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あなたの『謎』、聞きます  作者: 佳景(かけい)
第6話 誰かからのメッセージ
57/62

―57―

 結局『ペンタブ』さんとは連絡が取れないまま、土曜日がやってきた。


 窓から差し込む日差しは熱いくらいで、洗濯物がよく乾きそうないい天気なのに、その日差しの強さが今の私には少し鬱陶しい。


 何も知らないにゃん三郎は私に遊んで欲しそうだったけど、ボールで遊んでもらうことにして、私は『愚痴聞き屋』の仕事をすることにした。


 もうすぐ予約時間の十五時だ。


 イタズラかも知れないと思うと、電話するのは気が進まなかったけど、無視する訳にも行かない。


 私はいつものようにペンとメモ帳を用意してから、十五時丁度に発信ボタンをタップした。


 少し緊張しながらコール音を数えていると、二つ目のコールが終わったところで、お客さんが電話に出る。


「もしもし?」


 電話の向こうから聞こえた声は、予想に反して知っているそれで、私は咄嗟に言葉が出て来なかった。


 声の主は、『ペンタブ』さんだったのだ。


 でもその声は、何だか変だった。


 口の中に何か入れているみたいだ。


 この時間なら、おやつでも食べているのかも知れない。


 無事だったのは良かったけど、ちょっと心配していた私は『ペンタブ』さんの呑気さに腹が立って、つい口調がきつくなった。


「『ペンタブ』さん! 今まで何してたんですか!? 合図出してたのに、無視しないで下さいよ! って言うか、『ペンタブ』さんだったんなら、どうしてわざわざあんな暗号なんて書き込んだりしたんですか!?」


 私が名乗りもせずにそうまくし立てると、『ペンタブ』さんは口の中のものを飲み込んだみたいで、いつも通りの声で言った。


「すみません。ちょっといろいろ思うところが……」


 歯切れ悪く言う『ペンタブ』さんの言葉を遮って、私は言う。


「ちゃんと説明して下さい」

「ちゃんと説明し辛いからこそ、こういう手を使ったんですけど……」


 『ペンタブ』さんは、もごもごした声でそう言った。


 わかり難いけど、『ペンタブ』さんの声には迷いとも困惑とも付かないものが混じっていて、余程言いたくないらしい。


 でも「言いたくないなら、無理に聞かなくてもいいや」なんて思える程、今の私は優しくなかった。


 私はいつもより平坦な声で、『ペンタブ』さんに尋ねる。


「さっきから、何食べてるんですか?」

「ポップコーンです。でも只のポップコーンではないんですよ。チョコミント味なんです」

「へー、珍しいですね」

「でしょう? 新作なんです。僕はチョコが好きなのですが、中でもチョコミントに目がなくて」


 どうやら『ペンタブ』さんは、甘い物好きらしい。






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