の気を取り込める方角とされている。風水を気にする時代だったのだろう。

 風水を気にしなければ、池なんてどの方角でもいいではないかと思うはずだ。風水では象位しょういという方位の意味があり、それによれば、東は木、西は金、南は火、北は水とされる。だから、もし、南に作れば火と水の気がぶつかるとされる。また、南西は裏鬼門で、水を置くと運気が下がるとされる。北は水だからいいだろうと思いきや、寒の気が下がり、北東の土は相性が悪くないが、鬼門で水を置くと気が乱れ、北西の金も相性が悪くないが、家の主の運気を弱める可能性があり、結局、南東しかない。

 玄関も門も東である。だが、一度南東の池のほとりを経由するのは、池を楽しませるための意図的な導線なのかもしれない。水面に映る空、風に揺れる草木を眺めながら歩くひと時は、心地良い余白になっただろう。

 香澄は、常葉さんと一緒にいた時に、もっと庭を見ておけば良かったなと思いながら、門の外へ出た。



 常葉さんの御殿を見て、町も廃墟になっていたらどうしようと思ったけれど、早朝なのに活気がある。家の前を掃除する人もいるし、商人や農民は荷物を運んでいる。朝食の匂いや鶏の鳴き声は珍しくない。でも、牛車の車輪の軋む音は絵巻物のようだ。絵巻物では音がしない? それくらい知ってるよ。ただ、絵巻物で動物が走り回れば鳴き声が想像できるように、牛車を見れば音が聞こえそうだと思っただけだ。

 常葉さんの彼の匡季さんの従者について知りたい。慌ただしい人を呼び止めるのは悪い。


 あれ? 道向こうの道端の石に腰かけて、じっと空を見ているおじいさんがいる。あの人なら声をかけてもいいかな。驚かさないように近付くと、私の顔をじっと見られた。

「おまえさんは、御殿から出て来たのかい?」

「はい、出て来たのを見ていたのですか?」

「あそこには誰もいない」

「はい、常葉さんはもういません」

篠成しのなりを探すなら、北の薬師堂の裏手に行くといい」

「篠成というのは、匡季さんの従者ですか?」


「おまえさんは、御殿から出て来たのかい?」

「はい」

 「それ、さっき聞かれた」と思いつつ、返事をした。

「あそこには誰もいない」

「それではなく、篠成さんは従者ですか?」

 常葉さんのことではなく、従者について知りたい。

「篠成を探すなら、北の薬師堂の裏手に行くといい」

 何だこれは? RPGのキャラクターのように決められた台詞しか言わないのだろうか。常葉さんは、普通に会話ができたのに・・。ただ、考えようによっては割り切れるから気楽だ。相手が本物の人間なら悪いなと思うことでもできるし、一度話せばそれ以上の情報は出て来ない。もちろん、悪いなと思うこととは、極悪非道なことではない。忙しそうでも声をかけるという程度の些細なことだ。


 牛車で何かを運ぶ商人が来た。

「すみません。常葉さんの彼の・・」

「急いでいるんだ。どいたどいた」

 モブキャラから拒絶された。モブのくせにとは思わない。設定された台詞を言っているだけだから、気にしない、気にしない。


 すべての人に声をかけたいけれど、北の薬師堂の裏へ行ってみるか。あとで「聞いておけば良かった」と思うかもしれない。でも、その時はその時だ。

 本当は、おじいさんから道順を聞ければ良かったのに・・。東はあちらということは、北はあちらだ。キャラクターが同じ台詞しか言えないなら、マップも広くないはず。きっと何とかなる。


「焼き芋~、焼き芋~、栗よりうまい十三里」

 販女ひさぎめが焼き芋を木箱に入れて、天秤棒で担いで売り歩いている。

「栗よりうまい十三里とは何ですか? 十三里という芋の品種ですか?」

 普段の私なら尋ねないけれど、キャラクターが同じ台詞だから遠慮なく尋ねた。

「洒落だよ! 栗(九里)より’(四里)うまいから、9+4で十三里ってわけさ!」

「そうだったのですか」

 江戸から芋で知られる川越まで13里だったからという説もあるが、ここでは関係ないだろうし、販女も言わないから、香澄が知る由もない。

「ほれ、あんた寒そうだから、ひとつ持ってきな。熱いうちに食べなよ」

「えっ、でも、お金を持っていませんから・・」

 あっ、私の言葉に対する返事は設定されてないのか。

「ありがとうございます」

 私の言葉は届かないだろうが、いちおうお礼を言って受け取る。

「焼き芋~、焼き芋~、栗よりうまい十三里」

 また最初に戻った。ここにいたら、また芋をくれるだろう。いくら設定された行動でも、それは良心の呵責で受け取れない。

「洒落だよ! 栗よりうまいから、9+4で十三里ってわけさ!」

 香澄は北へ向かって歩き始めた。



 向こうから白絹の着物を着た女の子がずっと私を見ながら近付いて来る。年齢は私くらいだろうか。

「あなた、篠成さんを探しているのね?」

「どうしてそれを?」

 女の子が微笑んだ。

「風が、あなたのことを話していた」

「風が?」

「うん、風が。薬師堂の裏まで案内するよ」

 私の「風が」に対して、「風が」と返してくれた。この子は、モブキャラではないのかもしれない。

「私は香澄。あなたの名前は?」

「千紗。風の通り道で、よく迷子を見つけるの」

 私は迷子か! でも、確かに薬師堂がどこにあるかわからないから反論できない。


「千紗って、綺麗な名前だね。どういう意味があるの?」

 千紗は、少し目を伏せて、風の音に耳を澄ませるようにしてから、静かに答える。

「千は数えきれないほどの記憶、紗は薄い絹。風に揺れて形を変える。だから、千紗は、千の記憶を包む布という意味なの。忘れられたものをそっと守るための名前。誰かが忘れてしまった歌も、誰にも言えなかった願いも、風に溶ける前に、少しだけ包んでおけるように」

 不思議な子だ。でも、『こひのいとま』という本の中だから、いてもおかしくない。


「そうだ。さっき焼き芋を貰ったから半分あげるよ」

「嬉しい!」

 千紗に半分よりも大きい方を渡す。

「千紗の方が大きいよ。半分じゃないよ」

「私は、もう食べ始めたから、それを差し引くとこれくらいだと思う」

「ありがとう。焼き芋、温かい。香澄も温かい。焼き芋は記憶の味がするね。誰かと分け合ったことを思い出す」

 千紗は自分のことを千紗と呼ぶのか。千紗は誰かと分けたことを思い出したのだろうが、私は千紗と分けたことを思い出しそうだ。



「ここが瑞光薬師堂。36段の石段は『三十六歌仙』に由来するんだよ」

「三十六歌仙というのは何?」

「平安時代の歌人の藤原公任ふじわらのきんとうが選んだ、36人の和歌の名人で、『万葉集』、『古今集』、『後撰集』などに作品が残っているよ。在原業平ありわらのなりひら小野小町おののこまち柿本人麻呂かきのもとのひとまろ紀貫之きのつらゆき、伊勢という名を聞いたことない?」

「伊勢以外は聞いたことがあるよ」

「伊勢は、平安時代の女流歌人。清少納言や紫式部よりも前の時代。恋の歌が多いの。例えば、

『難波潟 みじかき芦の ふしの間も 逢はでこの世を 過ぐしてよとや』

と詠んだ」

「どういう意味?」

「藤原仲平から『忙しくて会えない』と言われ、『難波潟に生えるアシの節と節の間のような短い時間でさえも逢えないまま、この世を過ごせと言うの?』という意味。つまり、『ほんの一瞬でも逢いたいのに、それすら叶わないなら、生きている意味はあるの?』という歌だよ。千紗はね、こういう歌が好き。言葉は静かだけれど、心の中では叫んでいるみたいでしょう?」

「そうか、伊勢が逢いたさのあまりに押し掛けるほど強い女性だったら歌を詠まなかっただろうね」

「ふふっ、そうだね。香澄って面白い」

 伊勢だから威勢がある女性を連想したが、関係があるなら伊勢の国の方だろうな。



 薬師堂の石段を登りきると、境内はひっそりと静まり返っていた。風がそよぐたびに杉のこずえが揺れ、木漏れ日模様が形を変える。お堂の脇を抜け、裏手の細道へ入ると、竹垣に囲まれた小さな墓地が現れた。そして、朝から墓参りに来ている女性が目に入った。

「あの女性が立っているのが篠成さんのお墓の前・・」

「それなら関係者だね」

「うん」


 足音を忍ばせて近づくと、墓標には「篠成」と刻まれていた。

「すみません」

「何でしょうか?」

「匡季さんの従者だった方を探しているのですが・・」

「それは父、篠成です」

 やはりそうだったか。

「あなたが篠成さんのご子息なのですね。常葉さんから小柄だけ受け取ったと聞きました。匡季さんの短冊を常葉さんに届けなかった理由を知っていたら教えて欲しいのです」

 女性は狐につままれたような顔を一瞬見せた後、せきを切ったように話し始めた。

「父が亡くなった時に、まだ私は赤ん坊でした。でも、母がずっと話してくれました。父は、匡季様に忠義を尽くしたと。父は匡季様から小柄と歌を届けるように言われたそうです。しかし、それはあなたが言ったように果たせませんでした。理由は、母がこう言っていました。

 匡季様は、小柄と一緒に歌を届けるつもりで詠み始めたものの、詠む途中で歌を届けるべきかどうかを何度も悩んだそうです。上辺だけの愛を伝えることは誰でもできるけれど、本当の愛を伝えることには責任が伴う。もう自分の余命が短いことを知りつつ、愛を伝えるのは無責任な自己満足ではないかと。そのような匡季様の苦悩を近くで見ていたため、『あの歌は、常葉様の心を、そして、人生を乱してしまう』と届けないことを選んだそうです」

 篠成さんは、この女性が赤ん坊の時に亡くなったのか。ということは、時系列で整理すると、匡季さんが亡くなり、常葉さんが亡くなり、篠成さんが亡くなり、篠成さんが亡くなった頃はこの女性は赤ん坊だった。そこまでは良い。しかし、この女性よりも明らかに年下の私が常葉さんの疑問をぶつけたのは違和感があったか。

「そういう深い経緯があったのですね」

「はい」

 篠成さんは、主である匡季さんの想いと常葉さんの心の間で、あえて沈黙を選んだのか。


「私は父が書いた短歌を持って墓参りに来ています。今日もありますから、紹介させて下さい」

「はい。是非お願いします」

 女性は手に持っていた木箱を開いて短冊を出した。すると、風が吹き抜け、竹の葉がさやさやと鳴った。


「言ふべきか 言はぬべきかと 迷ふうち 時は過ぎゆき 風のみぞ知る」

「伝えるべきか、伝えぬべきかと迷っているうちに、 時は過ぎてしまい、答えは風だけが知っている」


「手紙より 重きは沈黙 小柄ひとつ 主の想ひを 刃に託せし」

「手紙よりも重いのは、語らぬ沈黙。 小柄ひとつに、主君の想いを託したのだ」


 主が和歌を詠めば、従者は主の意を汲んで届けるべきだと、普通は考える。しかし、匡季さんが詠んだ時に常葉さんの未来を考えて、苦しみや迷いが滲んでいた。常葉さんが読めば、想い続けて前に進めなくなる。愛しい人を守り続けることができないのなら、次善策として他の男性と生きることも考えただろう。それが、常葉さんの人生を守るための言葉の封印だ。

 また、小柄は、自分の命を守るもの、いわば、命の象徴であり、それを返すことは命を終えた証となる。小柄を返すことは言葉よりも重い。そもそも、匡季さんは、お互いに愛を疑いの余地がないものと信じていた。それゆえ、愛していると言わず、自分の死だけ伝えれば、常葉さんは自分で判断してくれると思ったのかもしれない。

 それでも、常葉さんが和歌を望んでいたように、匡季さんも和歌を届けたいという気持ちもあった。最終判断を任された篠成さんは大変だったろう。


「お父様は、匡季さんの心を誰よりも深く見ていたがゆえに、さぞかし悩まれたのでしょう。教えてくれてありがとうございました」

「最後に見た常葉様の様子を教えてくれませんか?」

 えっ、自分よりも年下の私に聞くか? 私が尋ねたから何か知っていると思われたのか。私が聞いたのだから私からも話すか。

「私が常葉さんと初めて会った時には、池に揺らぐ月を見ながら、匡季さんを待っていました。そこで小柄の話を聞いたのです。それから、一緒に祠へ行くと、匡季さんの柳筥や巻物がありました。巻物には旅の様子が描かれていて、これは狸だか狐だかわからないと、常葉さんは微笑んでいました。柳筥には短冊が入っていて、匡季さんの和歌を詠み、すぐに和歌を詠んで返しました。最後に2人笑顔で、仲良く天へ昇って行きました」

「巻物のこと、母から聞いたとおりです。匡季様はあらゆる芸事に秀でていらっしゃったけれども、絵は苦手で、父が教えていたと」

「あと、常葉さんは、秋が話しかけて来るようないい香りがしました」

「それも母から聞きました。旅先で匡季様と父が同じ香りを作ろうと試行錯誤したけれどできなかったと。いいお話を聞けて良かったです」

「私の方こそ感謝しています。ここで遇えて良かったです」

「お名前は? 私は、しのです」

「私は香澄です」

 篠成さんの娘がしのか・・。親の名前の一文字を使う。今も昔も変わらないな。

「香澄さん、もし、匡季様と常葉様に会えるなら、この短冊を渡してもらえませんか?」

「それは、お父様の形見の品でしょう? 手元に残しておいた方が良くありませんか?」

「香澄さんの話には、父が登場しませんでした」

「そう言われてみると、篠成さんの姿は見ていません」

「これは匡季様と常葉様のことを父が考えていましたという証なのです」

「でも、天に昇ってしまいましたので、会えるかどうか・・」

 『こひのいとま』のページを開けば、繰り返されるのは確認済みだ。でも、3回とも微妙に違った。はたして天に昇る前に行けるのかどうだか。

「香澄は2人に会えるよ。間違いなく、会える!」

 黙って隣で聞いていた千紗が突然口を開いた。

「是非、お願いします」

 この機を逃したら、父のことが2人に伝わらないと思って必死なのだろう。

「わかりました。千紗、確認するけれど、私は本当に2人に会えるんだね」

「会えるよ。絶対に会える!」

「わかった。信じるよ。では、これは必ず届けます」

「よろしくお願いします」


「千紗、今すぐ行って来るよ」

「ちょっと待って。その前にあっちで話したい」

 しのさんの目の前で消えた方が、届けてくれそうな確信を持ってもらえると思ったのに。


「私は、父に今のことを報告してから帰ります」

「はい」

 あっちで話したいという千紗の言葉を聞いたから、一緒に町まで帰らないのだろう。



 しのさんから見え、かつ、声が聞こえないであろう場所に来た。

「千紗、話したいことって何?」

「香澄は、常葉さんの御殿の前の道を渡る前に商人や農民に声をかけなかったよね?」

「うん、忙しそうだったから。道の向こうの石に腰かけて空を見ていたおじいさんに声をかけたんだ」

「商人や農民に声をかけた方が良かった?」

「しのさんに会えたから、終わり良ければすべて良しだけど、声をかけていたら『匡季様の従者の名前は篠成だ』と答えてくれたんだよ」

「あぁ、篠成だと聞いていれば、おじいさんの『篠成を探すなら』につながっていたんだね」

「そうだよ」

「あと、犬はいなかった?」

「犬? 見てないよ」

「そうか、バグが修正されたんだ」

「ちょっとバグって何?」

「夜に常葉さんと話さずに町へ出た場合、『御殿へ戻れ!』と吠えて追いかけ回す設定だったんだよ」

「何それ、恐いよ」

「それが2人が昇天後の朝にも出ていたのが修正されたんだね」

「『こひのいとま』って、恋の和歌の本でロマンチックだと思っていたのに・・」

「いろいろあった方が楽しいよね?」

「楽しい方がいいけれど・・」

 あの同じ台詞を繰り返すモブキャラには本当に驚いたんだから。その他に夜に犬に追われるとか、バグで昼に追われるとかあったのか。


 ふと、しのさんの方を見ると、報告が終わったのに私たちがここにいるから帰れないのか、墓の前からこちらを見ている。

「千紗、一回戻って、また来るよ」

「わかった。またね」

「うん」

 しのさんに手を振りながら言う。

「しおり、しおり!」



 しおりは、「限りとて 別るる道の 悲しきに いかまほしきは 命なりけり」のページに挟まれていた。ページをめくると・・。

「香澄さん、待っていました。木箱も用意してあります。祠へ急ぎましょう!」

 木箱の中身も見せずに祠へ行き、タイミングを見計らって篠成さんの短冊を渡した。そして、2人が青藍と常盤の光の玉となって昇天した。篠成さんは出て来ない。でも、娘のしのさんがいるからには、奥さんがいたはずだ。天国でも常葉さんと匡季さんの2人と一緒では可哀想だ。

 さて、2度目だけど、梅鉢草を植えるか・・と思ったら、既に植えられていた。これも引き継いでくれるのか。『こひのいとま』は、倭ちゃんが話す和歌のイメージとは違う。だからこそ、私向けなのかもしれない。

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