表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/79

78. 日産

 

「シロ様、ギルド長室にお越し下さいませ!」


 暫くすると、真っ青な顔をした受付のお姉さんが戻ってきて、シロに話し掛けてきた。

 どうやら、俺達というか、シロをギルド長室に案内してくれるみたいだ。


「最初から、そうしとけば良かったんだよ!」


 シロは、ブツブツ言いながらも、受付のお姉さんの後に着いて行く。


 ギルド長室は2階にあるらしく、俺達は受付のお姉さんに案内されて、階段を上がる。

 2階に上がると長い通路が有り、通路の両側にたくさんの個室がある。

 どうやらギルド長室は、他の部屋より少しだけ豪華な扉の部屋であるようだ。


 トントン!


「シロ様と、お連れの方をお連れしました!」


「部屋に入ってもらえ!」


 ギルド長室の中から、昔、聞き覚えがある懐かしい声が聞こえてきた。


「それでは、こちらにどうぞ」


 受付嬢のお姉さんは、扉を開け、俺達をギルド長室に招き入れる。


「おお! これはシロ様、よくお越しになられましたな!」


 奥のデスクに座っていた、ギルド長と思われる、髭面で頭がツルッピカのガタイの良い男が立ち上がり、深々とお辞儀をして、ツルッピカの頭頂部を俺達に向けた。


「久しぶりだね!」


 シロは、ギルド長と知り合いなのか、軽い感じで挨拶する。


「どうぞどうぞ、立ち話もなんですから、お座り下さいませ!」


 ギルド長は、俺達を応接用のソファーに座るよう促してきた。


 シロと俺は、ソファーに座る。

 やはりと言うか、ギルド長室のソファーは、フカフカだった。


 俺が、前世も含めて、今まで座ってきたどのソファーよりも、座り心地がよくフワフワだ。

 多分、羊スライムをクッション材に使っているのだろう。


「で、シロ様、今日は、どのようなご用件で?」


 シロに対して、ギルド長の腰が低い。

 初めて会った時に、相当、ガツン! とやられたのであろう。

 滅茶苦茶、シロにビビってるみたいだし。


「前来た時に話した、僕のご主人様の件なんだけど」


「シロ様、ちょっと待って下さい! 君、ちょっと席を外してくれるか」


 ギルド長は、慌てて受付のお姉さんに目配せする。


「あ! ハイ。失礼します」


 受付のお姉さんが、部屋から出て行くのを確認すると、

 ギルド長が、襟を正して話し始めた。


「シロ様の主様である金色の魔王のお話は、私と、『鷹の爪』と、ハルマン王国の王しか知らない内密の話なので、申し訳ございません!」


 ギルド長は、ツルッピカの頭頂部を俺達の方に向け、深々と頭を下げる。


「そうなんだ」


「そうで御座います。シロ様とシロ様の主様の案件は、この国の極秘事項ですから」


 ギルド長は、真剣な顔をして答えた。


「ふーん。まあ、どうでもいいや!

 そのご主人様なんだけど、連れて来たよ!」


 シロは、軽い感じでギルド長に話す。


「えっ! 連れてきたって!?」


 ギルド長が、まさかという顔をして驚いている。

 どうやら、俺の事を、シロに着いて来た下僕か何かだと思ってたのかもしれない。


「この方が、僕のご主人様の……ええと……名前は……忘れちゃって、まだ決まってないか……」


 シロが、カッコ悪過ぎる紹介をしてくれた。

 こんなカッコ悪い紹介の仕方をされたら、滅茶苦茶ギルド長と話しにくくなるだろ。


「あのぉ……私は、シロ様に、確か……シロ様の主様は、リッチーだと聞いていたような……」


「アッ! 今は、あれから進化して、パーフェクトレッサーバンパイアに進化したんだよ!」


「パーフェクトなのに、レッサー? 完璧なのに劣ってるんですか?」


 どうやら、みんなそこが引っ掛かるようだ。


「違う違う。完璧なレッサーバンパイアって意味だよ!

 ご主人様は、バンパイアなのに、太陽光を克服してるんだよ!」


「それは凄いですね!」


「そう、僕のご主人様は、とても凄いんだよ!

 なんてたって、魔物なのに勇者なんだから!」


 シロは、ギルド長に、俺が褒められて とても嬉しそうだ。


「シロ様! 改めて、シロ様の主様に、私の自己紹介をさせてもらって宜しいですか?」


「えっ? 自己紹介まだだった?どうぞ! どうぞ!」


 シロに確認をとった、アムルー冒険者ギルド長が、改めて俺に頭を下げる。


「私は、アムルー冒険者ギルドで、ギルド長をしているブルース·モレルと申します。

 以後、お見知り置きを!」


 ギルド長が、慇懃に挨拶してきた。

 俺も、元日本人なので、礼儀はわきまえている。


「俺は、アムルー冒険者ギルドで、元B級冒険者だった男だ。

 名前を名乗りたいのだが、暫くスケルトンだったせいか、人間だった時の名前は忘れてしまった。申し訳ない。」


 俺は、名前を名乗れない事を詫びつつ、丁寧に挨拶する。


「そうでしたか、しかし、私はアムルー冒険者ギルドに所属していたB級冒険者なら、全員、顔を覚えていた筈なのですが、どうしても貴方の事が覚えだせないのですが……」


 アムルー冒険者ギルド長、ブルースが首をかしげて考え込んでいる。


「それは、俺の見た目が変わったからかもしれません。

 スケルトンから、新たに肉が付いたせいか、年齢が30歳から18くらいに若返ったのと、頭髪が茶髪から黒髪に変わったようです。

 それから、筋肉も落ちてヒョロくなった気がします」


「そうでしたか……見た目が若返って、茶髪が黒髪に……てっ! お前、もしかして、セドリックか!」


 急に、ギルド長が豹変して、タメ口になった。


「セドリック? 日産?」


「ハッ? 日産ってなんだ? お前は、セドリックだよ!」


「俺の名前ですか?」


「そうだよ! 何で、兄貴の俺の事まで忘れてるんだよ!」


「兄貴?」


「そうだよ! 俺とお前は、同じ孤児院出身なんだよ!

 そしてお前は、俺に憧れて、冒険者になったんだ!

 因みに、『鷹の爪』のケンジも、同じ孤児院出身で、お前の弟分だったんだぞ!」


「エッ……そうだったの……だから、やたらに、ケンジの個人情報だけは覚えてたのか……」


 俺は、遂に、この世界での自分の名前と出自が分かった。

 それと、ケンジが通ってる風俗が、『ロリッ娘クラブ』だという事を知ってた謎も解けたのであった。


 ーーー


 ここまで読んで下さりありがとうございます。

 面白かったら、感想、レビュー、☆☆☆☆☆おしてね!

 作者の励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ