9. 金色
俺は狩場である第21階層に移動している。
第21階層は、死霊系のステージ。
光属性魔法が使えれば無敵のエリアだ。
俺はゴーストとリッチーを殺しまくり、一気にレベルを上げる。
ティッティティーン!
「良し上がった! これでレベル30の筈だ!」
俺は急いでステータスを確認する。
種族: ユニークスケルトン lv.30 (進化可能)
職業: 勇者
称号: 不死者、思い出すのが遅すぎた男、骨なのに勇者、運の無い男、陰陽を極めた骨。
スキル: 超隠蔽、不死、鑑定
魔法: 第1階位光属性魔法。第1階位火属性魔法。
力 65
運 3
HP 110
MP 219
「よし! 進化可能になってる!」
俺は、ステータス画面をスクロールして、何に進化できるか急いで調べる。
[ユニークスケルトンから、ゴールデンスケルトンに進化]
ゴールデンスケルトン?
何なんだ? ゴールデンスケルトンって?
俺のこの世界の記憶では、一度も聞いた事がない種族である。
特殊な種族になりたかったが、流石にこれは無い。
俺のイメージでは、日本のとても古いアニメの、黄○バットしか思いつかない。
骨の色が金色になるのか?
そんなの恥ずかし過ぎて、外で歩けない。
普通、ユニークスケルトンの次は、リッチーとかだろ!
ゴールデンスケルトンの進化をスルーすると、この後どうなるのだ?
俺は鑑定で調べてみる。
[ユニークスケルトンの次の進化は、ゴールデンスケルトンしか有りません]
なんてこった……。
俺は、絶対に、金色骸骨にならなければならないのか?
人肉への欲求を抑える事が出来ないスケルトンは、もう嫌なのだ。
しかし、ゴールデンスケルトンにならなければ、次の進化が出来ない。
どうしよう。
こんな所で、俺の薔薇色ハーレム計画が崩れるのか……。
クッ! 仕方が無い。
俺は甘んじて、ゴールデンスケルトンを受け入れる。
これも薔薇色ハーレム生活の為なのだ。
とっとと、次に進化してしまえば問題無いだろ。
俺は勢いで、ステータス画面のゴールデンスケルトンを、ポチッと、クリックした。
「ハッ!」
目が覚めると、やたら周りがピカピカして眩しい。
やっぱりね……。
俺は見事な黄金色になっていた。
俺の周りに、やたらとリッチーが飛んでいる。
リッチーは、黄金が好きなのか?
名前がリッチーだけに、リッチになりたいのかもしれない。
カタカタカタ……。自分で言って、寒くなった。
鬱陶しいので、ヒールを使ってみたが、案の定、使えなかった。
「また、最初からか……」
俺は一応ステータスを見てみる。
種族: ゴールデンスケルトン lv.1
職業: 勇者
称号: 不死者、思い出すのが遅すぎた男、骨なのに勇者、運の無い男、陰陽を極めた骨。
スキル: 超隠蔽、不死、鑑定
力 15
運 20
HP 30
MP 80
ユニークスケルトンと比べて、名前しか変わっていない。
イヤ……見た目が変わったか……。
派手になって、リッチーに好かれるようになったな……。
ん!? 運が、3から20に変わってないか?
よく分からんが、ちょっと嬉しい。
運 3の奴なんて、人間だった冒険者時代、一人も見た事がなかった。
平均は20。
俺は人並みになったという事か……。
ていうか、進化して変わったのは、たったこれだけ?
まあ、金色にはなったけど。
それにしても、俺の今までの人生は最悪だった。
人間だった時に、異世界転生者だと気付けなかったし。ホーンラビットに電柱か何かと勘違いされてオシッコかけられるわ、
骨でチ○コが無いから、S○Xもオ○ニーも出来ない。
ハッキリ言って、こんな人生嫌だ!
しかし、俺は運が20になった。
これから人並みの人生を送れる筈だ。
骨だから、人じゃないけど。
でだ、またレベル1になってしまったから、上の階層に行かなければならないのだが、今の俺は金色だ……。
流石に、金色の骨で、白骨死体の振りは出来ない。
どうやら、俺は本物の金で出来てるようなので、今までみたいに白骨死体の振りをしていたら、冒険者にそのまま持ち去られてしまい街で売られてしまう。
どうしよう……もう、オシッコ作戦は出来ない。
他に、最弱スケルトンが魔物を倒す方法は無いのか?
アッ!? そうだ! 俺の声で魔物を失神させる事ができた。
同じ系列の死霊系ばかりいる第21階層では、俺の声は効かないが、動物系の魔物には、俺の声はよく効く筈だ。
そしたら行くのは、第12階層だ!
俺は、あそこを通る度に、牙狼族にしゃぶられまくっている。
今こそ、いままでの恨みを晴らす時。
運が3から20になったお陰か、ホーンラビットのオシッコを回避でき、にっくき牙狼族にリベンジを果たせそうだ。
それだけで、俺はゴールデンスケルトンに進化出来て良かったと思った。
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