7. 猫耳冒険者
俺は順調にホーンラビットに、オシッコを引っ掛けられて、遂に念願の第一階位光属性魔法が使えるようになった。
ステータスは、こんな感じ。
種族: ユニークスケルトン lv.10
職業: 勇者
称号: 不死者、思い出すのが遅すぎた男、骨なのに勇者、運の無い男、陰陽を極めた骨。
スキル: 超隠蔽、不死、鑑定
魔法: 第1階位光属性魔法。第1階位火属性魔法。
力 35
運 3
HP 65
MP 120
普通のスケルトンだった時との違いは、光属性魔法の耐性があるかどうかだ。
俺は早速、光属性魔法を試して見たかったのだが、上手いこと怪我をしていない。
俺の闘い方は、不意打ち。
オシッコは当たるが、攻撃は全く当たらない。
一応、自分自身にヒールを掛けてみたが、ダメージは受けなかった。
それ自体は安心したのだが、実際、自分が怪我した時に、傷が治るのか試してみたい。
俺は思い切って、自分の指の骨を、ボキッ!と、折ってみた。
肉があれば、少しだけ皮膚を切ったり出来るけど、俺には肉も皮膚もない。
俺にあるのは、骨だけだ。
生きている人間の場合、自分で骨を折るのは苦痛だが、俺は半分死んでいるようなものなので、骨を折っても全く痛くない。
基本、血が通ってなく神経も死んでいるので、何をされても無痛だったりする。
そんな訳で、早速、第一階位光属性魔法ヒールを試してみる。
正しい位置に骨を固定して、
「第一階位光属性魔法、ヒール!」と、呪文を唱える。
すると、折れていた俺の指の骨が、何とかくっついた。
これは、まだ完全にくっついてないような……。
近づいて見てみると、折れてた場所に線が薄らと入っている。
よく考えたら、第一階位光属性魔法では、浅い切り傷ぐらいしか治せなかった。
骨折を綺麗に治したいのであれば、第三階位光属性魔法を使わなければならないと言われている。
多分、今の状態は、ご飯粒で骨を何とかくっつけている状態だろう。
このままだと少し困るので、連続して骨折箇所にヒールを掛けてみる。
10回程度同じ場所に魔法を掛けていたら、骨に入っていた線が綺麗に消えた。
しかしながら、急激に魔力を使い過ぎたせいか、体の維持が出来なくなりバラバラになってしまった。
どうやら俺は、体全体に魔力を纏わす事で、体の状態を維持したり歩いてたりしてたみたいだ。
兎に角、疲れた……。
そしてそのまま瞼が重くなり、俺は深い眠りについてしまった。 骨なので、瞼などないけど……。
カキン! カキン! カキン!
何だか周りが騒がしい。
激しい斬撃の音で、俺は目が覚める。
どうやら俺の目の前で、ホーンラビットと冒険者が戦っているようだ。
ホーンラビットは3匹。
そして冒険者はソロのようで、歳の程は17、8歳ぐらい。
猫耳族で、シーフっぽい格好をした黒髪の女冒険者が短剣で1人で戦っている。
猫耳冒険者は、ホーンラビットの角で、衣服を切り刻まれて、ちょっとヤラシイ感じになっている。
結構、追い詰められてヤバい感じだ。
どうする助けるか?
しかし俺は魔物で骨だ。
助けた後に、逆に攻撃を受けてしまうかもしれない。
というか、俺にはホーンラビットを正攻法で倒す実力がなかった。
そうこうしてると、ホーンラビットが4匹に増えた。
この通りは、ホーンラビットの通り道で、尚且つ、オシッコポイントなのだ。
時間が経てば経つ程、ホーンラビットが増えていき、猫耳冒険者は助からなくなってしまう。
目の前で、人が死んでしまうのは寝覚めが悪いし、猫耳冒険者は可愛らしくて俺好みなので何とか助けてあげたい。
仕方が無い。やるか。
俺は意を決した後、猫耳冒険者をどう助けるか考える。
どうやら猫耳冒険者は、足首を捻挫して自由に動けなくなっているようだ。
『ウン。あの足を治してやれば、助けれるかもしれないな』
一応、鑑定で猫耳冒険者のステータスを見てみる。
種族: 猫耳族Lv.35
職種: シーフ
スキル: 聞き耳、探索
力 95
素早さ 150
HP 150
MP 65
結構強い。
このレベルなら、ホーンラビットぐらい簡単に倒せる筈なのだが、多分、足の捻挫のせいで、思い通りに攻撃できないでいるようである。
『これならいける!』
俺が死んだ振りしたまま、猫耳冒険者にヒールを掛けて足を治してやれば、勝手にホーンラビットを倒すなり、逃げるなり出来るだろう。
そうと決まれば決行だ!
「第一階位光属性魔法、ヒール!」
(骨語)
「ギィギィギィギィー、ギィール!」
俺はとても不快な音を発した。
猫耳冒険者もホーンラビットも、みんな口から泡を吹いて気絶してしまっている。
なんかよく分からないけど、凄く悲しい。
俺の声は、人を気絶させるほど不快な声なのか……。
しかし、チャンスだ。
今なら猫耳冒険者にイタズラし放題。
猫耳冒険者は、俺好みの小悪魔っぽい顔をしており、健康的でヤラシイ体つきをしている。
服は、ホーンラビットにズタズタにされて、切り裂かれた胸の横の切れ目から、形の良いお椀型の山の頂上のサクランボが見えそうになっているのだ。
俺は欲望が抑えられなくなって、四つん這いになり横から猫耳冒険者のサクランボを覗きみした。
「おお! 薄らピンク色!」
俺は猫耳冒険者が気絶してる事をいい事に、サクランボをツンツンしてみた。
俺がサクサンボをツンツンしても、猫耳冒険者はピクリとも動かない。
俺は調子に乗って、サクランボを摘んで指先で転がす。
するとどうだろう。サクランボが固くなってきたではないか。
俺は、キョロキョロ辺りを見渡す。
『誰も居ないな』
しかし、ここはホーンラビットの通り道、ここでエロい事をしてたら、ホーンラビットが、またやってくるかもしれない。
俺は急いで、猫耳冒険者を肩に担いで、森の奥深くに移動したのだった。
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