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暗光の操拳者  作者: Happy Banana
セイノール編
2/5

光の始まり

少し説明が多いですがご愛敬ください。

9年がたった。


セルディックは16歳になった。

背丈が伸び、垢もぬけてすっかり好青年だ。


「仕度はできたか?」


クロノスが声をかけた。

彼があの日からセルディクのことを世話してくれた。


「出来たよ。そーいえばまだよく、、なんだっけ、セイノール?大学校とやらのことがよく分かってないんだけど」


「あぁ、まぁ簡単に言うと操拳者を育成する学校のようなものだ。

そのような学校は最近出来た私立のものも含めると全部で9校あるのだが、

セイノール大学校はトップ校だな。

あと皇帝の都市に位置していて、歴史のある学校だぞ」


「へぇー、でもなんで俺がそんな所に急に編入できるんだ?」


クロノスはため息を漏らした


「全く、何度言ったら分かるんだよ。

お前のもつその空拳の"神之間(ゾーン)"は特別なんだよ。神ノ間を持っているやつなんて、この世界でも13人しかいないんだぞ?」


「あ、あの……………

怒られるの承知で言うんだけどさ、その神ノ間ってやつ?よく分かってないんだけど…」

半笑いだが、少し申し訳なさそうに言った


「わかったわかった、もう一回だけ説明してやるよ。ただ本当にこれが最後だからな」


「あざっす!師匠」


「そもそも空拳って言うのは、だいたい7歳程度で突然発現するんだよ。

まぁ簡単に言うと、第3、4の手が急に出てくる的な感じだな。

あとその師匠っていうのやめろ」


「皆、俺みたいに2つあらわれるんだっけ?」


「いいや、

1手の人もいれば2手の人もいるよ。

割合的には7:3で1手の人が圧倒的だ」


「あぁ、なんか言ってた気が……

まぁいいや、

それで神之間は特別なんだろ?」


「あぁ、初代世界皇帝が最初にその力を手に入れたとされていてな、

この世の理ギリギリの能力をもっているんだよ。

分かりやすく説明すると、

普通は後付けで空拳に手技(ハンド·スキル)という能力をいれれるんだよ。

だが、神之間は最初から能力が刻み込まれてるんだ」


「へ、へぇ…………」

あんま、よくわかんねぇ………


「なんだ、また困惑した顔して」


「ーーー初代世界…なんちゃらとやらが分からなくて、、、」


「あぁ、初代世界皇帝ね、、、

………最初の世界を統合した者のことだよ。

いまから1000年前の話だけどな。温厚な人物だったらいが、、

まぁいいや。

他にも彼おかげで皆同じ言語を話すようになったからな。

ちなみに4人いる歴代最高戦力保持者の1人として記録されている。」


「流石クロノス物知りなんだね」


「お前が知らなすぎるだけだ。

あ…長話をしすぎたかな。

ほら行ってこい。

門の外に馬車を用意しているから」


「え、クロノスは来ないの?」

セルディックの表情がすこし曇った


「ちょっと、やることが出来てな、、

まぁすぐ会えるさ」


「ニートのくせにやることなんて笑」


「うるせぇ、早く行ってこい」


そう言うと、笑顔と取り戻したセルディックは手を振り、馬車へと向かった。



そして6年過ごした人里離れた屋敷を後にした。









――――じゃあな、俺の三百年の結晶

セイノールの加護があらんことを······





ーーーーーー

馬車に揺られて半日、時が過ぎたであろうか、セルディックはこれからきたる日々に想いを馳せていた。


今思うと俺と同年代の人間と話した覚えはないなぁ。

うまくやれっかな~


だが、彼は自身の心にある緊張を楽しんでいた。

この夜は眠れないなと微笑みながら朝日が昇るのを待った。





「もうすぐ着きますよ」


光が目に差し込んできた。

どうやら日が登りきっているようだ。

重いからだを起こし、セルディックはまだぼやけている目をこすりながら、外を見てみた。


城だ。


一目散に目に飛び込んできたのはそれだった。


まだ馬車からはかなりの距離があったが、周りの街を見下ろすかのような、荘重なそれは

なにも知らない1人の少年に、その偉大さを伝えるのには十分だった。


やがて、近づいてゆくにつれて他の馬車も増えていった。

入り口であろう大門の前に来る頃には、溢れんばかりの馬車の渋滞に巻き込まれていた。


ここは皇都セイノール、人と物、全てが集まる場所。


そうクロノスから聞いていたが、どうやら本当らしい。

ほぼ自給自足に近い生活をしていたセルディックにとっては全てが別の世界の物のように感じた。


蟻の行列のような大量の馬車、目の前にそびえ立つ大門、城門の前で門を通る馬車をひとつひとつ検問する重装備の兵士たち。

同じなのは言語だけ、まるでそう思えた。


しばらくして僕たちの馬車の検問の番がやってきた。


「ここに来た目的は?」


「すでにここの交通局から通行の許可を貰っております。通してくれませんかねぇ」


そういって御者は深く被っていたフードを外し、顔を見せた。


「!!、あぁ大変失礼しました。お通りください」


あんまり何があったか良く分からなかったが、おそらくここらじゃ権力のある御者とかなんだろう。

クロノスは顔が広そうだし


無事、門を通れたようだ。


「セイノール内には入りましたが、まだ目的地まではしばし時間がかかりますよ。

また着いたらお知らせしますので、セルディック様はごゆっくりされてくださいねぇ」


そう言った御者は、まだ自分と一回りしか年が離れていない若者のようだった。

色白で鼻が高く、きれいな目をしている。


しかし、御者なんてなにが楽しくてやってるのだろう。

あ、普通に失礼だな。

てかなんかこの御者、語尾がねっちゃりしてるな…


「お気遣いどうも。

ちなみにお名前は?」


人の仕事にケチつけるようなことは流石にできなかったが、名前くらいは聞くことにした。


「名前、ですかねぇ…

·····ダンディール·アルバトロスです。

以後お見知りおきを」

  


御者···馬車を走らせる人

(クロノスに教わった難しい言葉)


読んでくださってありがとうございます。

ぜひブックマークを押してくださると幸いです。               

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