表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/79

74. パーフェクトレッサーバンパイア

 

「ふあぁぁぁ~」


 俺は、オクタプルベッドで目が覚める。

 どうやら、万能メイドのシロが、俺を拠点のログハウスまで運んでくれたようである。


 そして俺は、ドキドキしながら自分の腕を見てみる。

 そこには、久方ぶりの肉付きの腕があった。


「やった! やったぞ! 遂に俺は、肉を手に入れた!」


 俺は喜びのあまり、オクタプルベッドで飛び跳ねる。


「ウウゥ……ン……ご主人様……? てっ、えぇぇぇ……!」


 俺の隣りで寝ていたシロも目を覚まし、そしてすぐに、俺に肉が付いている事に気付いたようである。


「シロ! やったぞ! 俺は遂に、肉を手に入れたのだ!」


 俺はシロに抱きつき、頬ずりする。


「あの……ご主人様……とてもゴツゴツして痛いんですけど……」


 シロが、俺の喜びに水を差すような事を言ってくる。

 しかし今の俺は、気分がいい。

 俺は嫌がるシロに、更に構わず頬ずりした。


「だから、痛いですって!」


「お前、さっきから五月蝿いぞ! 俺の嬉しい気持ちに水を差しやがって!」


「そうですね。分かりますよ。ご主人様が嬉しいのは、

 ですが、今の内にご主人様の心を折っておくのが、ご主人様の1番の下僕の務めと思いますので」


「何を言ってるんだ……お前?」


「自分の顔を、よく見てみれば分かりますよ。ただ、気を落とさないで下さいよ……」


 シロは、俺の口元に目を移す。


「エッ? なんだって……? まさか? まさかだよな!」


 俺は、なんとなく気づいてしまう。

 しかし、この目で見るまでは信じられないのだ。


 俺は、重い足取りで湖に向かう。

 これ程までに、進化して心が踊らない事は初めてだ。

 それも、念願だった肉が付いたのに……。


 湖に着くと、俺は自分の顔を湖面に映す。


「うああぁぁぁぁぁぁぁ……! やっちまったぁぁぁぁぁ……!」


 俺の口周りには、肉が付いていなかった。

 俺は、既に分かっていたのだ。

 シロの態度を見た時点で。


 俺の口周りの上顎骨と下顎骨は、金色に光り輝いている。


 何故だ?

 何故こうなった?

 俺は、復活した脳ミソで、よく考える。


「アッ! そうか分かったぞ!流石は、俺の脳ミソだ!」


 俺は全ての謎が解けてしまった。

 脳ミソがある俺は、今までと一味違うのだ。


 それでは、包茎手術で考えてくれると分かり易いと思うので、敢えて、包茎手術で謎解きをしよう。


 みんな、お金を払って包茎手術をするよね。

 しかし、進化したからと言って、包茎が戻ってしまったら、みんなどうする?


 絶対に、手術したクリニックに金返せと文句を言うだろ!


 しかし、実際にはそんな事は起こらない。

 この世界では、そんな悲劇を回避する為に、自動的に全ての事象が最適化されるのだ。これは、それと同じ現象。


『自らの意思で、皮を切った場合、元には戻らない』


 これは、この世界での不文律なのだ。


 まあ、俺のチ〇コを見るのが1番手っ取り早いだろう。


 もし、俺のチ〇コの皮がオシャレにカットされた状態だったら、俺の推理が立証された事になるのだ。


 俺は、急いで、パンツを脱いで下半身を確認する。


「うおおおおおおおぉぉぉーー!」


 俺は、自分の肉棒に衝撃を受ける。


 俺の肉棒は、見事なズル剥けチ〇コになっていたのだ。


 こいつは凄いぞ! 皮余りが全くない。


 立ってもないのに、少し上方に反り上がってるし。


 これは、ハーレム勇者に相応しいキレキレの肉棒である。


「うおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉーー!

 もう我慢できない! 早速、シロのお股に、俺のキレキレズル剥けの肉棒をぶち込んでやる!」


 俺は、待ちに待った肉棒に興奮して、オクタプルベッドに戻ろうとした。


 しかし、その瞬間、


「ぐわああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……! 痛えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ……!」


 俺のチ〇コに、激痛が走る。


 俺は、痛みに耐えきれず、もんどり打って倒れる


「チ〇コ痛てぇよぉぉぉぉぉ……!」


 俺は急いでチ〇コを見ると、皮余りが全く無い肉棒がはち切れんばかりにビンビンに反り返り、亀頭の真下辺りから薄らと血が滲んでいた。


 糞ッ! やっちまった……。

 俺はどうやら、チンコの皮を調子に乗って、カットし過ぎてしまったみたいだ。


 やはり、勃起した状態を確認してから、皮を切るべきだったのだ。

 しかし、あの頃の俺には、勃起させる肉棒が無かったのだ。


 悔やんでも悔やみきれない。


 やはり、包茎手術は、専門のクリニックでやってもらうのが、1番だと今日学んだ。

 よく前の世界で、保険が効く整形外科で包茎手術するより、専門の包茎クリニックでやった方が綺麗に仕上がると聞いた事があったが、真実だったみたいだ。


 俺がやったセルフ包茎手術なんて、論外だったのだ……。


 と、色々な事を考えていたら、チ〇コの激痛が収まってきた。


 俺は、勃起が収まったのを確認してから、チ〇コに回復魔法を掛けてみる。


 やはり傷は回復しても、切り過ぎたチ〇コの皮は復活しなかった。


「糞っーー! 俺は、これからどうすればいいんだよぉぉぉぉ……!」


 俺はあまりの消失感とショックで、瞳からとめどなく汗が溢れ号泣する。

 体に肉が戻った事は確かに嬉しいが、勃起出来なくなってしまった事の方が、それ以上に悲しすぎるのだ。


 待ち望んだ肉棒の復活が、こんな悲劇を生み出してしまうなんて……。


 俺が、号泣しながら落ち込んでいると、ログハウスに戻ってこない俺を心配して、シロがやって来た。


「ご主人様、どうしたんですか?」


 シロが、四つん這いになり号泣している俺の肩に、そっと手を置いて聞いてくる。


「シロぉぉぉ……チンコの皮を切り過ぎて、勃起すると痛いんだよぉぉぉ……!」


 俺は号泣しながらも、事の顛末をシロに説明する。


 話を聞き終わり、全てを理解したシロは、俺の目の前に座り、真剣な顔をして、俺の目を見て話しだした。


「それくらいなら大丈夫ですよ!

 ご主人様は勇者なんですから!

 僕が知ってる勇者は、どんな困難も必ず克服するのです!

 きっと、この世界で誰も到達した事がない、第8階位光属性魔法とか覚えれば、無くなった皮も再生できますよ!」


 シロは嘘とも本当とも取れない話を、俺に語った。


「本当に?」


「本当ですよ! だって8を横に倒すと∞無限になるでしょ!」


 シロは、そう言い、ニコッと笑う。


「そうだな」


「そうですよ!」


「ちょっと、ヤル気になって来た!」


「その意気です!」


 この時の俺には、シロの話が真実かどうか分からなかったけれども、

 それでも、不安に満ちた俺の心は救われ、希望の光が見えたのは確かだったのだ。



 ーーー


 ここまで読んで下さりありがとうございます。

 面白かったら、感想、レビュー、☆☆☆☆☆押してね!

 作者の励みになります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ