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妄想の帝国

妄想の帝国 その98 ニホン国消滅地域回避絶対政策

作者: 天城冴

ニホン国では消滅可能性の高い地域が半数を超えたとの調査結果におののき、大胆な政策を実行した…

202X年、ニホン国では将来的に消滅する可能性のある地域が全国自治体の半数あまりに及んだ。ようやく危機感を感じた政府はあらゆる調査を忖度、贔屓、かさ上げ等々の誤魔化し全くなし、身もふたもないまでに正確に行った。消滅の原因はさまざま上げられ、それぞれが密接に関係していたが、ある主たる原因があった。苦渋の選択として、その主原因を完全なまでに取り除くことが国会でかろうじて決定した。


「ひいい、な。なんで儂らがフクイチに送られるんだー」

叫んでいるのは某A県B郡C村の元村長、だけではなかった。狭い会場で、似たような壮年、老年の男性陣らがひしめき合い、異口同音に声をあげていた。

『みなさーん、これは政策です、国会の決定ですので』

と、スピーカーから聞こえてくる、AI音声。

「わー、コンピューターに命令させるなんて卑怯だぞ!!責任者呼んでこーい」

『皆様と正常人との接触は禁じられております。パワハラ、モラハラ、セクハラ、あらゆるハラスメントを行った方々に1ⅿ以内近づくと、健全な社会生活が困難になる恐れがあると各調査で判明しております』

「な、なんだー!少し怒鳴ったぐらいで、ひ弱な奴ら…」

『何時間も何日もが少しとは判定できかねます。しかも逃げ出せない状況で、自分より弱者に対して行って、その後のフォローもなし。鬱症状だけでなく、身体不調、自殺者まで出ているとあれば、これはもう犯罪ですし』

「し、死ぬなんて、思ってなかったし、その、よ、弱いほうが悪い」

『ストレスたまったなどといって税金を使ってクラブ、キャバクラなどに通い詰め、緊急の会議をずらして接待ゴルフ三昧などなさっていたのは弱いことではないのですか。お強いのでしたら、そういったことなどせず、きっちりと職務をこなされていたはずですが。アナタ方のような我がまま首長のせいで、予定を何度も変更させられ,各団体との調整をさせられた職員たちの健康は心身ともに損なわれています』

そこに別の言い訳めいた男性の声。

「いや、その村長やら町長やらが、無茶したのはわかるが、俺ら社長やら商工会長まで…」

『そのような首長を諫めもせず、助長させ、尚且つ甘い汁と吸ったからですが。首長らとの接待で各種工事を高値で請け負ったり、労働者を酷使したのを見逃してもらったなどとの事例は多数報告されております。アナタ方の下の社員事務員、特に女性が多大なる被害を受けておりますが』

「ひ、被害って、べ、別にその訴えとか。な、何も言わなかったし、そのおばちゃんいや、年配の女性社員もさあ」

『訴えようとしたら、専務などに脅迫じみた説得をされた、首をちらつかせられた、一家全員村にいられなくするなどとの言動もあったと報告がありますが。訴えなかった女性も同調圧力などにより、しぶしぶ従わざるを得なかったそうですよ。いわゆる社長のお気に入りのお局様のいやがらせで』

「そ、そんな!い、いやがらせなんて!社風に合わないから、ちょっと注意を!」

と金切り声を上げたのは中年女性、声をはりあげたせいで、塗ったファンデーションションの粉があちこちに飛び散り、一部剥げている。

『その社風とやらが労働基準法まるっきり無視、まさに社畜生活強要。24時間LINEだのなんだので、プライベートの行動まで監視されるとはどこかの独裁国家よりもすさまじい、本当にアナタ方民主主義を理解していたんですか?義務教育をきちんと終わらせたとはとても思えない考えをお持ちで』

「そ、それだとしても、全員フクイチとか、原発作業などの危険作業に従事、一切故郷とも家族とも連絡を取ることも禁ずなんて」

『仕方がありません、アナタ方が存在し、社会活動をおこなうことこそ、周囲の害になり、健全な民主主義国家の市民の心身の安全を脅かすため、その地域から転出が多数、出生率も下がり、各種病気も増え、と悪いことばかりです』

「いや、それは、これから改め…」

『それは口だけということが完全に証明されました。各自治体でハラスメント首長が追い落とされ、トンデモ社長が逮捕されても、周囲に似た人が一人でもいる限り、同じことになります。同類がどんな目にあっても反省もしないし、むしろ運が悪い、俺はうまくやれるなどといった間違った方向に考えが進んだ方が多いので』

「だ、だからって、息子や妻もかあ」

『アナタ方のような方を諫めもせず、放置した方だけですよ。放置どころかそれを助長し、マトモな子供や兄弟にまでトンデモな親に従えと強制したという場合もありましたので。真にニホン国に貢献する可能性がある方を救うためにも狂った家族を引き離すのが有効、これは心理学などの多種の研究で証明されています』

「わー、俺らがいなくなったらウチの地域は―ニホン国はー」

『間違った方向が正されて大変良い国になるでしょう。消滅するはずの地域も復活する可能性が出てきます。オカシナ考えの方を一掃することで大胆なパラダイムシフトを起こし、ニホン国を完全再生します。一掃といっても別にすぐ死ぬわけではありませんし、フクイチなどでアナタ方のコミュニティを作ればよいではありませんか。ハラスメントだらけの社会ですが、それがお好みなのでしょう。もっとも八つ当たりをする弱者などはおりませんが』

とAIの声が終わるか終わらないかのうちに催眠ガスが噴出され、モラハラ、パワハラ、セクハラ容認集団は深い眠りについた。次に目覚めるときは…消滅すべきハラスメント満載地域に閉じ込められて決して出られることはない、ニホン国消滅の代わりに彼らハラスメント集団が消滅するのだ。


パラダイムシフトとやらが起きるのは、間違った考えを改めていく人が増えることでなく、間違った考えを持ち続ける人が完全にいなくなることらしいですね。とするとどこぞの国がよくなるには…

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