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あなたの『謎』、聞きます  作者: 佳景(かけい)
第6話 誰かからのメッセージ
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―62―

 私は気持ちを切り替えて、『ペンタブ』さんに訊いた。


「じゃあ、次は何の写真がいいですか?」

「『肉球ぷにぷに』さんの写真がいいです。勿論顔は写っていなくて構わないんです。手とか、後ろ姿だけで十分なので……駄目でしょうか?」


 そう訊かれて、私は少し考えた。


 一応私のことを好きだと言ってくれている以上、私がどんな容姿をしているのか気になるのは自然だろうし、見せても差し支えないところなら別に構わないだろう。


「いいですよ」

「ありがとうございます。楽しみにしてますね。それでは、僕はこれで」

「はい、失礼します」


 私は電話を切った。


 今度、『なぎゅん』にでも後ろ姿の写真を撮ってもらおう。


 顔は見えなくても、やっぱり少しくらいオシャレした方が、『ペンタブ』さんも嬉しいだろうか。


 私はスマートフォンをテーブルに置いて立ち上がると、服を選ぶためにクローゼットを開けた。


 クローゼットの前で立ち尽くしたまま、ああでもない、こうでもないと悩んでいると、私の足元にやって来たにゃん三郎が「何してるの?」という顔で私を見上げてくる。


「にゃん三郎も手伝ってくれる?」


 にゃん三郎が小さく首を傾げて「にゃー」と鳴くと、私は言った。


「好きな服があったら教えてね」


 私は次々に服を体に当てて、にゃん三郎に見せ始めた。


 にゃん三郎が決めてくれたらラッキーくらいのつもりだったけど、にゃん三郎は黒地に花柄をあしらったワンピースの私を見て、また「にゃー」と鳴く。


 自分ではなかなか決められないし、にゃん三郎の意見に従うことにしよう。


「ありがとね」


 私はワンピースをクローゼットに戻して、にゃん三郎の頭を軽く撫でると、『なぎゅん』に連絡を取るためにスマートフォンを手に取った。


 今まで浮いた話の一つもなかった私が、「男の人に見せるための写真を撮って」なんて言ったら、『なぎゅん』はきっとびっくりするだろう。


 自分でもびっくりだ。


 いつになるかわからないけど、できれば『ペンタブ』さんにいい返事ができたらいいと思う。


 私はロックを解除して、ソファに腰を下ろすと、『なぎゅん』に送るメッセージを書き始めた。




参考文献・サイト

13.色覚の異常-目と健康シリーズ 13.色覚の異常|目と健康シリーズ|三和化学研究所 (skk-net.com) (二〇二〇年九月二十七日参照)






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