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私は早速アプリのステータスを「電話待ち」にすると、プロフィール画像をにゃん三郎の写真に差し替えた。
写真の中のにゃん三郎は、いつもの眠そうな顔と違って、少しきりっとした表情だ。
確か猫じゃらしのおもちゃを見せた時の写真だったと思うけど、ぽやっとしたにゃん三郎も狩猟本能を刺激されると、流石に顔付きが変わる。
普段のにゃん三郎より二割増しくらいかっこいいから、詐欺みたいな気もするけど、画像加工している訳でもないし、これくらいは許されるだろう。
『ペンタブ』さんには、にゃん三郎に少しでもいい印象を持って欲しいし。
衣替えを終わらせた私が、クリーニングに出す服が入った袋を玄関脇に運んだ時、スマートフォンから通知が入ったことを知らせる音がした。
私は急ぎ足でテーブルに歩み寄ると、スマートフォンを手に取る。
ロックを解除してみれば、『ペンタブ』さんから「今すぐ話したい」という申し込みが来ていた。
相変わらず早いなと思いながら、チェストからメモ帳を引っ張り出すと、私は早速『ペンタブ』さんに電話をかける。
『ペンタブ』さんはまるで待ち構えていたみたいに、ワンコールで電話に出てくれた。
「もしもし?」
電話に出た『ペンタブ』さんの声は、どことなく弾んでいる気がした。
漫画の連載が決まった時程ではないと思うけど、その次くらいには機嫌が良さそうだ。
「こんにちは。『肉球ぷにぷに』ですけど、何かいいことでもあったんですか?」
「いいことと言うか、にゃん三郎君の写真を見られたので。やっぱり猫は猫というだけで尊いですし、可愛いですよね」
にゃん三郎の写真をプロフィール画像に使っていた時、『ペンタブ』さんとは二回話したけど、最初は『ペンタブ』さんが切羽詰まっていて猫どころではなかっただろうし、その次は漫画の連載が決まって上機嫌だったから、猫の写真一つでここまで機嫌が良くなるなんてわからなかった。
本当に猫が好きなんだなと思いながら、私は力強く頷いて言う。
「わかります! 猫って耳から尻尾まで、計算され尽くしたとしか思えない完璧な可愛さですよね!」
「ですよね! 肉球とか、いろんなパーツが最高過ぎます! ウチの雪もなかなかの美人ですけど、にゃん三郎君も男前じゃないですか!」
さらっと飼い猫自慢を入れてくる辺り、『ペンタブ』さんはなかなかの飼い主バカみたいだ。
にゃん三郎を褒められると嬉しくなる単純な私も、あまり人のことを言えないだろうけど。
飼い主としては誰がにゃん三郎を褒めてくれても嬉しいけど、『ペンタブ』さんがにゃん三郎にいい印象を持ってくれたのは、輪を掛けて嬉しかった。
いつかにゃん三郎がお世話になるかも知れない人には、できるだけにゃん三郎のことを気に入っていて欲しい。
なまじ第一印象が良かっただけに、実物を見てがっかりするかも知れないけど、第一印象は悪いよりいい方がいいだろう。
「せっかく褒めてもらって何ですけど、あれは所謂『奇跡の一枚』ですから、にゃん三郎の実物を見たら、ちょっと印象が違うと思いますよ。いつもはもっと、とぼけた顔してるんです」
「そうなんですか。前に見た写真の子とちょっと違うような気がしたのは気のせいかと思っていたのですが、あながち間違いでもなかったんですね。じゃあ、次に謎を聞いた時には、いつものにゃん三郎君の写真に差し替えて下さい」
「わかりました。そうします」
私はそう言うと、やっと本題に入った。




