―13―
翌日。
目を覚ました私が、枕元に置いていたスマートフォンで時間を確認すると、九時近くだった。
ぼんやりしていた頭がだんだんはっきりしてきて、「正月に実家に帰るべきか」という問題が私の心を重くしたけど、まだ時間はあるし、とりあえずは保留にしておこう。
それよりも、にゃん三郎のご飯の方が大事だ。
いつもは七時くらいにご飯をあげているのに、うっかり目覚ましをかけ忘れて寝てしまったみたいだから、きっとお腹を空かせているに違いない。
私はロフトベッドの隅に置いておいた着る毛布に包まると、いそいそと階段を下りた。
にゃん三郎は物音で私が起きたことに気付いたみたいで、電源の入っていない炬燵から出てくる。
冬の間は炬燵がお気に入りで、暖かくなくてもここにいることが多かった。
夜の間もエアコンは付けっ放しだから、部屋中暖かいけど、炬燵布団があるところがいいのかも知れない。
「おはよう。すぐにご飯にするね」
にゃん三郎は「にゃー」と一鳴きすると、キッチンに入って行った。
人間の言葉は話せなくても、人間の言葉はある程度わかっているみたいだ。
特に「ご飯」や「おやつ」のことはよくわかっているみたいで、この言葉を出すと、いつもさっとエサ皿の方へ行った。
私はキッチンの戸棚からキャットフードを取り出して、にゃん三郎に朝ご飯をあげると、ルイボスティーとトーストだけの朝ご飯を簡単に済ませる。
元々ルイボスティーはあまり好きではなかったのだけど、この間友達に会ったら、お茶になんて興味がなかったその子が急にお茶にハマっていて、その子に勧められて飲み始めた。
何でもルイボスティーは美容にいいし、冷え性にも効果があるらしい。
試しに気になったお茶をいくつか飲んでみることにしたのだけど、まだ飲み始めて二週間くらいなのに、前程手足が冷えなくなった。
フレーバーの種類が豊富だから、その日の気分で毎日違うお茶を楽しめるし、果物や花の香りがとてもいいところも気に入っている。
今朝はレモンフレーバーだ。
爽やかな香りで、朝にぴったりだと思う。
私は朝食の後片付けをすると、パジャマから部屋着に着替えて、ドレッサーの前で簡単にスキンケアを済ませた。
特別なことは何もしていないけど、肌の保湿と紫外線対策だけは欠かさないようにしている。
私は「似たような人が知り合いにいる」とよく言われるくらい平凡な顔立ちだから、せめて肌くらいは少しでも綺麗に整えておきたかった。
今のところ気になる人はいないけど、いつそういう人に出会うかわからない。
私は髪の毛を梳かし終えると、ドレッサーに置いていたスマートフォンのロックを解除した。
今日は特に予定がないから、『愚痴聞き屋』をするために例のアプリを開いてみる。
すると、予約を希望するお客さんからメッセージが届いていた。
名前は『たけちゃん』さん。
今日の十四時から、十分の予約を入れたいらしい。
私はお客さんに「この度は、ご利用ありがとうございます。十四時にご連絡しますので、よろしくお願い致します」というメッセージを送り返した。




